この植物は山林の暗く湿った林床に生えているのをよく見かけます。葉はビロード状で質感があり、独特の斑紋と
濃い緑色の葉には何処か落ち着いた風情があります。
冬もこの葉が枯れないところから寒葵の名がありますが、地域的に変種が多く現在名前の付けられているものだけでも
50~60種ほどあるそうです。画像のものは特長から関西地方に多く見られるミヤコアオイではないかと思いますが
類似品種が多く、同定するのは困難です。
ここではこれらを総称してカンアオイと呼ぶことにします。
カンアオイの一変種<ウマノスズグサ科 カンアオイ属>
花は葉茎の基部に付きますが、これでも花か?と思わせるような姿をしています。
花弁の様に見えているのは蕚裂片、その下の部分は蕚筒と呼ばれこの中に雄蕊と雌蕊があります。
このあまりにも地味な花、風媒花でないことだけは確かですが、花粉媒介がどのように行われているかは
よく分かっていません。多くの変種が生まれた経過と共に、謎の多い植物です。