限りなき知の探訪

45年間、『知の探訪』を続けてきた。いま座っている『人類四千年の特等席』からの見晴らしをつづる。

【題名】:リベラルアーツ教育によるグローバルリーダー育成フォーラム開催

2010-09-08 00:17:15 | 日記
私は昨年度から京都大学の一般教養として下記の二科目を教えている。
 前期:『国際人のグローバル・リテラシー』Global Literacy for Cosmopolitans
 後期:『ベンチャー魂の系譜』Genealogy of Venturing Spirits

これらの授業の目的は、このブログの自己紹介の欄にも書いてあるように、『自立心旺盛で、どっしりとした本物の教養と、相手をうならせる英語での発言力』をもった若者の育成である。自立心というのはとりも直さず、ベンチャー魂のことを指す。しかし、ベンチャー魂イコール起業と短絡的に考えることは私は賛成しない。起業というのは、ハイリスクであるので、自分の性格、技術力・営業力、競合商品・サービス、パートナーの選択、などじっくりと考慮してからでも遅くはない。

さて、起業するにせよ、組織(会社、官公庁)に属するにせよ、今後は、必ず日本人以外の人との連携が必要である。その時に国や民族の異なる相手と自信をもって付き合えるためには、彼らの背負っている文化背景の理解が必須であると私は考える。それがグローバルリテラシーであり、それを涵養するのが、リベラルアーツ教育である。



私はここ20年来、ずっとこのリベラルアーツ教育の必要性を感じていたのだが、残念ながら昨年度まで実践する機会を得ることができなかった。冒頭で述べたように昨年度から京都大学で私の考える授業を実践した経験から、学生だけでなく若手の社会人にもこういったリベラルアーツ教育を広める必要性を痛感した。このことを、年来の友人である、東京農工大学の松下博宣教授と話をしていたら、『それじゃ、そのフォーラムを立ち上げませんか?』と松下さんが提案された。それからとんとん拍子に(といってもその提案から2ヶ月は経っているのだが)話が進み、今回第一回目のフォーラムを9月30日(木)、東京・品川の京都大学東京オフィスで開催することになった。

今回の内容としては、ライフネット生命保険株式会社の出口治明社長の講演と、TechnoProducer 株式会社の楠浦崇央取締役の司会によるパネルディスカッション:『なぜ今リベラルアーツ教育が必要か?』の2本立てで行うので是非下記のサイトで詳細をご覧の上、申し込みをして頂きたい。
 申し込みはこちら ==>  http://kokucheese.com/event/index/4429/

それでは、当日会場でお会いしましょう。

  =========== 参考情報  ===========

【本フォーラムの目的】
 グローバル時代に、活躍すべきヤングエグゼクティブ(幹部候補生:学生、会社員、公務員)にグローバルリテラシーを身につけさせる為のリベラルアーツ教育を実施する。本フォーラムでは、産学協同プロジェクトなどを企画し、その研究・教育の成果を社会還元する。また、積極的にシンポジウム・セミナー、ブログ、出版などの活動を行う。

【教育活動】
  ヤングエグゼクティブのリベラールアーツ教育
  ヤングエグゼクティブのリーダーシップ教育
  非日本人のヤングエグゼクティブの日本文化の理解促進

【研究活動】
 教育の仕方をいろいろと試して、個人と組織を育てる手法を開発し、成果を書籍化

【リベラルアーツ教育の必要性】
 ビジネススクールではとかく目先の経営技術に終始し、グローバルビジネスの根源をなす文化背景にまで注意が向けられない。そのため、グローバル拠点で多様な文化背景をもった人たちを統率できないリーダーが多い。

 そのような欠陥を補うため、東西それぞれの文明の根源的な文化や思想・思考様式を議論を通して学んでいく。それも、夫々の文明を別個に学ぶのではなく、常に複眼的視点で包括的にとらえていく。『教える・覚える』というような通常の講義方式ではなく、『気づく・自分の意見をもつ』ために議論や発表を主体とする。

 議論のテーマは、古今東西の歴史、宗教、哲学、科学技術史、などの文理統合した幅広い分野から選択する。受講者のヤングエグゼクティブは将来的には、グローバル拠点でリーダーとして活躍することが期待される。

以上
コメント (2)
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