「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

官委託学者、静大教授土居英二による子供だましの水増しテクニック その2

2011-08-28 22:21:00 | 静岡空港
<水増しテク1:JRから静岡空港への県民需要移転を無視>からのつづき

<水増しテク2:実態を無視し県のアンケートのみで県民利用者数割合を水増し>次なる水増しテクニックは県庁役人らによる杜撰な調査との協働(コラボレーション)によるものである。
成果報告には、以下のような記述がある。




つまり、国内線の年間実績416,192人及びソウル線の177,760人の計593,952人のうち約70%(国内77%)もの416千人(国内322千人、ソウル94千人)が静岡県民利用(アウトバウンドのうちの県民利用者)であるというのである。(注:アウトバウンドには県民だけでなく近隣県からの利用も含まれるため後述の8割には満たない)
この根拠となった「平成22年3月空港利用政策課調査結果」なるものであるが、これには以下の一節がある。
国内、国外ともにアウト対インが8:2と偏っているのが分かる。

しかも、「渡航先毎のアウト、インの利用者比率は次のとおりとなるが、インバウンドのうち外国人、団体行動型ツアー参加者にはアンケートへの協力を得られない例が多かったため、参考の数字として示す。」
との記述からわかるように、イン・アウトの調査母集団に偏りがありこの踏査結果からアウトバウンドのうちの県民利用者の割合を出すというのは無理というよりも無謀なものなのである。
その証拠として以下に現実のイン・アウトとこのアンケート調査におけるイン・アウトの比率比較を示す。

すなわち、アウト対インは8:2ではなく、現実には5:5であったのである。
このアンケート調査の数字を補正なし(ただし、なぜかソウル線だけはアンケートの数字を使っていない)にそのまま用いたことが官委託学者の愚かさと低俗性を際立たせる。

この水増し効果は大きく、この補正をした試算によれば県民利用者数は219,749人となり、結果、「県民利用者の利便性向上効果」を30%以上膨れ上がらせているのである。

他にも問題があるが、以下は簡略に記す。
<その他1:静岡空港の運賃引き下げによる水増し>
つまり、座席数限定の割引運賃までも含めて運賃の平均をとって静岡空港の運賃負担を低くして利益があった方向に水増ししているということである。

<その他2:JRの運賃には割引考えず&他空港利用者の経路時間水増し>
(「官委託学者と県による利便性向上効果の根拠資料入手」参照)

<その他3>
ビジネス利用と観光利用の区別のない時間価値(1分が61.1円)の過大


以上、偽りに満ちた利用者便益をでっち上げ県民を欺き、税金から1千万円近くをふんだくりのうのうとしている官委託学者。
その御仁がこともあろうに来週から3地域で県が開催の「富士山静岡空港県内経済波及効果と空港を活用した観光振興に関する講演会」に講師で出てくるという。
直接には「静岡空港の経済波及効果」であるが、前提となる新規需要が上述のごとく偽りに満ちたものであることから、空港開港による経済効果は空港がなかった場合の他交通利用の経済効果とほとんど同じということになる。
すなわち、廃港による経済波及効果と同等ということになる。
税収効果もまたしかり。

今こそ、役人と官委託学者によるミスリードが生みだした原発の安全神話がもたらした不幸を二度と招くことのないよう、真贋を見極める目を一人一人が持たなければならない。


<公文書資料添付>
利用者便益報告書(saisyuu.pdf
中間報告書(tyukan.pdf
県アンケート調査結果報告(kentyousa.pdf

官委託学者、静大教授土居英二による子供だましの水増しテクニック その1

2011-08-28 22:12:00 | 静岡空港
昨年度の県委託事業として今年3月に取りまとめられた「富士山静岡空港地域経済波及効果分析」(委託額9,346,879円)。
委託を請け負ったのは静岡大学の土居英二教授を中心とするプロジェクトチームということであるが、この成果・結果は、かつての静岡空港の需要予測ほどの巧妙さもかなぐり捨てた水増しの構造がこれでもかという程にちりばめられ官委託学者の健在ぶりを示している。
これについては、1月8日の「官委託学者と県による利便性向上効果の根拠資料入手」において「致命的な論理矛盾をきたしている事実を複数発見」としてお知らせしたところであるが、この利便性向上効果について以下にその水増し構造の主要部分について明らかにしておく。

<水増しテク1:JRから静岡空港への県民需要移転を無視>下図は土居らの出した結論部分であるが、まず最初にこのうちの要点③中の「中部利用者(利用率137.3%)の便益」に着目していきたい。

注の中で「中部利用率が137.3%となっている意味は、静岡空港がなかった場合の開港1年間の期間に、他空港を利用して就航先(国内6地域とソウル)へ行くと推定された利用者数(without case)に比べ、富士山静岡空港が開港したことによって、利便性が向上し利用者(需要)が増加した比率を示している。」としているが、一見して生じる疑問が「37%以上も静岡空港ができたおかげで旅行需要が増えるものだろうか」ということである。
その疑問がはっきり分かるように整理したのが以下の表である。

「137.3%」というのは「197.7÷143.99」から出てくる数字であるが、増加の内訳である「利便性向上による増加需要」の中部を見れば分かるように福岡と小松で突出していることが分かる。
理由は簡単、「静岡空港がなかった場合」の需要にはJRや車での移動者は含まれず、羽田などの空港経由の需要のみとで比較しているからである。
新千歳や沖縄など他路線と比較すれば分かろう、37.3%の増というのは福岡小松で水増しした成果であり、空港建設によって増えた需要などというのは真っ赤なウソなのである。

しかも、これが単なるミスなのかというとそうでもないという証拠が以下の「交通手段の設定」である。

これは、料金比較のための設定であるが、(福岡と小松において)利用者の数においてはJR利用を除外しながら、その利用者の料金比較においてはJRを設定するという矛盾した設定を行っているのである。まさに、かつて空港の需要予測で見た「いいとこどり」の条件設定そのものである。

<水増しテク2:実態を無視し県のアンケートのみで県民利用者数を水増し>につづく