「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

受益者負担の原則と仏滅空港

2009-02-02 19:58:06 | 静岡空港
受益者負担の原則(じゅえきしゃふたんのげんそく)とは、ある特定の公共財の建設や改良を行うことにより、特にその利益を受けるもの(受益者)がその利益に応じて原則としてその経費を負担することをいう。
義務教育や一般道路、公衆衛生など広く一般に行われる行政サービス、公共工事に対し住民の能力に応じて負担する租税による負担とは異なるものである。
以上、『ウィキペディア(Wikipedia)』からの引用である。

これを真っ向から否定しようというのが未来を暗示する仏滅開港を余儀なくされた富士山静岡空港の現実というべきである。
高速道路がなぜ有料で一般道がなぜ無料かといえば、高速を使わずとも一般道でいくことができることから、高速道がナショナルミニマムとしての生活に必要不可欠とはいえないことが大きな理由だ。
べたな言い方をすれば「特別なもの」だから、その特別なものから直接利益を受けるものがその建設費や維持費をまかなうのが筋、という論が受益者負担の原則である。(ゆえに、この「特別なもの」を利用したことによる間接利益には経費として価格転嫁等が生じる)

したがって、その「特別なもの」を支える十分な需要があれば行政の赤字、いいかえれば税金での赤字補填は発生しないはずである。都営地下鉄のように。いまや、地域医療を支える公立病院でさえ独立採算を求められている時代にあってはなおさら。
これが、事業施行前における需要等の予測調査が重要な意味を持つゆえんである。

残念ながらというよりも、当然のこととして、富士山静岡空港は需要予測を大きく下回り事前宣伝の黒字どころか直接の維持管理費だけで3億円程度の赤字になるという。
旅行会社への補助金やら各種空港宣伝費用を含めれば、今年の「エアメ[トセールス、空港利活用促進支援、利用促進広報等」の一科目だけで1億7千7百万円、空港影響地域の生活盛業対策のための地元対策事業の一科目でも3億7千8百万円であるから、その数倍もの税金が、空港があるために投じられることとなるのである。
すべて、需要がなかったにもかかわらず造ってしまったが故である。
無駄遣いをチェックする会計検査院が2000年に(離島を除く)地方空港の赤字を問題視したのもしごく当然のことである。ゆえに、学習するどころか同じ過ちを繰り返したという意味において静岡空港は汚点事業というべきものだ。

では肝心の受益者は誰かといえば、主として、羽田や中部国際は遠いからという空港周辺地域の県民というだけではなく、中国や韓国からの観光旅行者である。
彼らには空港を利用するに相当の負担能力(税でいうところの担税力)はあるがゆえに利用するのであるから、当然、これら受益者が、せめて維持管理費でも負担すべきが道理であろう。
しかし、これら受益者を税金で、支援するという。
財源難の今、税金本来の投入先であるナショナルミニマムの行政サービスが危機に瀕している今、なぜにこのような支援が優先するのか。赤字公立病院の存続以上に優先する事業なのか?

義のないところに目先の利がある。

自民党は定額給付金のばらまきを、一方の民主党は高速道路の無料化をいうが、無料化にいかなる義ありや。
確かに利用頻度の高い私個人にとってはありがたい話だが私利を捨てて義で見れば明らかに不義、定額給付金と変わらない。
順序が違うのだ。
セーフティネットがあって安心感のある中での話とは真逆効果になるといってよい。

そもそもがさらに原点に戻って、真の意味のゼロベースでこの国のありかたをまず先に置くことからはじめるべきだ。
明治維新のときのように。