CATS NO POWER!

aibaさんとショウコさんと純に好評のCATS NO POWER!
(不定期更新です。)
(頑張ります。)

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春、別れ9

2008-01-07 00:04:04 | 春、別れ
高速バスが休憩のため双葉SAで停まるのと同時に目が覚めた。
風邪のせいか、寝起きのせいか、とにかく頭はぼうっとしている。
考えたくない。何も。
窓の外の現実から目をそらし、僕はぼうっとしていた。

しばらくぼうっとしたあと、ふと社会行きの切符、卒業証書を見た。
あれほど嫌だと思っていた卒業だが、何故だかすんなりと受け入れることが出来た。
知ってたよ。気づいてた。でも、知らない振りを、気づかない振りをしてたんだ。卒業が嫌なんじゃない。ショウコさんと離れ離れになることが嫌だったって事を。

僕の目に卒業証書は映っていなかった。
映っていたのは、遠く離れたショウコさんの残像だった。

バスは再び走り出した。更に遠く…もう目前まで迫っていた僕らの春に向かって。
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春、別れ8

2008-01-06 22:58:33 | 春、別れ
軋む頭。
重い体。
それらと共に僕はバスにいた。

辛い。
風邪が辛いんじゃない。
辛いのは、バスの窓で隔てられたこの距離。
近いようで遠い…否、遠すぎる。

吹っ切る事のできなかった僕の気持ちは、ショウコさん宅に置いてきた。
行き場をなくした僕の気持ちは何処へ行くのだろう。頼むから何処かへ行ってくれ。

動き出したバス。
東京をぼうっと眺める僕。
ショウコさんとは、茨城に帰るため、新宿で別れた。
改札の向こうにいるショウコさんが、物凄く遠かった。触れようと思えば触れられそう。しかし、触れられない。
長野と茨城は、僕らが思っている以上に遠いようだった。

東京の景色を見ているうちに、ショウコさん宅に置いてきたはずの気持ちが、僕の心の底で甦ってきた。
置いてきたはずなのに、何でだよ。

東京にいたい。
君といたい。
ただそれだけ。
その気持ちを隔てるバスの窓。
どんどん遠く離れてく。
やめてくれ。僕は、東京にいたいんだよ。

結局、吹っ切る事のできなかった気持ちは、僕の下に戻ってきた。
叶わぬその気持ちが、いつしか後悔の念に変わり、僕を苦しめる。
しかし、風邪がそれを遙かに凌駕し、僕の意識は、いつの間にか頭の中からはじき出されていた。
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春、別れ7

2008-01-05 23:36:10 | 春、別れ
卒コンの翌日、僕は風邪で完璧にダウンしていた。

潤とショウコさんと牛久の大仏を見に行くはずだったのに…まさか風邪をひくなんて。昨晩の冷たく強い春風にやられたのだろうか?
しかも、研修が始まるため二日後には帰らねばならない。
どうも牛久の大仏には、行けそうもない。

畜生!
畜生。
畜生…

もうろうとする意識の中、僕はまぶたを閉じた。
まぶたの裏に、ぼうっと牛久の大仏が浮かび、次の瞬間、風邪のだるさに負け眠りについた。
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春、別れ6

2008-01-05 23:13:14 | 春、別れ
卒コンも中盤にさしかかった時、後輩がソワソワとし始めた。
このソワソワした感じ、僕は知っている。
このソワソワは、卒業生に、花と寄せ書きを渡す前の、あのソワソワだ。

そんなソワソワを感じ取った僕らに、緊張が走った。
花と寄せ書きを受け取った後に、卒業生は何かを言わなければいけないのだ。
何を言おうか、前日から色々と考えたが結局考えはまとまらなかった。
まとまらないまま、その時は迫ってきていた。
願わくば、早めに受け取りたい。ヒロミチやヨッシーやタケルは、ガツンッと言ってくれそうだったので、出来ればあいつら付近は避けたかった。考えても考えてもまとまらない。ならば、もう勢い任せでいくしかないな、と思っていたからだ。

しかし、現実は厳しかった。
後輩達は、さきに女性陣から花と寄せ書きを渡し始めたのだ。
早めに受け取りたい、という僕の内に秘めていた願望は、空しく散った。
女性陣の涙の後に、勢い任せで済ませるなんて、とてもできやしない。策が崩れたため、頭が真っ白になった。
どうすりゃいいんだよ…

女性陣に渡し終え、遂に僕らの番に。
願わくば一番だ。女性陣の涙の後の勢い任せも悪くないんじゃないか、と真っ白だった頭にふと浮かんだのだ。
しかし、現実は厳しく、僕は一番じゃなかった。
それどころか、ガツンッと言いそうなヨッシーよりも後。
一体、後輩達は何を考えてんだよ…と思いつつ、ヨッシーの話を聞いていた。

ヨッシーはやはりガツンッと言っていた。あんなのの後は絶対に嫌だ、と思った時、後輩のユミコが立ち上がった。
ユミコは、僕と同じ学部だった。教科書をあげたり、授業の情報を交換したりもした。そんなユミコが立ち上がった時、嫌な予感がした。
まさか…僕なのか?と。

その予感は、見事的中し、僕は、ユミコから花と寄せ書きを受け取った。
まさかヨッシーの後になるとは…そう思いつつ、重い口を開いた。

「(寄せ書き貰った僕を)写真撮ってくれねえ?」

まさかの第一声に自分で驚いてしまった。
しかし、その第一声が流れを作り上げた。勢い任せの流れを。
流れが出来た、と思った僕は、畳みかけるように話した。勢い任せで。

「本当の卒業式はこれからだぜ!今日は皆さん僕たちと飲みましょう!」

飲めやしないのに、飲みましょう!だなんて。本当に勢い任せだ。

ちなみに、飲みましょう!と言っておきながら、二次会のカラオケで体調を崩しダウンしてしまうのだが、この時の僕はそんなこと知る由もない。
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春、別れ5

2008-01-05 12:27:35 | 春、別れ
卒コンが始まって三十分程経った時、僕らは会場となる居酒屋へと歩き出した。
不思議なもので、東京国際フォーラムに向かっていた時よりも、卒業する、という実感が湧いた。
今まで何人もの先輩の姿を卒コンで見送ってきた。まさか時分の番が、こんなにも早く来るとは思いもしなかった。
すっかり出来上がり、体は火照っているはずなのに、池袋の風は強く冷たかった。
あれはきっと春風だったんだ。

卒コンの会場となる居酒屋には、沢山の後輩達が集まっていた。
僕らが中に入ると、待ってました、と言わんばかりに燃え上がる後輩達。
とても後輩達の勢いについて行けそうもなかったが、自然と笑みが零れた。僕は決めていたのだ。零すなら、涙じゃなく笑みだ、と。
涙で濡れた卒コンなんて、アールらしくないじゃないか。
しかし、目の前に立ちはだかる社会、という現実に、僕は今にも押しつぶされそうだったため、どうしたって湿っぽくなってしまっていた。
と。
悲鳴に似た喜びの声が居酒屋の中に響いた。
声のした方を見ると、そこには明らかにおかしな男が二人立っていた。
ナオトさんと剛さんだった。

ナオトさんと剛さん。この二人の先輩とはよく馬鹿な事をした。
僕が大学二年の時、僕は、自分の殻を割った。少しでも二人に近づこうと。
多分、人生で一番燃え上がっていたのが大学二年時分。引っ込み思案な僕は、何処かに引っ込んでしまい、とにかく前へ前へと進んでいた。

久しぶりに揃った、僕ら三人。
ナオトさんと剛さんは相変わらずだった。
しかし、その二人の動きに、僕は反応出来ずにいた。
何を躊躇っているんだ。
何故、大学二年の時のように燃え上がってこないんだ。
二年の月日はあまりにデカかった。いつの間にか、引っ込み思案な僕が這い出て、より強力な殻を作り上げていたのだ。
いや、これが本来の僕なのだろう。

結局僕は、大学二年の自分を取り戻す事は出来ず、ナオトさんと剛さんを遠くから眺め、笑っていた。そこに大学二年の僕の姿を重ねて。
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春、別れ4

2008-01-04 12:55:08 | 春、別れ
卒コン。卒業生追い出しコンパの略だろうか?
誰が考えたのかわからないが、非常に嫌なネーミングだ。
そんな卒コンが、夜から行われる。
卒業式が終わり、卒コンまでまだまだ時間があったため、池袋で男だけで飲むことになった。
いつ以来だろうか。こうして男だけで飲むのは。
もしかしたら大学二年以来かもしれない。そう考えると嬉しくもあり、また、悲しくもあった。大学三、四年の間に、随分と遠くなってしまったんだな、と。

僕らは揃って生ビールを頼んだ。
普段、ビールを絶対に飲まないガワラや、ウーロンハイ一辺倒のタケルまでビールだ。
皆それぞれビールジョッキを持ち、乾杯をした。
それにしても、皆ビールが似合う顔つきになったものだ。
ヨッシーやヒロミチは、特に似合う。ビールを喉に流し込んだ後の顔が、ビール顔なのだ。
ヒロミチやヨッシーに負けじと、僕も喉を鳴らして飲んだ。花見や新入生歓迎コンパの頃の僕が見たら驚くだろう。当時は、一口飲むのにも手こずっていたんだから。

皆、目の前のビールを飲み干し、再び注文をした。
言わずもがなビールだよな、と思ったその時、
「俺、ウーロンハイ」
とタケル。
更に、
「俺、コーラ」
とガワラ。

お前ら…相変わらずだな!


そんなこんなで、卒コンの時間になる頃には、すっかり出来上がってしまったのだった。
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春、別れ3

2008-01-03 23:05:00 | 春、別れ
ラーメンを食べ終え、再び東京国際フォーラムの中に入ると、卒業式はすでに終わっていた。

仕方ないので卒業式会場を後にし、僕は、潤と卒業証書を貰いに行くことにした。
卒業証書は各学部毎に用意された部屋で、業務的に配られていた。
学生証を見せ、卒業証書を貰う、というだけで、なんとも素っ気ないものだった。

見たことある顔が次々と卒業証書を受け取っている。
しかし、見たことはあるが、話したことのない顔ばかりだった。
僕は、学部に友達が極端に少なかった。しかし、その事に対して後悔はなかった。
何故なら、もし僕が、同じ学部の同じクラスの人と仲良くなっていたら、僕はアールに入っていなかったはずだからだ。
しかし、一人寂しく授業を受けていたあの日々を思い出すと、悲しくなるのも事実だった。

しばらくその風景を眺めた後、僕も卒業証書を貰うため列に並ぶことにした。
本音を言えば全く欲しくない。
僕には、卒業証書が社会行きの切符にしか見えなかった。
皆、何の躊躇いもなく卒業証書を貰い、帰って行く。社会に出ることの不安など微塵も感じさせずに。

遂に僕の番がやって来た。
受付の人に学生証を見せると、受付の人は僕の卒業証書を探し始めた。
どうやらなかなか見つからないらしく、手こずっている。
僕は、受付の人が卒業証書を探している間、学生証の写真を見た。そこには、高校三年時分の僕が映っていた。この時の僕は知らない。まさか僕が、こんなに東京にしがみついて往生際の悪い奴になってしまうなんて。

「卒業おめでとうございます。」
その言葉で僕は我に返り、差し出されてた卒業証書を受け取った。
それを受け取ることで、卒業する、という実感がジワジワと湧いてきた。
しかし、手にした卒業証書は、どうしたって社会行きの切符にしか見えなかった。

こうして社会行きの切符を手にした僕は、大学を卒業した。
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春、別れ2

2008-01-03 02:20:18 | 春、別れ
僕は東京駅でショウコさんを待っていた。
東京駅には、それらしい格好の人が沢山いて、卒業式会場の東京国際フォーラムに向かって歩いているようだった。
東京国際フォーラムへ向かうそれらしい格好の人達は、僕とは違い、希望で満ち満ちている、そんな風に見えた。
と、その人達の流れに逆らい、僕の方に向かってくる人一人。それらしい格好をしたショウコさんだった。
滅多に着ることのない晴れ着を着たショウコさんは、とても嬉しそうだった。
未練の塊である僕とは大違いだ。

ショウコさんと合流し、僕らも東京国際フォーラムへ向かうことにした。
上京して四年。東京国際フォーラムに近い東京駅に何度も足を踏み入れたが、結局慣れることはなかった。
初めて東京駅に訪れたときは、驚いたもんだ。まるで迷宮じゃないか、と。これが東京砂漠なのか、と。
そんな迷宮さながらの東京駅で、最後の最後まで迷うのか、と思ったが、周りの流れに身を任せることで容易く東京国際フォーラムまで到達できた。いや、ショウコさんがそこまで導いてくれたんだっけ。

卒業式は、非常に呆気ないものだった。
途中で昼食を食べラーメン屋に行ってしまうほど、本当に呆気ないものだった。「飯食いに行こう」って、タケルが言ったんだっけか。
入学式の時のような高揚や期待などは、皆無だった。母親がサークル勧誘のビラを多量に抱えてくる、そんな恥ずかしさも当然なかった。
あるのは、あの入学式からもう四年も経ってしまったのか、という驚きと断ち切ることのできぬ大学生活への未練、そして、消えることのない不安だけだった。
未練はともかく、大学生活の終わりと共に僕らを隔てる距離と時間、それらへの不安だけはどうしようもなかった。

僕は、そんな不安を吐き出さないよう、必死にラーメンを啜った。

卒業式の最中にラーメン屋というのも、案外悪くないかもしれない。
(ただ、卒業式に出るのならちゃんと出た方が良いのは確かだぜ!出ときゃ良かったってちょっと思うもん笑)
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