マツダでラーメンを獲得し、ホンダでS2000のカタログを入手した後に、我々取材班が向かったのは、今技術的にもっとも熱いメーカー、フォルクスワーゲンのディーラーである。
今、話題の1.4L直噴+ツインチャージャーのTSIエンジンを搭載する「ゴルフGT TSI」を試す。非常にスルスルとジェントルに加速する。6速DSGはシフトショックといったものは皆無で、電光石火のシフトチェンジをこなす。ステアリングは路面のフィールをしっかりと伝え、それでいてキックバックもなく、高級感がある。シェーバもそうだが、やっぱドイツ製は一味違う。
そして、2.0LターボのGTI。ステアリングの形状を見ただけで、私のハートは熱く高まる。そして、このクルマは速い。速すぎる!まるでレガシィGTのごとく、ターボラグなんかまったく感じさせず、いつの間にか相当なスピードが出ているのだ。まったく快感である。
・・・で。以下にど素人ドライバーである私個人の率直な感想を語ろう。
まず、DSG。コレはダイレクト感があり、スロットルとエンジンの間にトルコンという薄皮をかぶせてしまう普通のATとは違って、MT車のようにスパッと加速する。素晴らしい技術だ。これは、MT車よりも絶対に速い。いや、今やDSGでなくても、最近のAT車はMT車よりも速く走れるのかもしれないが。
しかし、それが面白いか面白くないかと問われれば、やっぱMTのほうが圧倒的に面白い。というか、MTの方を私は好む。
MT車と違って、いかにシフトショック無くシフトアップするかとか、どのくらい「中ブカシ」を入れればスムーズにシフトダウンできるかとか、左足を動かすタイミングをどうするかとか、このDSGはそういうコトをまったく考えなくていいワケである。つまり、MT車で中ブカシがぴったり合ってヒール&トウが決まった時の快感というか自己満足を、DSGでは得ることができないのだ。それは、孤独な修行僧のように、クルマを運転して自分のスキルを確認したい私のような人間には向いていない。
そして、TSIエンジン。カタログによると、ツインチャージャー付き1.4Lエンジンは170psで14.0km/L走るという。もちろん、プレミアムガソリン仕様。そのスペックもさることながら、街乗りでのフィールも素晴らしい。
そこで、私のレガシィ2.0iのことを振り返ってみる。2.0Lのフラットフォーエンジンは140psでやはり14.0km/Lの燃費。そしてレギュラーガソリン仕様。さして凝ったメカニズムを持たずにこの数字を出すレガシィ2.0iも素晴らしいとは言えないだろうか。このクルマは230万円以下で買えるのだ。このクルマの実用燃費はイイし、5MTを操れば、スポーティかつ爽快に走る。
ボディの剛性感については、このゴルフというクルマは大したものだと思う。私のレガシィ2.0iも基本的にはガッシリしているのだが、経年変化からか、最近リアのトノカバー周辺とか、フロントのダッシュボード辺りから、やや異音がするようになってきた。このゴルフについては、そのようなことは皆無であった。
しかし、ドアを閉める時の音はレガシィのほうが、「バスッ!」と気密性の高い音がして高級感がある。コレは、みなさんディーラー等で試してみてほしい。
静粛性については、ややレガシィのほうが上回る。ゴルフで特に気になったのはロードノイズなのだが、セールスマン氏によると、「ここの路面の舗装が、ロードノイズの出やすい素材なんですよねぇ」と。なるほど、そういうこともあったのかもしれない。とはいえ、昔のゴルフと比べれば、そうとう静かになったとはいえよう。
つくづく思ったのは、レガシィもゴルフと遜色ないところまできたのだなぁということであった。100km/hを越える速度域ではまた印象も違うのかもしれないが、それ以下の速度域では、レガシィはゴルフに遜色ない。両方試乗して、好きな方を選べばよかろう。
今日は、話が長くなってしまった・・・今回の試乗で私の感じたゴルフとレガシィの最大の違いは、「革巻ステアリングホイール」の触感であった。ゴルフのそれがサラリと乾いた感触だったのに対し、私のレガシィは、どことなくウエット感があった。最初からそうだったのか、1年間運転して私の手のひらの汗がステアリングに沁み付いてしまったからなのか、それは、今のところ謎である。
DSGは、確かに素晴らしい装置で、とても人間ワザではあんなシフトチェンジは不可能です。
しかし、私が免許を取ってから一貫してMT車に乗り続けているせいか、やっぱ他のAT車同様に、やることがなくてヒマなんですよ。どうもクルマを走らせている実感がなく、乗せられている感じというか・・・
それは、私が普段は渋滞と無縁な環境で暮らしているからかもしれないのですが・・・