その日我々取材班が最後に向かったのは、三菱のお店。
アウトランダーPHEVに触れてみたいとの要望が、尾車氏より挙がったためである。
試乗させていただいたのは「G Safety Package」(税込車両本体価格366万4000円)だった。
正直私は「プラグインハイブリッド車」の定義がよく分かっていなかった。
セールス嬢さんの説明でおおまかに分かったのは、ざっくりと言えば、「基本はEVで、エンジンはアシスト役」であるということである。
つまり、基本的にはホイールベース間に積まれた駆動用バッテリーを使ってモーター走行する。必要に応じてエンジンを回し、その動力を発電や駆動に使うのだそうだ。
モーターが前輪にも後輪にも配された4WDであるが、エンジン動力で駆動するのは前輪のみ。
駆動用バッテリーの総電圧は300Vで、燃料タンク容量は45L。
カタログ上の「プラグインハイブリッド燃料消費率」は67.0km/L。これは、駆動用バッテリー満充電の状態で計測したものである。
そして「ハイブリッド燃料消費率」は18.6km/L。駆動用バッテリーを使い切った状態で、いわゆる「普通のハイブリッド車」として計測した燃費が、これである。
タコメーターは無く、その代わりにハイブリッドシステムの出力/回生充電状況を示す「パワーメーター」が装着されている。
シフトレバーは、ハイブリッド車のお約束である「ジョイスティックタイプ」である。
さて、走り出してみる。車両重量1790kgと重いクルマだが、出足はモーターなので、そのトルクを活かして楽々と加速する。そのフィールは、地下鉄を公道で走らせているかのように、まさしくシームレス!
また、ホイールベース感に積まれた駆動用バッテリーがちょうどいい重しとなっているのか、そのしっとりとフラットな乗り心地も、実に好印象である。
なによりも、純粋なEVと違って、駆動用バッテリーがカラになってもガソリンを給油すれば普通のハイブリッド車として使えるというのが、大きなアドヴァンテージだ。
純粋なEVについて言えば、北海道のように航続距離が長く充電インフラが整っていない場所では、やはり現実的な選択ではない。しかも、冬期間はヒーターやデフォッガーなど電装品を使う機会も多く、吹雪けば昼間でもヘッドライトを点けなければいけない。
その点、ガソリンエンジン駆動という保険を持つ「プラグインハイブリッド車」は、北国では現実的な選択肢となりうる方式だ。
アウトランダーPHEV。あなどっていたが、実は、素晴らしいクルマかもしれない。参りました。