6
桃恵は携帯端末を取り出すと、何処かへ電話をかける。
「あっ。ましゃ?元気してた~!そうそう、桃恵だよん。お久し振り~。頼みがあんだけどさ~何言ってんの。貸しがアンデショ~ましゃには(笑)そうそう分かればいいんだよ~素直が一番イケメン二番!それでさ、車を向かわせてよ~場所は…」
賭けに負けたとはいえ、桃恵のこのお気楽な態度に納得が行かない仁美だった。
まあ、それはそうよね。
「…じゃあ頼んだわよ~ほんじゃね」
携帯を切る桃恵に仁美は尋ねる。
「どちらと?」
「ああ。この辺りを仕切る人に頼み事。帰りの足を確保したからね~」
「足…ですか?」
「そうそう。杏張りに無免許運転も出来ない訳じゃないけど、肝心の車も無いし、第一桃恵が悪い事なんて出来ないわよ~」
いや、利になる事なら、アメリカの大統領すら口上手くだまくらかして悪事に直接手を染めずにやり遂げるだろうと仁美は思う。多分正しい見識ね。
「じゃあ、護符を貰いに行きましょうか。仁美ん!」
仁美は黙って前を進む桃恵の後に、散歩を嫌がる子犬の様に続く。
桃恵がポケットからキャンディを取り出して後ろも振り向かずに上に放り投げると、仁美の前にゆっくりと放物線を描いて飛んで来る。
仁美がそれを口を開いて受け止める。
少し進んでは同じ事を繰り返しながら、二人は息があったリズムで歩いていた。
「全く太閤殿は人使いが荒いぜ~もう…」
眼帯をずらしながら、男は配下の者を呼んでRV車の手配を命じる。
「さて、この件は征夷大将軍に知らせるべきか?」
男は窓の外の町並みを見ながら額に皺を寄せて悩む。
そこへ一人の女性が部屋にやって来た。
「また太閤様から難儀な依頼ですか?殿様」
笑いながら言い放つ女性に男は頷く。
「大将軍殿に伝えるべきか迷っているのだが」
「殿様はいつでも大将軍様を討てる身。それよりも太閤様に得意の手料理でも振る舞われては?大将軍殿も一目置く腕前を」
女性はそう言って厳かに笑う。
「そうするか。支度をするので手伝ってくれるか?愛姫」
愛姫と呼ばれた女性は嬉しそうに答える。
「はい、喜んで。梵天丸様」
「幼名で呼ぶのはやめろ」
「じゃあ、ましゃ…?」
「お前さんは太閤かぃ!」
「はいはい。独・眼・竜・様」
二人はいそいそと部屋を出て厨房へと向かう。
桃恵は携帯端末を取り出すと、何処かへ電話をかける。
「あっ。ましゃ?元気してた~!そうそう、桃恵だよん。お久し振り~。頼みがあんだけどさ~何言ってんの。貸しがアンデショ~ましゃには(笑)そうそう分かればいいんだよ~素直が一番イケメン二番!それでさ、車を向かわせてよ~場所は…」
賭けに負けたとはいえ、桃恵のこのお気楽な態度に納得が行かない仁美だった。
まあ、それはそうよね。
「…じゃあ頼んだわよ~ほんじゃね」
携帯を切る桃恵に仁美は尋ねる。
「どちらと?」
「ああ。この辺りを仕切る人に頼み事。帰りの足を確保したからね~」
「足…ですか?」
「そうそう。杏張りに無免許運転も出来ない訳じゃないけど、肝心の車も無いし、第一桃恵が悪い事なんて出来ないわよ~」
いや、利になる事なら、アメリカの大統領すら口上手くだまくらかして悪事に直接手を染めずにやり遂げるだろうと仁美は思う。多分正しい見識ね。
「じゃあ、護符を貰いに行きましょうか。仁美ん!」
仁美は黙って前を進む桃恵の後に、散歩を嫌がる子犬の様に続く。
桃恵がポケットからキャンディを取り出して後ろも振り向かずに上に放り投げると、仁美の前にゆっくりと放物線を描いて飛んで来る。
仁美がそれを口を開いて受け止める。
少し進んでは同じ事を繰り返しながら、二人は息があったリズムで歩いていた。
「全く太閤殿は人使いが荒いぜ~もう…」
眼帯をずらしながら、男は配下の者を呼んでRV車の手配を命じる。
「さて、この件は征夷大将軍に知らせるべきか?」
男は窓の外の町並みを見ながら額に皺を寄せて悩む。
そこへ一人の女性が部屋にやって来た。
「また太閤様から難儀な依頼ですか?殿様」
笑いながら言い放つ女性に男は頷く。
「大将軍殿に伝えるべきか迷っているのだが」
「殿様はいつでも大将軍様を討てる身。それよりも太閤様に得意の手料理でも振る舞われては?大将軍殿も一目置く腕前を」
女性はそう言って厳かに笑う。
「そうするか。支度をするので手伝ってくれるか?愛姫」
愛姫と呼ばれた女性は嬉しそうに答える。
「はい、喜んで。梵天丸様」
「幼名で呼ぶのはやめろ」
「じゃあ、ましゃ…?」
「お前さんは太閤かぃ!」
「はいはい。独・眼・竜・様」
二人はいそいそと部屋を出て厨房へと向かう。