くまだから人外日記

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黍(きび)色ミラージュ騎士団(四聖獣〜戦巫女の間のストーリー) プロローグ2 〜 第1章枯れ野の薔薇 1

2018-03-19 00:23:06 | 【偽書】シリーズ
「何故彼等は集い、何故彼等は非道な戦いの露と消え失せたのか?
それを解き明かすお話です」
「そもそもが正規の騎士ではなかろう。特に九人目の女騎士は」
「史実では、元々騎士は八人であり、また確かに女性の存在も残されてはおりませんが」
「やはり作り話か」
「ですが、もしその九人目の女騎士が居れば、黍色ミラージュ騎士団の血脈も現代に続いている可能性もありますが」
「あくまで仮定の話に何の価値がある?」
「では、この話はどうでしょう?騎士団が命に代えて守ったとされるクイーン・モルザには実の子孫は存在しませんが、その侍従の女騎士が産みし男子を養子として育てた話です」
「それこそ後日作られた養子向けの語り話であろう」
「その継太子の名は“アルフェス・デ・サードズ”…騎士団長のファーストネーム“アルフォンソ”の幼名を得ています」
「どこまでも、あるべき論の好きな事だ」
「そしてそのアルフェスの娘の名は“ヴィエラ”産みの親の名前を付けているのです」
「母の名を冠したか」
「それだけではありません。その娘の子孫のひとりの名前が…“ジュノーラ”…先の四聖獣朱雀の加護を受けた娘に付けられた名と同じです」
「皮肉だな。狂える赤き血の龍に没された騎士団の生き残りの血脈が、先の聖獣の加護を得る者に繋がる名前など」
「さて。では、その皮肉な名繋がりの“九人目の騎士”の話でも、夜伽に語りましょうか」
「話より色香ある…」
そう誘う男の唇を人差し指で封じて、その女は語り始める。
短い夜の長い伽を。



ジュノーラの末裔とも噂される、その“九人目の女騎士”の話を。


第1章 枯れ野の薔薇

「見た者がいるのだ」
「大龍の頭に乗ったその女の話か」
「聖獣に加護されたあの四皇女だけならずとも、龍と契約せしクレリックの噂たるや、誠であろうか」
「誠でもあり、虚仮でもさもありなん」
「北の廃墟に向かって飛空して行ったのか」
「幻でなければの話だ」
「己が眼を信じぬのか」
「龍だぞ。おいそれと見る事叶わぬ者をそうそうやすやすと信じるものか」
「鳥や獣とは違うか、龍は」
「違う。そう、人智を超えた存在なのだ。龍は」
「では参ろうか。北の廃墟へ」
酒場のテーブルで語り合う二人のハンターの会話を背中越しに耳にする、恰幅のいい若武者。






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筆者敬白

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