心人-KOKOROBITO-

亡き先人と今を生きる人に想いを馳せて
慰霊活動や神社参拝で感じ取った事を書き綴った日記と日々の雑感コラム

賠償から見えてくるもの

2012年06月27日 | 震災
原発事故が起きた平成23年3月11日から、1年3ヶ月と16日が経ち、今日、実質的に東電が国有化となった。

そして今日、何の前触れもなく、関西電力から1通の葉書が届く。万が一計画停電を実施した場合、細かな日程と実施エリアを示す番号が書かれていた。なんだか、脅迫されているかのような不快感を感じずにはいられなかった。

皮肉にも、今日こんな話しも耳にした。それは、著名な方のオフレコ発言の一部だが、東京電力の賠償についてだった。

現在、公表している東京電力の賠償請求に関する説明サイトだ。
http://www.tepco.co.jp/comp/faq/index4-j.html

改めて、オフレコの中身の骨となる部分を照合するため、このサイトをチェックしたのだが、まとめると以下の通りだ。

【賠償対象者】
1)平成23年3月11日時点で「自主的避難等対象区域」に住民登録をされていた方。
2)平成23年3月11日時点で「自主的避難等対象区域」内に生活の本拠としての住居があった方。
3)平成23年3月11日時点で「自主的避難等対象区域」にお住まいで、住民登録をされていなかった方
4)「避難等対象区域」内にお住まいであった、18歳以下の方および妊娠されていた方、伊達市の「特定避難勧奨地点」に事故当時お住まいであった方。

【賠償対象者外】
1)平成23年3月11日時点の生活の本拠としての住居が「自主的避難等対象区域」外にあった場合は、平成23年3月12日以降に「自主的避難等対象区域」内に転居されたとしても、賠償の対象とはならない。
2)旅行、出張、帰省、親戚宅への訪問(冠婚葬祭等)といったご事情で一時的に「自主的避難等対象区域」内に滞在されていた場合は、賠償の対象とはならない。

【賠償額】
1)18歳以下であった方、及び妊娠されていた方、実際に避難をされた場合は、付き添いの方を含め世帯の支出が大きいと考えられることから、お一人あたり20万円を40万円に追加変更する。
2)平成23年3月11日時点で生活の本拠としての住居が「自主的避難等対象区域」内にあった場合は、避難をされてない場合にも、18歳以下であった、及び妊娠されていた方には40万円、それ以外の方には8万円を支払う。
3)平成23年3月11日~平成23年12月31日の間に妊娠されていた方と、平成23年3月11日~平成23年12月31日の間に生まれた方のそれぞれの方に対して40万円を支払う。


ざっと、このような内容だ。支払うべき賠償の対象期間は明記しているが、いつまで賠償するのか?という明記がなかった。

著名人の方は、東北人を骨抜きにすると指摘し、東電と政府の賠償に対する姿勢を猛烈に憤っていたが、このサイトを見て、納得出来るものを深く感じ、憤りに共感するものが過分にあった。

例えば、「自主的避難等対象区域」に居住し、震災後避難生活をした場合、以下の家族構成であれば、賠償額はこうなる。

【被災時 4人家族】
夫:28歳 元サラリーマンで震災後失業~現在無職
妻:26歳 震災時妊娠5ヶ月 主婦~その後妻が平成23年9月に出産
子:4歳  幼稚園児
子:2歳  自宅待機

【計算式】
夫は8万円だが、付添い人に該当するため、40万円。
妻は当時妊娠していたので40万円。
子2人は、18歳未満なので40万×2名=80万円。
出産後の赤ちゃんも、40万円。

合計で、毎月200万円が賠償される。
加えて、夫が現在無職のため、失業保険も加算される。平均すれば給料の50%~80%が給付される。在職時に支給されていた給料が、30万円だとすれば、仮に70%給付されれば21万円だ。但し、失業保険は加入期間によって支給期間が定まるが、例えば6年勤続し、震災によって会社倒産していたとすれば、120日は給付対象となる。再就職活動をしながらも、期限が切れる前に延長手続きをすれば、さらに支給される。

4ヶ月間は失業保険も加算されるため、221万円となり、失業保険の給付が終わっても、延長手続きをすれば、同額を手にする事が出来る。

果たして、この金額を見て、どう感じるだろうか。毎月給料30万円で家計をやりくりしていた世帯が、震災後は毎月221万円だ。仮に失業保険給付を除外しても、1年で賠償額は、2,400万円である。それが5年続けば、1億2,000万円、10年続けば2億4,000万円だ。

オフレコ部分は、20万から40万へ追加変更した部分だ。ここには、枝野内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償支援機構担当)の強行な東電への圧力があったとされている。加えて、期限なき賠償の上に、住宅ローンを抱えている被災者の問題も、一括で債務返済出来るよう東電に圧力をかけたと聞いている。

被災地は、東北だ。東北人の辛抱強さ、自然の厳しい地域に根付いた相互協力、 そんな精神を、原発事故の放射線の憂い以上に、この賠償額によって、頑張る気力を喪失させていないだろうか。働く気力も喪失させてはいないだろうか。

復興には、確かに金もいる。しかし、気力を喪失させるほどの金は必要だろうか?手にする高額の賠償額が、本当に彼らのためになっているのだろうか?被災地にこころを寄せながらも、この賠償に対する東電と政府の姿勢には、疑義を強く感じている。手厚くする事は大切だが、手厚くしすぎる事は、わたしは決して正しいとは思えないからである。

仏教用語にも【いい加減】という言葉がある。今では悪い意味を表現する際、用いられるが、本来は良い意味なのだ。可もなく不可もなく、ちょうどいい頃合を指した言葉だ。

いい加減の加減を見定めず、過剰に賠償すれば、被災住民の不満の口封じでも出来るかの如く、期限も定めず支給しているが、東電には、未来のビジョンが全くなく、同時に、政府にも一切このビジョンが見えては来ない。飛躍した見解かもしれないが、やはり、東電も政府も、本気で東北を、東北人を救おうという気概は微塵も感じられないのである。

そして、今日の実質国有化のニュースだ。民主党の復興支援のツケは、皆まで書かぬとも、後は押して知るべしだろう。

さらなる失意と憤りが暴発しながらも、願いや祈りは増すばかりだ。そう、早期解散総選挙。とにかく、民主党には内紛の上、去って頂きたい。国民にとって、何一つ良いものを提起出来ないのだから。

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