できるだけごまかさないで考えてみる-try to think as accurately as possible

さまざまなことを「流さずに」考えてみよう。"slow-thinking"から"steady-thinking"へ

「子どもを守れ!」と言いながら、全然子どもを守ろうとしない「インチキネットワーク」

2011-05-24 18:29:40 | メディアリテラシー・マスゴミ考察

何でも「子どもを守れ!」と叫べば、「正義のネットワーク」になるわけではない。

まず、2日前の当ブログに貼った、4/29現在の放射線値マップをもう一度貼る。福島市の放射線量は、このくらいである。ソースはこちら。

文部科学省及び米国エネルギー省航空機による航空機モニタリングの測定結果について(pdfファイル)

 

 

文科省と厚労省が共同で設定した「今回の被曝限度」は、年間で20ミリシーベルト/年である。これまた前から貼っている、放射線医学総合研究所HPにあった図も貼る。

 

 

 

年間最大被曝量を20ミリシーベルト/年に定めた経緯は、このページにある。

 

放射線被ばくに関する基礎知識 第6報(放射線医学総合研究所)

1.4月11日に、政府が計画的避難地域というものを指定しましたが、基準になっている20ミリシーベルトの意味について教えてください。

国際放射線防護委員会(ICRP)は専門家の立場から放射線防護に関する勧告を行う国際学術組織ですが、今回の基準は、このICRPの勧告を基に原子力安全委員会の助言を得て定められたと報道されています。

ICRPの2007年勧告では、非常時の放射線の管理基準は、平常時とは異なる基準を用いることとしています。また非常時も、緊急事態期と事故収束後の復旧期を分けて、以下のような目安で防護対策を取ることとしています。

   1 平常時:年間1ミリシーベルト以下に抑える
   2 緊急事態期:事故による被ばく量が20~100ミリシーベルトを超えないようにする
   3 事故収束後の復旧期:年間1~20ミリシーベルトを超えないようにする

現在の福島第一原子力発電所の状況は、2)の緊急事態期に当たります。

今回の国の方針は、緊急事態期の被ばくとして定められている20~100ミリシーベルトの下限値にあたるもので、福島原発周辺の方々の被ばくが、事故による被ばくの総量が100ミリシーベルトを超えることがないような対応をしつつ、将来的には年間1ミリシーベルト以下まで戻すための防護策を講ずることを意味していると思われます。(ここまで)

 

年間20ミリシーベルトを越えないようにな被曝量として、1時間あたり3.8マイクロシーベルトという結果が出た計算はこれである。

 

これも2日前の当ブログに書いたように、福島市でも、局地的に1時間あたり3.8マイクロシーベルトを越えている学校の校庭があったが、これは校庭の土を5センチ程度削ることで、1時間あたり3.8マイクロシーベルトを下回る放射線量となっている。

ということは、少なくとも福島市においては、線量計で特に高い線量値が出る地域が他にない限り、基本的に安全であるし、特に高い線量値がある地域でも、その場所(屋外)に数百時間以上居続け、年間20ミリシーベルト(=20000マイクロシーベルト)にならない限り、安全と考えて良い。以下に引用する、文科省の原子力安全監の姿勢でとりあえずは問題はない。

 

 

(どちらもソースは昨日のNHKニュース7)

 

問題があるとすれば、校舎の片隅に山として積まれている「線量値の高い土」の処理方法で、これは、私の個人的な考えとして、東京湾に捨ててかまわないと考える。

 

しかしながら、5/2に引き続き、昨日(5/23)にも、文科省に、

「子どもたちを放射能から守る 福島ネットワーク」

という集団がやってきて、

・20ミリシーベルト/年という基準を、平時の1ミリシーベルト/年 に戻せ!

・校庭の隅に積まれた汚染土の処理費用を出せ!

という要求を出した。映像に民主党参議院、小沢一郎擁護者でお馴染みの森ゆう子議員もいるので、おそらくは彼女あるいは他の議員が、文科省役人(原子力安全監)と会わせるような手はずを整えたのだろう。

 

(この画像はテレビ朝日「報道ステーション」から。右で腕を組んでいるのが森ゆう子、左で拡声機を使っている人が、この『ネットワーク』のリーダー格と思われる。なぜなら、先日のETV特集、「ネットワークで作る放射能汚染地図」でも住民の代表として、上記と同様のことを訴えていたからである。)

 

(↑こちらがETV特集の映像)

 

上記の二つの要求のうち、二つ目(汚染度の撤去費用)については私も賛成なのだが、今回の「要求」という行為は、映像を見る限り、単なる「要望書の提出」などではなく、集団で文科省役員をつるし上げる「糾弾集会」の様相を呈していた。いくつか画像を貼る。

 

(ここまでが「報道ステーション」)

 

 

 

 

(ここまではNHKニュース7)

「全国各地」から「500人超」って何だよ。ただの「糾弾集会」を行い、鬱憤を晴らしているようにしか見えない。

 

 

(ここまで、フジテレビ「ニュースJAPAN」)

 

「福島の子どもたちをモルモットにするということですか!」とすごむのは、一見もっともな怒りのようだが、不思議でならないのは、それだけ放射能を恐れている集団であるにもかかわらず、子どもたちの姿がこの集団の中に散見されることである。東京の放射能は全然気にならないのだろうかこの人々は。その点が全く理解できない。

 

 

 

 

 

 

この4枚も「報道ステーション」からのものだが、泣くほど放射能を恐れながら、なぜ子どもを東京(屋外)に連れて来ているのだ?本当に放射能が怖いのなら、こういう集会の時は、東京に出てきた後、屋内に待避させておくのがイロハのイではないのか???

 

 

 

ハイ反原発派が大好きな「学者」さんである、京都大学小出裕章助教による分析(ソースはこちら。これもpdfファイル)。風向きによっては、東京でも何と1日に210マイクロシーベルト(=0.21ミリシーベルト)も放射性物質が飛んできている(小出氏の論理によると、ということだが)。彼らはこういう「事実」を知らないのか、あるいは知っててもどうでもいいのか。だとすれば、上の「涙」には、どのような意味があるのだ?

 

もしかすると、ここに「動員」されている「実際の父母たち」は、

・「福島」は危険だが、「東京」は安全だ

などというウソをすり込まれてでもいるのだろうか???そうでなければ、この場に子どもを同席させる理由がわからない。唯一考えられる合理的な理由は、示威行為である。「オレたちの存在を認めろ!オレたちの言うことを聞け!」とすごんでいるのである。自分の子どもをモルモットにして。

 

ここにも子どもがいる。二人。

 

ここにも子どもがいる。マスクすらしていない。

上と同じ子である。

 

「子どもをモルモットにするな!」と怒りながら、ちゃっかり自分たちの子どもを、ヘタをするとマスクもさせずに東京の空の下に連れてくる。子どもをモルモットにしているのはこの馬鹿げた連中に他ならない。

 

決定打はこれであろう。

"No Nukes"(原発はいらない)というメッセージがビニール傘に書かれている。要するに彼らの中には、相当数の「原発総会屋」が紛れ込んでいる、いや、ヘタをすると、その原発総会屋がこの集団を煽っているのかも知れない。「原発総会屋」とは、原発の被害を事実かどうかに関係なく徹底的に拡大して示威行為をすることで、「原発をなくす」という政治的目的を達成しようとする集団だと私が定義した。

 

この集団にはブログがある。

子どもたちを放射能から守る 福島ネットワーク

「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」は、福島県内外にこどもを持つお母さん、お父さんが中心となって、たくさんの市民・県民の方々が参加して作られました。

正しい知識を身に付け

ひとりひとりができることを

ちからを合わせできることを

集まって話し合って力を合わせて子どもたちを守りましょう!

(ここまで)

 

ハ?「正しい知識」???彼らに、「本当に正しい知識」があるのなら、少なくとも東京でさえ、微量の放射線が来ているということを知っているはずだ。それを、「福島よりはマシだから」という「小理屈」で、平気で無視ができる彼らは、少なくとも福島の子どもたちを全く守ろうとしていない。

 

本当に福島の子どもたちを守りたいのなら、許容放射線量で怒りをぶつけてその怒りで強引に制限値を下げさせようとするのではなく、校庭の隅に積まれた「汚染土」をどうすれば国または東電の費用で処理させるか、徹底的に冷静に話し合うことであろう。その方が、森ゆう子や文科省、厚労省、そして原発を管轄している経産省、さらには内閣府にも話は通しやすい。

そういう「現実的な計算」を全くせずに、"No Nukes"などという、今回の「子どもを守るための交渉」とは全く関係ないスローガンをビニール傘に平気で書ける神経、まさに、ここで何度も批判している「衆愚」そのものとしか言いようがない。子どもをエサにただ政治運動をしている連中は、子連れで聖書を押し売りに来るインチキクリスチャンと同じくらい唾棄すべき輩である。

 

あーあ。やっぱりこの「ネットワーク」もインチキ集団だったか。インチキじゃないネットワークって、「日本臓器移植ネットワーク」ぐらいしか知らない。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。