できるだけごまかさないで考えてみる-try to think as accurately as possible

さまざまなことを「流さずに」考えてみよう。"slow-thinking"から"steady-thinking"へ

何というか…最初から維新の会の公約は自己矛盾していた。なのに選挙特番でキレまくる橋下徹

2012-12-22 23:31:49 | Weblog

いろいろ忙しく、コメント返しが遅れていて申し訳ない。近日中にコメントさせていただくのでしばしお待ちを。

 

さて、本題に入る。まず、この後使う言葉である、ここでの「逆ギレ」の定義から。

逆ギレ:「聞く側がキレているかどうかに関係なく、聞かれている側が怒り(キレている状態)を含めて返答すること。」

 

冬期講習が始まったり何やかんやでもう土曜日にになってしまったが、日曜夜の開票速報番組で、人格的にではなく、戦略論的に「あ、これはまずいな」と一番強く感じたのが、維新の会の共同代表である橋下徹が、NHKの開票速報番組での武田アナウンサーからの質問に、みごとに「逆ギレ」で対応していた点であった。

 

NHKより、そのときの画像を。確か日曜の午後10時前だったと思う。

 

 画面左下がNHKの武田アナウンサー、月~金夜7時からのニュース、『NHK ニュース7』のメインキャスターでもある。

 

橋下徹は、この画像で顔だけは笑っているが、

武田「橋下さんはいつか首相になりたいとお思いですか。」

橋下「そんな下らないこと聞かないで下さい。」

↑のっけから逆ギレモード全開である。政党の代表として、できるだけ多くの有権者からの支持を今後も得たいと思っているのなら、「そんな下らないこと」という言い方からして、自ら支持者を減らしているのと同じだ。

 

武田「維新の党がこれからどういう政治を目指しているか伺いたいのですが。」

橋下「そんなの、維新の会のホームページに全部書いてありますよ。それを読んでください。」

↑橋下には、ホームページが読めない、字が小さくて読めないが、字を大きくする方法を知らない/教えられていない高齢者などの存在は念頭にないらしい。

そもそも、CMとして自党の政策を訴えるのにでさえ、15秒1回で数百万円かかる。それを、NHKという、高齢者層に特に視聴されている「自称公共放送」に「政策」を聞かれているのだから、これを「支持者を増やすチャンス」としてとらえることができない知性の低さ・・・これでも、司法試験に合格している弁護士であるという事実に照らすと、可能性としては

 

1 司法試験に合格したこと自体がまぐれであった。

2 この時間、橋下は単にキレていた。

 

のいずれかであろう。私としては2だと判断するのが妥当であると思うが(苦笑)。

 

石原慎太郎一派と合流したことで、本当は橋下でさえ明言していなかった「脱原発」(詳しくは後述)が、いかにも「今までは脱原発言っていたのにお流れになった」、という雰囲気が関西でも広がり、関東では「なんで石原がいきなりトチ狂ったんだ?」であるとか、「太陽の党が維新と合流していなかったら太陽の党に入れたかったのに」などの発言が大きな流れを生み、関西でも小選挙区でたった12、関東では小選挙区では一人も当選しなかった、という、合併が裏目に出まくった結果が橋下徹にはこの時点で明確に見えていたのであろう。だからこの時間帯にTVでインタビューされた橋下徹は、内心でははらわたが煮えくりかえっていたのだろうと思う。

 

 

維新の党は、比例代表部門では、40ちょっとの議席を獲得し、全体としては50議席ちょっとを獲得した。これが、橋下徹にとっては、「予想以上に少ない」ということなのだろう。今のオレと石原慎太郎の人気なら100議席は取れる!とでも思っていたのかもしれない。

 

さらに、日曜の夜はテレビ東京での池上彰の特番も並行して見ていたんだが、池上のツッコミに橋下は以下のように、これまた「逆ギレ」しまくっていた。

 

池上「当選者数が期待していたほどには届かなかった理由として、石原慎太郎氏との合流で、原発政策に対して方針がぶれた、と有権者から思われたという可能性についてはどう思いますか?」

橋下「いや、全然ぶれていませんよ。HPの私たちの公約を見てくださいよ。原発再稼働のプロセスを明確にせよという点は全く変わっていません。マスコミは私たちの党に対してそういう扱いをしないでいただきたいものですね(とまたキレ気味に、卑屈に答える)」

(まあ、こういう「直球」を投げるから、前回、2009年の総選挙あたりから池上彰の選挙特番はネット民(笑)たちから「池上無双」などとよばれているのであろうが)

 

というわけで、日本維新の会のHPより、今回の政権公約をダウンロードした。

 

当ブログでは、選挙運動が始まる前から、維新の会の「維新八策」(以下の図)は、大してカネも浮かないプランであるにもかかわらず、参議院を廃止し、首相公選制を導入するという意味で、ただの独裁制を指向している政党であると、その政策的観点から厳しく批判してきた。

これね。

これの批判について詳しくはこちらの記事を参照。

 

今回は、以下の「公約」を読んでみる。当ブログ初登場。pdfファイルのp.3である。

 

一読して鼻水が出た。上記赤線の部分と、紫線の部分は、いわゆる「反原発派」「脱原発派」「卒原発派」にとっては、全く両立しえない。

 

赤線部:脱原発依存体制の構築

紫線部:ルールの厳格化①安全基準②安全基準適合性のチェック体制

 

つまり、自己矛盾する文言を、平気で「公約」として、しかも「となり同士」に並べて書いてあるのである。

 

まだわからない諸君のために解説しておこう。上(脱原発依存体制)を実行するのなら、下(安全基準、安全基準適合性のチェック)など必要ない。そういう「安全基準」が国民はもう信じられなくなっているのだ!というのが、いわゆる「反原発派」「脱原発派」「卒原発派」の主張であるから、

・上を実行するつもりならば、そもそも下を実行する必要はない。順次、原発を廃炉にしていけば良いのだから。・・・①

 

逆に、下(安全基準、安全基準適合性のチェック)を実行するということは、安全基準と安全基準チェックをクリアした原発は普通に稼働させるべきだ、という論理的帰結が導ける。そして、それを「脱原発体制」とは言わない。少なくとも、いわゆる「反原発派」「脱原発派」「卒原発派」にとっては。すなわち、

・下を実行するつもりならば、それはいわゆる「反原発派」「脱原発派」「卒原発派」にとっては、「脱原発依存」ではない。すなわち、維新の会は、上をやるつもりはない。・・・②

 

以上、①、②より、上に貼った公約は、少なくとも、いわゆる「反原発派」「脱原発派」「卒原発派」にとっては、自己矛盾したものにすぎない。

それで50議席以上取れたのだから、むしろそれはラッキーと大喜びすべきであろう。なのに選挙特番に出るたびにキレまくった橋下徹。

 

ちなみに、ではいわゆる「反原発派」「脱原発派」「卒原発派」じゃない人にとっては、上の赤線部と紫線部が両立可能な命題なのかも検討してみる。

 

結論は、それでも「両立不可能」、すなわち、「自己矛盾している」と言わざるを得ない、というものになる。

なぜなら、上記赤線部の「脱原発依存体制」の定義が全くなされていないからだ。上記紫線部は、原発稼働の安全基準を厳格化し、その基準をクリアした原発なら再稼働もする、という意味を明確に内包している以上、その結果として、日本国内での、原発への電力依存度が、「脱原発依存」と言えるレベルなのかどうかが全く保証されていないからだ。なぜ保証されていないかというと、すでに書いたように、「脱原発依存体制」の定義が全くなされていないからだ。


橋下徹は、ツイッターで

「選挙で当選した政治家は、公約に書かれていないことに関しては一種の白紙委任状を得たのと同じである。だから、公約に書かれていることもいないことも、強力に実行する権限を持たなければならない」

という主旨の発言をしている。この発言をしたという事実が、私の勘違いではない限り、橋下徹は以下のように言い逃れする余地を残すよう、上のような「公約」を意図的に書いたのだろう、と推測せざるを得ない。


想定される橋下徹の返答:「政権公約には『脱原発依存』の『定義』を入れていませんよね?ということは、維新の会が何をもって『脱原発依存』とするかを決めるのは、私たち維新の会です。いわゆる白紙委任状を受けたのと同じです。そのくらい勉強してきてからモノを聞いて下さいよ(とまたキレ気味に笑うのであろうw)」


これでは、いわゆる「反原発派」「脱原発派」「卒原発派」じゃない人にとっても、上記の赤線部と紫線部の両立は不可能、と言うか、もっと言えば、上記の赤線部(脱原発依存体制の構築)は本当はやる気がない、と言われても仕方がないほどの、お粗末な「公約」を、「骨太」などと称してドヤ顔で


「私たちには実行力があります!民主がダメ!自民もダメ!だったら私たちに一回政治を任せて下さい!!」


などと叫んでいた、ということになる。それは「実行力」ではなく、単に「オレを独裁者にさせろ!」とジャイアンが言っているのと同じですよ、橋下徹クン。

 

 

・・・「脱原発依存」という言葉で政治を語っているのに、「脱原発依存」という言葉の定義すらしていない公約をドヤ顔で掲げる政党に、ただの「橋下信者」以外の、「公平に政策を見比べようとする有権者」がどれだけ支持者として投票してくれると思っているのだろう、橋下徹は。

 

そして、そんな橋下徹を政治家として絶賛してやまない石原慎太郎。そこにくっついている平沼赳夫。厳しい言い方だが、こういう現状を引き起こしているという一点だけで、石原慎太郎と平沼赳夫は、あの与謝野馨と同じくらい晩節を汚している、と言うしかあるまい。

 

あー、維新の会なんぞに入れなくて良かった。所詮はこの程度の「クチだけ自称政治家の寄り合いニセ政党」だということだ。

 

しかし、現実として、この党が衆議院で50議席以上取り、「第3勢力」となってしまった。彼らの今後の動きは、今後も注視しなければなるまい。

 

維新の会は、政策的な面で、極めて危険な政党である。

 

 



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