できるだけごまかさないで考えてみる-try to think as accurately as possible

さまざまなことを「流さずに」考えてみよう。"slow-thinking"から"steady-thinking"へ

改めて、平和について考えてみる 2

2004-11-05 00:44:06 | Weblog
 前回採りあげた、

「実際の戦争の悲惨さを知れば、戦争は絶対に認めてはならないことは当たり前のことだ!」

という発言についてさらに考えてみる。

 「戦争を絶対に認めてはならない」ことは、憲法9条に言うような、「陸海空軍その他の戦力は保持しない」ということと同じ意味なのだろうか?(実際に日本には自衛隊という軍隊に類似した組織が存在するが、それについてはまた別の機会に考えることとして。)

 一学期にも述べたように、国内政治に目を向けると、国内の無秩序状態を避けるために警察組織というのが置かれている。国民が国内の平和や秩序をのぞむことは当たり前であるとしても、だからといって「警察組織があるから国内の平和が脅かされる」とは誰も言わない。

 したがって、国際的な秩序保持機構がない現在としては、軍隊を秩序保持機構として見なせる限りは、「平和が大切だから軍隊は不要だ」という主張は成り立たないということになる。

 そうすると、次の問題は、「軍隊を秩序保持機構として見なせるのはどういうときか、逆に、軍隊を秩序保持機構として見なせないのはどういうときか」というものになる。



忘れないうちに補足

http://www4.ocn.ne.jp/~aoitori/kenpou8.html
に、吉田茂の国会答弁が記載されている。以下青色部分引用。
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現行憲法草案が議会で審議されていた時、当時の首相、吉田茂は九条の意味について、次のように述べている。

「戦争放棄に関する規定は、直接には自衛権を否定していないが、二項で一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争も、また交戦権も放棄したものであります。従来、近年の戦争は多くは、自衛権の名において戦われたのであります。ゆえにわが国においては、いかなる名目をもってしても交戦権は先ず第一、自ら進んで放棄する。放棄することによって全世界の平和の確立の基礎をなす」

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 ということは、現在通説とされている「自衛隊は合憲である」という主張自体も、決して自明なことではない。改めて考える必要があるだろう。


 

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2 コメント

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永遠の命題 (通りすがり)
2004-11-05 01:01:19
「戦争と平和」

人類にとっては永遠の命題であると思います。

しかも、永遠に解けることのない命題・・・。



最近、こんな視点から考えてみようかと。

「戦争と平和は、政治である。」

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コメントありがとうございます (白河夜船(作者))
2004-11-05 01:40:23
コメントありがとうございます。



この問題は、難しいからといって放っておいても、刻一刻と決断が求められるという点が厳しいですよね。「考えない」=「現状追認」と見なされますから。



多くの政策課題がそういうものですが、平和の問題については、直接人命がかかわるだけにさらに難しいものですね。



答を出すことそのものよりも、答を出す姿勢を鍛える、そういう場として使っていきたいと思います。

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