シニア世代の恋愛作法(白浜 渚のブログ)

シニア恋愛小説作家によるエッセイ集です
 ブログの記事すべての内容に関する権利は白浜渚に所属します。
 

シニアカップルの経済学

2015年12月30日 16時17分17秒 | シニアの恋
シニアカップルの経済学
旅の思い出(田淵雪江の手記より)

ふたりで2泊3日の北海道旅行に行きました。彼と知り合ってもう5年目になります。何度か二人で旅行もしてきましたが、お互いに年金生活者、二人とも裕福な方ではないので某旅行社の格安パックツアーをネットで探して3か月ほど前に予約しました。私たちは、お金を出し合ってあらかじめ旅行費用をためているんです。集めたお金は私が管理します。日常の二人一緒の行動の時にも私が持っている「二人のお財布」から出費します。

いくつになっても恋人と二人で旅行するというのは良いものですよね。二人で旅行費用を振り込みに行くと、子供の頃どこか知らないところに連れて行ってもらえるような、うきうきした気分になり、買い物のついでにショッピングセンター内の喫茶室でつい彼とおしゃべりを楽しんじゃいました。よそ目にはきっと、買い物に疲れた老夫婦が、コーヒーを飲んで一休みしているように見えたでしょうね。でも私たち「恋人」なんですよ・・・

羽田から1時間ちょっとでもう函館空港です。最初の訪問地は苫小牧の「ノーザンホースパーク」。紅葉が美しい園内をのんびりと散策し、乗馬の体験もしました。






小樽では添乗員さんの案内で「ガラス工房」などのショッピング・・・。でも私たちは勝手に群れを離れて「小樽運河」を歩いてきました。







少し寒かったので、繫いだ手を彼のコートのポケットに突っ込んで歩いていくとゴイサギのお出迎えです・・・
ゆっくりと運河のたたずまいを楽しみ、ちょうどよい時間にバスに合流して座席に戻りました。





昨日までは雨で心配していましたが大沼公園では晴れ間が広がり、流麗な駒ヶ岳の姿もくっきりと見え、短時間でしたが湖畔の散策を楽しみました。美しく紅葉した木立の間を歩いていると、周囲に人がいなかったのをみて彼が
「恋には美しい風景が似合うね・・・」
なんて気障なことを言ってそっとキスをしてくれました。一瞬びっくりして近くに誰かがいないかと思いヒヤッとしましたが、今では素敵な思い出になりました。             (「続・シニアカップルの経済学」に続く)


次回のテーマは   「続・シニアカップルの経済学」  です。



Merry Christmas

2015年12月25日 03時54分29秒 | シニアの恋
皆さん Merry Christmas!

白浜 渚です。

シニアの恋を語るメッセンジャーを自認しています。

マイペースで、楽しみながらブログを進めています。

これからもよろしくお願いします。

次の更新は、もうしばらくお待ちください。
   
     


次のテーマは「シニアカップルの経済学」です

永遠の恋人

2015年12月18日 05時33分30秒 | シニアの恋
   永遠の恋人(ある恋人同士の会話から)
「祐子さん、僕と結婚してください・・・」
「・・・とは行かないのよね、私たち。」
「前から若い連中の間では『友達以上、恋人未満』っていう言葉があったよね。その考え方で言うと『恋人以上、夫婦未満』っていうこともあるのかなぁ。」
「それは無いわね。結婚すれば恋人とは全く違った関係になるから、その中間は考えられないもの。」

「恋人って何なんだろうね。もっとも最近では男同士とか女同士のこともあるらしいけどそれは今は除外するとして・・」
「男女がお互いに惹かれあっていることが第一よね。」
「そう、片思いは『恋』ではあるが『恋人』ではない。」
「惹かれあっていると一言で言っても、その『惹かれ方』にはいろいろあるわよね。」

「最近『セフレ』っていうのが話題になっているけれど。」
「セックスフレンドか、でもまさか嫌いな人とはセックスしないから、やはり恋人の一種でしょう。」
「ネット上には『セフレ』というブログなどがたくさんあるけど僕が見たところ男女がお互いに惹かれあって付き合うんだから結局は恋人だと思うけどな。」
「私は経験がないから良くはわからないけど、性欲とか性感に特化した惹かれ方とか、お互いのセックステクニックや感じ方に大きく依存した関係なのかしらね。」
「ただきっかけは『セフレ』でも、付き合っているうちに精神的なつながりが深まっていくケースも多いみたいだょ。」
「セックスそのものにしても、結局は人間同士の関係だからみんな違うのが当然よね。」

「逆に精神的な惹かれ方に特化すると昔から『プラトニックラブ』って言うけど。」
「でもそれは、若い時代の過渡的な現象じゃないの。」
「僕は一概にそうでもない気がするけどな。愛し合っていながらいわゆる『セックスレス』ということもありうる時代だしね」
「そうね、でもその辺になると私にはよく分かんないなぁ。」
「しかし今(現代)は恋愛が成立しにくい時代とも言われているよね。」
「全てが開放的で、情報が溢れすぎていて、個人の判断で取捨選択して進む方向を決めていける限界を超えてしまっているのかしらね。」

「僕は君と知り合えたことが最高の幸せだと思っている。」
「出会いよね。だいたい、こんな会話ができるあなたが居るっていうことは、私だって最高に幸せよ。」
「僕らは『恋人』だよね。」
「そう、恋人・・・」(遠い目)
「でも、さっき結婚して下さいって言ったら拒否されちゃった。」
「馬鹿ね、あたりまえでしょう。70を過ぎてから入籍して、義理の子供や孫がやたら増えて、たいして有りもしない財産権や相続の配分まで考え直して・・・あぁ・・・いやだいやだ。それなら、まだ、今あなたと別れた方がましだわ。」
「あははは・・・冗談に決まってるだろ。」
「だから、恋人っていうのは素敵・・・私たちは永遠に『恋人』なのよね。」
「そうだ、『永遠の恋人』。」

「これからず~っとふたりは『恋人』として生きていくの・・・」
「それって、結構大変なことかもね。」
「そりゃぁそうよ。人間は生きていくだけで大変。でも前向きに行きましょ。」
「祐子・・・君はほんとに可愛い。愛してるよ。」
「私も・・・愛してるわ、貴男さん。あなたのこれ(指)も素敵・・・」
「君が受け入れて、感じてくれるので僕は今更のように『男』としての幸せを感じるんだ。ありがとう祐子。」
「セックスはただ感じるだけじゃなくって、愛する気持ちを深めてくれるわ。」
「僕の指にあんなに感じてくれるあなたが居るというだけで僕は心底幸せを感じるんだ。」(ハグとキッス)

「貴男さん、いつまでも恋人でいようね。」
「僕も祐子さんと『永遠の恋人』でいられるように頑張るよ。」
「ところで、昨日の○○苑の施設慰問でさ、・・・」

  (この会話はいつまでつづくのでしょう・・・)




次回のテーマは   「シニアカップルの経済学」  です。

白浜 渚の本

シニア恋愛小説「ピアノ」









切ない恋

2015年12月10日 11時44分57秒 | シニアの恋
切ない恋
独居老人は目が覚めるとおもむろにトイレに立った。時計を見ると午前二時を少し回ったところだ。尿意とは別に、老人の鳩尾(みぞおち)の少し上のあたりが何となく重苦しい感じがする。用をたしてスッキリすると、その感覚はますますはっきりと老人の胸の奥を占領していった。

昨日もほとんど一日中、近くに住む彼女と一緒に過ごした。彼女は老人より五つ歳下の七十四歳。午前中は二人で隣市の公民館でボランティア団体の役員会に出た。午後は一時半から彼女が主宰する川柳会に出た。昼は時間がないので、移動の途中にあるコンビニでサンドイッチを買い、駐車場で二人で食べた。

川柳会は居住市の広報を使って市内の同好の士を募ったもので、会員は主催者を含め十五名、老人も副会長として彼女を補佐している。会を進める彼女は終始笑顔で会員を引きつけた。彼女は何をするのにも前向きで楽しそうだった。

四時過ぎに二人で老人の家に帰ると、彼女は台所に入り夕餉の支度をした。彼女の好きな焼酎をお湯で割って乾杯し二人だけの宴会をした。乾杯の前に老人は きまって彼女のそばに行き、そっと口づけをする。ちょっと苦笑するような表情を見せながら、彼女は目を閉じて受け止めた。老人はそんな彼女を無性に可愛いと思った。
「君はほんとに可愛いよ。」
と老人が彼女に囁くと、彼女はニッコリして
「あなたも素敵よ。」
と答える。二人は食事も済ませ、居間に移動して十時頃まで飲みながら、とりとめのない会話を楽しむ。心から「幸せ」を実感するひとときである。

話題はボランティア活動のこと、世の中のこと、これからのこと、人間関係のこと、体調のこと、セックスのこと、旅行のこと、子供たちや孫のこと、芸能のことなど何でも話す。時に意見が対立することもある。

「そろそろ帰るわね。」
「そうだね。もう十時半だ。おやすみ。」
「今日も一日一緒だったわね。楽しかった。時間の経つのって速いわね。もうこんな時間。じゃあおやすみなさい。」
彼女はキスをして玄関に向かう。別れ際老人は彼女を強く抱きしめる。ドアを閉めながら微笑んで小さく右手を振って出て行った。

老人も手を振る。玄関のカギをかける音が胸に刺さるような気がして思わずそっと回す。だがカギは容赦なく「ガチャ」と乾いた音を立てた。外灯を消す。

明日も午後から二人で出かける予定がある。二階の部屋に行って床に横になる。目を閉じると老人の胸にふっと今帰ったばかりの彼女の面影が浮かんだ。
「可愛いよ。」
と心の中でつぶやくと面影が笑った。帰り際に抱きしめた彼女の感触と重みがよみがえって老人の胸元を圧迫する。もっと抱きしめていたい。胸の奥に重いものが沈殿してうずく。
「なんであいつはこんなに可愛いんだろう。」
自問しながら今日の一日のことに思いをはせるうちに眠りに落ちていった。



白浜 渚の本
シニア恋愛小説「ピアノ」



次回のテーマは   「永遠の恋人」  です。

加齢とセックス その2

2015年12月05日 07時45分18秒 | シニアの恋
  加齢とセックス その2
男性にとって挿入による快感は一過性であり、個人差はありますが歳とともにしだいに減退していきます。しかし男性の性的な接触による精神的な喜びは、女性が受け入れる限り決して衰えたり失われたりすることはありません。セックスによる快感は脳内で感ずるので、男性はどのようにすれば女性をオーガスムに導けるかを追求し、努めれば、達成したときには男性としての充実した強い快感が得られます。これは心理学的には「ミラーリング」と呼ばれる現象で、男性は「エクスタシー」こそないものの十分深い充実感が得られます。

老若を問わず愛し合う男女はただ肌を合わせて抱きあうだけでも深い満足感を得られますし、さらに男性が女性を性的に満足させることで自らも深い感動と満足を体験できるのです。だから、男性は女性を喜ばせるための「技術」を養う必要があります。これは「セックスの技術」ではなく「恋人と深く結び合う」ための技術です。そしてこれは高齢者にこそ必須な技術だと言えます。

以前、『シニアのセックス作法』の中で次のように述べました。
『セックスは脳で感じるので、そこには所謂テクニックはいりません。というより、テクニックは自然についてくるものです。』

文中の下線部分の『テクニック』はここで言う『「恋人と深く結び合う」ための技術』とどう違うのでしょうか。具体的な行為自体にはそれほど大きな相違はないかもしれませんが、その動機には大きな差があります。女性を真に喜ばせたいという強い気持ちから、相手の感覚や感性への想像力を働かせて、最も適切な行動をとる。セックスには愛情とともに、女性の心理や生理に対する深い知識と洞察を伴う「知的な行為」としての側面も大切なのです。

例えばEDのため挿入が不可能な男性の場合でもお互いの愛情が豊かで、女性にもそれを理解し受け入れる体制があれば男性の愛情のこもった手指による愛撫だけで彼女は完全なオーガスムに入ることができますし、共に愛情豊かな深い幸せな時間を共有することが出来ます。

高齢者のセックスではお互いに決して性急な進行を求めないことも大切です。個人差はありますが、女性は性器以外の全身への愛撫によって性感を高めることが出来ますし、強い接触よりも長時間のソフトな愛撫に強く反応します。具体的な感じ方や技術的な問題は二人が心を開いて、率直に話し合って「開発」するべきもので、ハウツー本などに載っているような「セックステクニック」を参考にしても、最終的には独自の方法を求めれば良く、そこにタブーはありません。

男性がEDやそれに近い場合でも、女性による愛撫によって性感を高めることは十分可能です。彼の愛撫でオーガスムに達した女性が、感謝の気持ちを込めて手指による愛撫や口唇愛撫に及べば、男性は肉体的精神的快感が高まり半勃起状態になることもできます。射精に達しなければ、その快感は終わりがなく、いつまでも続きます。

最近スローセックスという言葉がよく聞かれます。スローセックスは射精やオーガスムだけを求める男性本位のセックスに対し、ゆっくり時間をかけ、お互いにいたわりながら肌を重ねる時間を楽しむ性行為のことです。セックスセラピストのアダム徳永氏の著書がベストセラーになって広く知られるようになりました。これこそシニアにふさわしいセックスのあり方と言えます。


次回のテーマは   「切ない恋」  です。


白浜 渚の本
シニア恋愛小説「ピアノ」