シニア世代の恋愛作法(白浜 渚のブログ)

シニア恋愛小説作家によるエッセイ集です
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言葉による表現

2015年08月18日 08時31分14秒 | 随筆
言葉による表現
“I love you.”という言葉を欧米人は日本人に比べて気軽に言葉にして伝えるということはよく聞きます。日本人のシニアのカップルで、このようなことがどのくらいできるでしょうか。

TVなどで見るお年寄りの言葉で、「言葉には出しませんが、妻には本当に感謝しています。」などという述懐をよく見聞きします。「心が通じていれば、言葉に出さなくても・・・」「以心伝心」などが日本的な美学なのでしょうか。

シチュエーションにもよりますが、シニアの夫婦や恋人にとってこそ、言葉による表現は大切なことです。もちろん他人の前でではなく、二人が心を開いて語り合える時にです。大好きな彼女に「可愛いよ・・・」と言ってあげてください。大切なあの人に「あなたが好きよ・・・」と言ってあげて下さい。「今更この年で」などは愚の骨頂です。そうした「抑制」が、素直な心の交流を妨げていることに気付いてください。今まで、あまりそういう言葉を使ったことがなかった人にとって、照れくさい、気恥ずかしい気持ちが強いかもしれません。しかし、一度言葉に出して言った後には、今までになかった幸せな時間が待っているに違いありません。

日本人はセックスの時に無言の人が多いと聞きます。セックスはお互いにとってとても大切な時間です。こんな時に黙っているのは「もったいない」の一言です。自分の素直な気持ちをそのまま言葉にすることで、お互いに喜びを共有できます。そして、もう一言「ありがとう」と、素晴らしい時間を共有できたことへの感謝を込めて言えたら最高ではないでしょうか。

私は「愛している」という言葉は、日本人にとって少し言いにくい言葉のように思います。それは英語の ”I love you.” と日本語の「愛しています」はそれらが使われる生活習慣上からも、意味からも若干の違和感があるからです。言えるに越したことはありませんが、それに代わりうる日本語はたくさんあります。いずれにしても、心と気持ちを十分に伝え、交流しあって愛の時を共有する喜びを満喫したいものです。

次回のテーマは   「終の恋」  です。

シニアのセックス作法

2015年08月11日 21時36分06秒 | 随筆
シニアのセックス作法
ある避妊用品メーカーの調査によると、性交時に約2割の女性が性交痛を訴えているといいます。しかもそれは若者から高齢者まで、年齢を超えてほぼ同じ結果が出ているそうです。

人体は性的な興奮が高まれば男女とも精神的にも生理的にも、自然に性交への準備が整うようにできています。しかし、男女の性的な機能の相違から、どちらかが準備が整わないうちに一方的に進められれば当然不具合が生じます。この場合、特に男性の側の責任は大きいと思われます。高齢者の場合、ホルモン等の影響で、女性器が潤って受け入れ態勢が整うまでの時間は若い人に比べて長くなります。男性は、彼女の心の動きや生理的反応などをみて気持ちを高めることに最善の努力を傾ける必要があります。
 
高齢者にとって、性交はどうしても必要なものではないかもしれません。しかし、ボディランゲージとしてのセックスは、高齢者にも深い喜びと感動をもたらし、お互いの健康にも大きく影響を与えるのも事実です。しかも、高齢者は、長い人生経験から、若者に比べ異性に対する知識も豊富なはずです。だからどうすれば相手が喜ぶか、どうすれば苦痛かを想像できます。
つまり、相手の心へ配慮し、想像力を十分に働かせることが「セックスの作法」ということができます。セックスは脳で感じるので、そこには所謂テクニックはいりません。というより、テクニックは自然についてくるものです。相手の気持ちへの想像力があれば、恋人と十分素晴らしいセックスライフを共有できるはずです。

次に、精神的なタブーから解放されていることが重要です。「この歳でセックスなんて・・・」という先入観は多くの人をとらえているタブーの一つです。いらない仮面をかなぐり捨てて心を開くと、ふたりの豊かな「恋あそび」の世界が広がります。お互いの全面的な信頼のもとでは、セックスにタブーはありません。ただ、男性は相手が完全に満足するまで尽くすことが必要です。年を取ると男性の機能が衰えると言われます。EDという現象もあります。しかし、お互いに許し合った仲ではそれは克服できる問題でもありあす。

男性が女性を、また女性が男性をよく知らないために陥る誤解が深刻なタブーを生み出すことがあります。ことに男性は、性的に常に積極的な側面があるため、自分の満足がそのまま相手の女性の満足につながると誤解しやすいと言われています。また女性は、射精のみが男性の性的な満足であると誤解しやすいと言われています。人の性はそのようなステレオタイプなものではなく、それ以上に心の問題です。相手の行為のすべてを受け入れられる心の解放が豊かな性の喜びを生む要素なのです。


次回のテーマは   「言葉による表現」  です。


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しがらみを作らない関係

2015年08月06日 08時19分02秒 | 随筆
しがらみを作らない関係
しがらみは漢字にすると「柵」と書きます。本来は水流を弱めるために川底などに杭を立てたもののことですが、転じて、人の世の色々な束縛を意味するようになりました。現在の世の中で、シニアの恋を妨げる「しがらみ」はたくさんありますね。それらをはねのけて、本当に恋に生きることって出来るのでしょうか。

シニアの恋を妨げるしがらみの筆頭にあげたいのが「家族」です。父母のどちらかをを失った子供たちの感情は、ともすると、残された父母が、他の異性と交際を持つのは快く思わないのかもしれません。また、近所の人々がとやかく噂の花を咲かせるのも、人の世の常かもしれません。
一般に、周囲の理解を得て「結婚」と言う形をとってしまうと、そのような問題は表面上は解決するかに見えます。しかし、法律上の結婚となると新しいしがらみが発生します。それぞれの財産権や相続の問題。それぞれの家族や親族との関係の問題。すべてがうまくいっている場合はさておき、これらはどれ一つとっても、いちどこじれると「恋愛」などという個人の感情にかかわることは踏みつぶされてしまうばかりか、むしろお互いに恨んだり、憎しみあったりしなければならない状況にも陥りかねません。

シニアが幸せを求めて生きるための恋愛には、これらのしがらみはむしろ避けたいのです。筆者の考える「シニアの恋愛」では、出来るだけ新たなしがらみの原因になるような状況は極力避けるべきものなのです。「しがらみを作らない関係」は、一つに、「他人」である「恋人」という二人の距離感を大切に保つ必要があります。この距離感がある限り、世に言うDVのようなこととも無縁です。

冒頭に挙げた家族、ことに子供たちに、二人のことをどう理解させるかは、いつの時代でも大きな課題の一つでした。筆者の経験から言えるのは、無理に理解を求めるのではなく、子供たちの利害には無縁な、「しがらみ」のない、仲の良い二人の関係を、実績として積み上げることで、ごく自然に受け入れさせることが最も有効な手段のように思えます。

次回のテーマは   「シニアのセックス」  です。