シニア世代の恋愛作法(白浜 渚のブログ)

シニア恋愛小説作家によるエッセイ集です
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恋が失われるとき

2015年09月21日 22時50分08秒 | 随筆
恋が失われるとき
「女心と秋の空」とは、昔から言い古された言葉です。これはもちろん「人の心は日々移ろうもの」であることを端的に表していて、「女心」を「男心」に取り換えてもそのまま当てはまります。「あんなに愛し合った仲なのに」「あんなに燃え上がった恋だったのに」古今東西を問わず、ジャンルを問わず、歌という歌に歌われできた不変のテーマがここにあります。

「恋」はいつかは破れるもの、恋人の心はいつかは、別の人に移っていってしまうかもしれない。しかし、「結婚」に踏み切ればこの状態はなくなります。法律という外的な要因で結ばれた関係は、どちらか一方が死亡するか離婚が成立するまで「保証」されます。しかしこれは、人の心まで束縛する力はありません。心が離れてしまって、惰性のように生きるご夫婦もいらっしゃることでしょう。

恋する人たちは幸せです。毎日が、目もくらむような嬉しさに包まれて過ぎていきます。愛しさも、切なさも、時々起きるちょっぴり辛い小さないさかいも、そんな心のときめきがぜ~んぶ二人の財産です。

しかし、そんな幸せは、感じるだけで何もしなければやがて色あせていきます。「ときめき」は「移り変わる心」が受け止める「感動」です。だから「昨日と同じときめき」は無いのです。どんなに愛し合っている恋人たちも、その幸せに浸っているだけならば、何年かの後には、感動は薄れ、恋は失われていきます。

恋のときめきをさらに豊かにし、いつまでも持続させるためにはそれぞれの人生における、個人としての生きがいの追及が欠かせないのです。年齢に関係なく生きがいを追求できる人には、追い求める夢があります。夢のある人生には、他人を引き付ける魅力があります。このような魅力に裏打ちされた恋は、常に新しいときめきを生み出します。お互いに夢のある恋人同士はいつまでも失われることのない恋の、「ときめき」を共有できるのです。

この項の表題「恋が失われるとき」は夫婦や恋人たちのそれぞれが、「生きる夢を見失ったとき」に違いありません。ともすれば夢を失いかける相手にも夢をもてるよう助け合える恋人たちは幸せです。高齢者と言えども、自分の人生を高め、夫婦も恋人たちも、お互いに夢を持ち、お互いを高めあえるよう努めたいものです。


白浜 渚の本
シニア恋愛小説「ピアノ」


次回のテーマは   「歳の差」  です。

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