この時期に飲む泡盛は非常にうまい。頭からアルコールが抜けていくのがよくわかる。その時の爽快なこと。やはり泡盛は夏の酒なんだ。
三十数年前の社員旅行で、沖縄に初めて行った時の話だ。
初日、バス観光を終え、ホテルに着いたのは4時過ぎだった。7時から宴会があるのだが、まだ少し時間があった。友人から「宴会までどうやって時間をつぶそうか?」と聴かれたので、「沖縄に来たんやけ、泡盛飲まんと始まらんやろ」とタクシーに乗って国際通りに向かった。
小料理屋を見つけたのでそこに入ることにした。
「いらっしゃいませ。何にしましょうか?」
「泡盛お願いします」
「25度と50度がありますが」
「初心者だから25度にして下さい」
「水割りにしましょうか?」
「いや、ロックでお願いします」
運ばれてきた泡盛を一口飲んだとたん、ぼくたちは「なんかこれ、ラムネやないか!」と言った。
「すいませーん。50度にして下さい」
「割りますか?」
「いや、ロックにして下さい」
これがうまい。時間の都合で5杯ほど飲んで店を出たが、そのあとの酔い心地のよかったこと。暑さで、頭からどんどんアルコールが抜けていくのがわかる。至福のひとときだった。
沖縄には3日間滞在したのだが、海に行くこともせずひたすら飲みまくっていた。
その感激が忘れられずに、泡盛を数本買い込み、家に帰ってから、さっそく飲んでみた。しかし、すでに秋の気候になっていたこちらだと、味といい感覚といい全然違う。やはり泡盛は夏のクソ暑い日に飲むのが一番なんだろう。
沖縄の民謡歌手の中で一番好きな人です。
力まずに淡々と歌う姿が、すごくかっこいい。