吹く風ネット

都会

 数年前の話だが、関西から引っ越してきたという女性と話したことがある。その女性はすごい服装センスの持ち主で、ファッションに疎いぼくが見ても笑えるような格好をしていた。

 その女性、関西にいたことが自慢らしく、何かにつけ「九州は田舎やねえ。関西なら…」と言うのだ。その時、ぼくは「まあ、関西の人が見たら九州は田舎に見えるだろうけど、あんたの格好を見て誰が都会の人と思うだろうか」と思ったものだった。

 都会についてだが、ぼくは北九州市のことを、政令指定都市だからといって、別に都会だとは思っていない。かと言って、田舎だとも思っていない。福岡市にしても同じである。まあ、確かに福岡市のほうが、北九州市よりもビルも多いし街も整備されている。が、それだけで都会とは思わない。

 ぼくは東京にいたことがあるが、その時「都会に住んでいる」という意識など一切持たなかった。何ら北九州での生活と変らなかったからである。確かに大きなビルがたくさんあったが、それはあくまでも景観にすぎないと思っていた。現にそういうビル群を、東京の人がすべて活用しているのかと言えば、そうではないはずだからだ。交通網も発達していたが、あれだけの人口を抱える土地だから、移動手段としてそれは必然のものであると思っていた。
 そういうものを都会の尺度とすると、「ここは田舎やねえ」などという、わけのわからない差別心を持ってしまうのだ。

 大きなビルや交通網が都会の尺度になるとするなら、ニューヨークに比べると東京もずいぶん田舎だということになる。関西も東京に比べれば、ずいぶん田舎だということになる。

 都会と田舎、それはあくまでも相対的な見方や感じ方にすぎず、「これが都会だ」「これが田舎だ」という絶対的なものがあるのではない。ぼくの見方や感じ方からすれば、その時々の便利を満たしてくれさえすれば、どこに住んでいても、そこは都会である。

 さて、冒頭の関西出身の都会女だが、その後北九州に不便さがないことに気づいたのか、「田舎やねえ」などとは口走らなくなった。しかし、ファッションセンスは相変わらずである。

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