吹く風ネット

冬休み映画まつり

 冬休みになると各映画館で、マンガや怪獣ものの映画をやっていた。終業式が近くなるとそれぞれの映画館の人が、その割引券を通学路で配っていた。それをもらうと何か得した気分になって、必ず見に行っていたものだ。
 映画はいつも終業式の日に行くようにしていた。そうすれば短い休みを有効に使うことができるからだ。

 学校が終わってから行くので、映画館から出るのはいつも夕方だった。街はすでに街灯が照らし、街のにおいはラーメンから焼き鳥に変わり、人や車の流れが多くなり、なぜかパチンコ屋のチンジャラ音が大きくなる。
 映画館に入っている時間は三時間程度のものだったが、その三時間程度が街の雰囲気をガラッと変えるのだ。そのためにいつも違う街に来ているような錯覚を起こしていた。それがまた楽しくもあった。

 その日はクリスマスイブでプレゼントがもらえ、翌日はクリスマスで子供会のパーティがあり、七日間寝るとお正月。親戚詣ででお年玉がもらえる。
 楽しいことが目白押しの冬休みは、いつも映画館から始まった。

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