熊本の地にしっかりと根をおろして、水俣病をとりあげた『苦海浄土 わが水俣病』その他数々の作品を世に送られた石牟礼道子氏が亡くなられた。
ご冥福をお祈り申し上げる。
当時創設されたばかりの「大宅壮一ノンフィクション賞」に選ばれたが、辞退されたという報道を知って驚いたことを思い出すが、「患者の苦しみを書いた本」という理由であった。
なかなか読むのに辛い内容で、私もかなりの時間をかけて読んだが、土地の方言で書かれており一段と鮮烈さを極めていた。
地域やそこに住む人々に暖かい視線を向けて、一貫したその姿勢はそれぞれの作品に反映されている。
「江戸という幻影」「逝きし世の面影」等を著した在熊の作家・渡辺京二氏との交流も深く、渡辺氏もさぞお気落としであろうと拝察する。
改めて本棚を見回すと二三冊はあるはずの本が見当たらない。また段ボール箱を引っ張り出して見つけなければならない。
「春の城」「西南役伝説」は本当に良い作品だと思っている。
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