草むしりをしていると、袖が山椒の木に触れたのか芳しい匂いがただよう。五六年ほど前どこから飛んできたのか、実生で育って50センチばかりの高さになっている。横にはその子だろうか、10センチばかりの小さな山椒もみえる。ふと「竹の子」が食べたいと思った。そういえば、毎年新鮮な竹の子を届けてくれる妻の友人が、今年はまだ来てくれない。電話をさせようかと思ったりする。若い頃は得手ではなかった「竹の子」だが、還暦を過ぎた頃から良く食べるようになった。「セリ」とか「蕗のとう」「蕗」などは昔からの好物だが、竹の子が加わり、人に言わせるとすっかり「爺の食べ物」に親しんでいる。田舎にいる友人の顔を思い浮かべながら、久しぶりに電話をしておねだりしてみようかなどと、良からぬ事を考えている。
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