東京やなぎ句会の句集「友あり駄句あり三十年」(1999発刊)を読んで、私は独学の俳句を始めた。そのメンバーの一人変哲こと小沢昭一氏が亡くなった。
入船亭扇橋(光石)、永六輔(六丁目)、江國滋(滋酔郎)、大西信行(獏十)、小沢昭一(変哲)、加藤武(阿吽)、桂米朝(八十八)、神吉拓郎(拓郎)、永井啓夫(余沙)、三田純市(道頓)、柳家小三治(土茶)、矢野誠一(徳三郎)といったその道の重鎮が一堂に会しての句会のありさまが書かれてあって、何と楽しそうなものと感じ入ったのである。江國滋氏、神吉拓郎氏、三田純市氏、永井啓夫氏などが鬼籍に入られ、これらの仲間を追うように小沢昭一氏が続かれた。
2009年7月17日東京やなぎ句会の「五・七・五 句宴四十年」が発刊されたが、私が手に入れたのは第三刷であった。人気が高かったことをうかがわせている。
それぞれのお人柄がうかがえる句が並び、読んでいて思わず笑い出してしまうような句会の情景が紹介されている。
■■結社などという大仰なことではなく、自由に句に親しむこんな句会があれば私も参加したいと思ったりする。
今でこそ久保田万太郎に関する著作や句集を取り揃えている私だが、これこそ小沢昭一氏が「心酔して止まない人」という言でミイラ取りがミイラになった次第である。
まだ尻を目で追う老や荷風の忌
亀に水かけて残暑の見舞とす
釣銭をこぼして拾ふ夜寒かな
貧にして孝子出づとや蕎麦の花
水洟や昔は毒のありし人
寒釣や同じ顔ぶれ同じ場所
打ち水や平次が謎を解く時分
ついぞ見ぬ猫も来ていて軒の恋
春暁の宿の飯たく匂いかな
衣ずれの袴よりたつ淑気かな
こうして遺作を並べてみると、意外と真面目な句が多いことにきづく。なかにはとんでもない句もあり彼らしい・・・
陰干しの月経帯や猫の恋
早すぎるという御歳ではない八十三歳なのだが、残念の極みである。合掌
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