それから毎年のなつには 川ひらきの
まつりをおやりになつてあびかたの
けいこを家中のしゅうにやらせになり
御自分もおよいで居んなはつた
太かおからだの御殿さまはあひかた
はなかなかたつしゃでござつた
ふげいでござれよみかき山海川
のことから下々のもののとせいのみちに
いたるまでくわしかつたあのかたの
おとくのほどはどうしてんわする々
こつあできんところなんというてん
御とうこくの神さまばい
熊本御城下のこういうふうにりつ
ぱになつたもとは御先々代さまのおじ
ひのおかげとおもわな朝な夕なにお
がまんわけにはゆくまい
おるかほつけしゅうになつたつのは
こうしたわけからたい
三年ごしや五年ごしの川さらへ
は御先々代さまのときからでこるば
ふしょうなこつをやるとまさかの
ときにやじぶんじぶんにこまるけん
みんあこころをあわせてやりおつ
た
今のとんさんもよくやんなはるが何
うしても加藤家のときとはず
いぶんちがうごたる おいさき
みぢか々おどんないづれたかせさ
んひつこうで往生きわをよくする
やうにせにや ここで朝夕お城
をみつとなみだがで々やるせが
なか
これくらひのおもひでにと々めさせて
くれ あんまりいろ/\とおもひ
にふけつてむかしばなしをすつ
と加藤の御家がむげっこっでなら
んからこれからさきはモいわ
せてくんな たのむ/\あとはなみ
であつた じぶんもききあるひはたずね
ながら しまひにともになみだ
にむせかへつてしまうたああ
くわんへい十年はる
善三郎