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もうけ話でだます新たな手口~~~オンラインサロンを利用したトラブルが急増!

2022-02-21 11:20:38 | 日記
金融広報中央委員会発行「くらし塾きんゆう塾 2022冬 vol.59」
ダマサレナイ!!第55話
もうけ話でだますあらたな手口
オンラインサロンを利用したトラブルが急増


1.人気急上昇のオンラインサロン もうけ話でだますトラブルに注意
 オンラインサロン(以下サロン)とは、インターネット上で運営される会員制コミュニティのことで、
 サロンの主催者と会員だけが参加できる非公開の場です。
 投資系や趣味系、ファンクラブ系などさまざまなタイプがあり、
 参加するには、一般的には入会金や月会費の支払いが必要です。
 主催者がコンテンツや講座、イベントなどを会員に提供したり、
 会員同士や主催者との情報交換・交流などが、主な活動となります。

 近年、著名人が主催するサロンがマスコミに取り上げられることも増え、
 コロナ禍における貴重な人脈作りや学びの場として人気が高まり、サロン数や会員数が大きく増加する一方で、
 悪質なサロンによる消費者トラブルも急増しています。

 トラブルの多くはもうけ話を餌にして勧誘し、高額な入会金や月会費を支払わせたり、
 高額な情報商材(副業や投資等で高額収入を得るためのノウハウなどと称してインターネットで販売されている情報)
 を購入させる
というものです。

2.SNS広告などでサロンに勧誘 会員にサクラがいることも!

 悪質なサロンの主な手口としては、
 まずSNS広告やダイレクトメッセージで「絶対もうかるノウハウを教える」と言ってサロンに勧誘します。
 しかしこのサロンではありふれた情報しか得られないにもかかわらず、
 入会金や月会費だけでなく、無料でも知り得ることしか書かれていない情報商材をマニュアルなどと称して高額で購入させ、
 消費者からお金をだまし取るのです。

事例
  SNSで「必ず儲かる稼ぎ方教えます」という広告を見て連絡をとると、
 ビジネススキルの情報商材を提供するサロンだった。
 入会金20万円を支払って入会したが、役に立たない情報だったのでクーリング・オフを要求。
  しかしサロンから「クーリング・オフはできない」と連絡がきた後、
 アカウントをブロックされてサロンに入れなくなった。
 契約書を受け取っていないため、主催者や事業者の住所や電話番号がわからず、連絡がとれない

  また、サロンを人に紹介して入会させれば報酬をあげると言われて友だちを紹介してしまい、
 被害が拡大したり、人間関係のトラブルに発展してしまったケースもあります。

事例
  SNSで知り合った友人から「副業のノウハウが学べる」というサロンを紹介された。
 内容は、オンラインショップなどで販売されている商品をWEBサイトに掲載すると、
 そこから発生した売り上げの一部が還元される仕組み(アフィリエイト)で収入を得るというもの。
 会員になるとさまざまなセミナーの割引特典があると説明を受け、月会費3万円で入会。
  しかし、入ってみるとサロンの実態は、ブログで「このサロンの会員が〇万円稼いだ」などと偽りの情報を発信させたり、
 サロンに誰かを入会させれば報酬が得られるなど説明された内容と違った。
  そのため、サロンに大会と返金要求の連絡をすると、「サロンの規約で返金不可、半年間は退会不可」と拒否された。

 中には、会員に悪質主催者の仲間が混じり、
 サロン内でのコメントや口コミ、メッセージなどで消費者をだます巧妙な手口も報告
されています。

3.サロンのトラブルならではの問題点と対策とは
  このトラブルの特徴は、舞台となるサロンが会員以外アクセスできない、非公開の場であることです。
 入会前にサロン内の活動を確認できず、主催者やサロンの担当者からの説明だけで入会を決めてしまうケースも多く、
 入会後に主催者や他の会員と親しくなって警戒心が薄れてしまい、被害に遭ってからでさえも、
 気を遣って退会しずらいケースも見られます。
  また、契約書など書面が交付されないことも多いため、契約内容や主催者(事業者)に関する情報がわからず、
 返金や退会を申し出ても「返金は不可」「退会は申し出てから3か月かかる」などと言われたり、
 アカウントをブロックされて連絡がとれなくなったケースも少なくありません。
  さらに、オンラインサロンの入会契約は通信販売に当てはまるケースが多く
 その場合クーリング・オフは原則適用されないため、問題解決が難しい消費者トラブルの一つと言えます。
 
 対策として、まず「『絶対に儲かる』はあり得ない」と考えて、
 広告はもちろん、近しい人からの誘いであってもうのみにせず、少しでも怪しいと感じたら連絡しないことです。
 
  また、入会するのであれば、契約前に費用の詳細や解約条件、運営事業者の情報(住所や電話番号)などを必ず確認しましょう
  事業者とのやりとりは、スクリーンショットを撮るなどして保存しておくと、
  トラブルになった場合に返金を求めるための証拠となります。

   万一トラブルにあってしまったり、不安に思うことがあれば、
   一人で悩まずに消費者ホットライン☎188(いやや!)へ早め相談してください。

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決してオンラインサロンが悪いわけではありません。
人気が高まりサロン数が増えると
それを利用する詐欺が出てきます。

コロナ禍によりオンラインサロンを上手に利用し
学びと交流を広げることは素晴らしいことだと思います。
しかし、このようなサロンもあるのだということを
知っておきたいものです。

どのような場合であっても、
初めに契約の内容、住所や電話番号などしっかり確認して決め、
その証拠を撮っておくことは大切です。
習慣化されると良いですね👍

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私たちが思っている以上に人間の認識は歪んでいることを理解しよう!

2022-02-21 10:51:19 | 日記
独立行政法人国民生活センター発行 国民生活 2022.1より

消費者問題アラカルト だまされない消費者になるための心理学
有賀敦紀氏(広島大学大学院人間社会科学研究科 准教授)

人間の認識は、私たちが思っている以上に歪んでいます。
消費者被害において重要なことは、歪みそのものよりも、私たち自身がその歪みに気づいていないことです。

動因と誘因
 人間の行動は、基本的に動因と誘因に基づいています。
 動因とは欲求(内的状態)のことを指し、
 誘因とはその欲求を満たすような外的要因のことを指します。

 例えば、おなかがすいているときは「食べたい!」という動因が生まれ、
 ちょうど目の前に食べ物という誘因があれば、「食べる」という行動が起こります。

 消費者被害のケースに当てはめると、消費者は様々な動因を持っていると言えます。
 例えば「お金が欲しい」「きれいになりたい」「友だちが欲しい」などです。
 このような消費者に行動を起こさせるために必要なことは、誘因を与えることです。
 つまり、「お金がほしい」と思っている人にもうけ話を提案する。
     「きれいになりたい」と思っている人に美容サービス・機器を勧める、
     「友だちが欲しい」と思っている人に「いい人」が近づくなどです。
 
 だまそうとする人たちは消費者の動因につけ込んで、その動因が行動(契約や購買など)に結び付くように誘因を与えているわけです。
 このような心理プロセスは、さまざまな認知バイアスの影響を受けると考えられます。

以下では、その一部を紹介します。

ポジティビティバイアス
 人間の行動指針は、基本的にポジティブ側に傾斜しています。(ボジティビティバイアス)。
 つまり、人間は自身の期待に沿う(ポジティブな)情報に対しては注目しますが、
 期待に沿わない(ネガティブな)情報は無視します。

 例えば、消費者トラブルの過去の事例では
「契約金が少々高額だけど、その後儲かるならいいと思って契約した」
「2年間は解約できないけど、美容効果があるならいいと思って購入した」などの体験談が良く紹介されます。
 この時「契約金が少々高額」「2年間は解約できない」という情報は、
 消費者の契約・購買の意思決定にとって本来(かなり)ネガティブな情報であるはずですが、
 これらの情報は無視あるいは過小評価されて、最終的に契約・購入にいたってしまうケースが少なからずあるようです。

ポジティビティバイアスと年齢
 ポジティビティバイアスの起きやすさは年齢によって異なることが報告されています。
 以前は、認知機能が低下した高齢者はポジティビティバイアスが起きやすいとされていましたが(Reed & Carstensen,2012)、
 最近ではむしろ認知機能が保たれている高齢者ほどポジティビティバイアスが起きやすいとされています。(Kalenzaga et al,2016)
 行動に対するモチベーションが高い、いわゆる「元気な高齢者」ほどポジティビティバイアスが起きやすいようです。
 最近では若者もポジティビティバイアスを示すことが報告されていま(Barber et.al.2016)
 実際、消費者庁のウェブサイトに掲載されている「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会報告書」にも、
「不審なメッセージに対して約7割の人が前向きに反応し、そのうち約4割の人が購入・契約する」という分析結果が報告されています。
 この背景にポジティビティバイアスがあると考えられます。
 つまり、誘因の認識においては、情報のポジティブな側面が優先的に認識される傾向が強く
 結果的に行動に結びついているのでしょう。
 2022年4月より成年年利絵が18歳に引き下げられ、若者の消費者被害の増大が懸念されます。
 被害を未然に防ぐためには、早い段階での適切な消費者教育が必要です。

後知恵バイアス
 2012年、ある川でも鉄砲水によって、遊んでいた幼稚園児が死亡するという水難事後が発生しました。
 裁判の争点は、引率の幼稚園教諭が鉄砲水の予兆である川の濁りを事前に認識し、
 事故を回避することができたかどうかでした。
 検察側は事故前に撮影された川の写真は「濁って見える(すなわち、鉄砲水は予測可能であった)」と主張しましたが、
 弁護側は「濁って見えるのは後知恵バイアスである」と主張しました。

 後知恵バイアスとは、物事の結末を知らされると、それが以前から予測可能であったと錯覚するバイアスのことです。
 同様のことは私たちの日常にも頻繁に起こっているといえます。
 例えば「何であのときピッチャーを交代させなかったんだ、打たれるのが分かっていたのに」という居酒屋でよく聞かれるセリフも、
 典型的な後知恵バイアスです。
 (打たれたという)結末を知った途端に、そのが(打たれる)前から予測可能であったかのように錯覚するわけです。

事例紹介の危険性
 事例紹介の場合、消費者は「既に起こった消費者被害」という結末を知ったうえでその事例に接するため
 「なぜ被害者は詐欺だときづかなかったのか」「私だったらだまされない」と、
 あたかもその被害が簡単に予測可能であったかのように錯覚するおそれがあります。
 このような後知恵バイアスが生じると、事例紹介は逆効果になりかねません。
 「私は大丈夫」と勘違いする(そして油断する)消費者をただ増やしてしまう可能性があります。
 
 事例を広く紹介することはメリットもあります、
 被害の経緯を知ることが出来、同様の手口に備えることができます。
 しかし、そのメリットを生かすためには、後知恵バイアスがあることもセットで解説し、その危険性を伝える必要があります。

だまされない消費者になるために
 人間の心理プロセスを考えると、動因をもった消費者が誘因に飛びつくのは仕方がないと思います。
 「お金が欲しい」と思っているときにもうけ話を提案されたら、誰でも魅力を感じてとびつきたくなるはずです。
 このとき、「だまされないために、お金が欲しいと思うのはやめましょう」(動因を捨てましょう)と言われても
 実行するのは難しい。「お金がほしい」「きれいになりたい」などの動因をもつことは決して悪いことではありません。

 「そんな簡単にもうかる話なんてあるはずがない(誘因を無視しましょう)」という注意喚起をよく耳にしますが、
 これだけでもあまり効果的といえないでしょう。
 なぜなら人間に動因がある限り誘因は生まれるからです。
 そしてポジティビティバイアスによって、その誘因はとても魅力的に映ります
 心理プロセスや認知バイアスはある程度自動的なものであるため、
 残念ながら私たちはそれらを完全にコントロールすることができません。


 だまされない消費者になるためには、
 私は人間行動の背景にある様々な心理プロセスや認知バイアスにあらがうのではなく
 その存在を知ってほしいと思っています。(残念ながら紙面の都合上、ここでは少ししか紹介できませんでしたが・・・)
 人間には理性がありますから、動因と誘因がそろっても必ずしも動機づけのまま行動するわけではありません。
 これまで述べてきたような心理学の知識があれば、行動を起こす前にふと立ち止まって再考することができます。
 客観的に自分をみることができます。

 自分が今置かれている環境はまずは疑うことも大切ですが、自分自身の認識を疑うことも同じように大切です。
 私たちが思っている以上に人間の認識は歪んでいます。
 読者の皆さんの中には「そんなこと、言われなくても前から経験的に知っていた」と思う人もいるでしょう。
 でも、それも後知恵バイアスかもしれません。

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少し長い文章の紹介でしたが、
「だまされない消費者になるための心理学」という魅力的な内容です。

なぜ、騙されるのか?
事例を紹介しても、「欲をかくからだ」「言われた通りにしたのだ」「私は騙されない」という方も多くいます。
どうしたら自分事としてとらえてもらえるのかと悩みます。

今回の有賀先生の文書を見て、
アクティブな高齢者が増えている現在では
ポジティビティバイアスが起きやすく
経験がある分後知恵バイアスもあり
事例紹介がかえって油断する高齢者を作りかねないので、
出前講座をするときには、
誰でもだまされる可能性があるので、
行動を起こす前に立ち止まり再考する(相談する)ことが必要だと伝えることも
大切なのだと教えていただきました。

参考になればうれしいです。

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