ひとひらの雲

つれづれなるままに書き留めた気まぐれ日記です

雲の階段

2013-05-20 18:29:04 | 日記
 法律は私たちを守ってくれるもの、そう思っていても経済的弱者にとってそれが枷(かせ)になることも多々あります。今放映されている「雲の階段」。この主人公も例外ではありません。ひょんなことから医療行為に目覚め、無免許医として栄光の階段を昇り始めます。でもそれはいつ落ちるかわからない雲の階段。そこに二人の女性が絡み合い、主人公の運命を翻弄していきます。


 ドラマの展開はともかく、無資格医である主人公が本物の医師より腕がいいというところは、「ブラックジャック」を彷彿とさせる小気味よさがあります。でも経済的弱者だった主人公には当然のことながら医師免許がなく、絶えず違法行為をしているという罪の意識に怯えながら生きていかなければなりません。それでも階段を昇る選択をしてしまうのは何故か。本来人間の中に潜む欲望でしょうか。その辺に人間の悲しさがあるのですが…。


 人が何かをしようとする時、今の社会ではお金がないと何もできません。美容師になりたいと思ったら美容学校へ行かなければなれませんし、普通のサラリーマンになるにも学歴がものをいう時代です。大卒を採るという企業が大部分を占める昨今、大学を出なければ希望する職業にも就けません(就職難の問題は別にして)。高卒では選択肢が極めて狭くなってしまうということです。

 そう考えると自由自由といっても、経済的バックがないと何もできない不自由さを感じます。法律はそうした経済的弱者を守ってくれるでしょうか。

 たとえ受験資格を問われないものがあるにしても、合格するためには勉強しなければなりません。勉強できる環境のない者は所詮、蚊帳の外に置かれてしまいます。どんなに才能があっても抜け出せない貧困の連鎖。そしてこう言われるんです。「あなたにはそれだけの能力がなかったのよ」、と。


 経済的弱者が稀に台頭できた場合でも、過去が暴かれたり、弱みを握られたりして法の名のもとに葬られていきます。松本清張の小説にもそんなのがありましたっけ?

 さて「雲の階段」、主人公の行き着く先は…。

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