皆様、大変遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。どうぞ本年もよろしくお願い申し上げます。皆様にとりまして、幸多い年であることを、心より御祈り申し上げます。
さてさて、実は本日茶子の避妊手術の日。年末に実家で過ごすために高知に茶子を連れて帰り、1月の末から2月の頭まで旅行に行くので、それまで茶子を実家に預かって貰っているのである。
茶子は、シノブが神戸に戻って2日ほどすると、いきなり発情してしまった。神戸では、集合住宅の3階に住んでいるので、他の猫を見たり、声が聞こえてくることはまず無い。その点、田舎では近所の猫が人間の作った垣根なんて関係なく行き来しているので、お年頃の猫同士出会ってしまえば即恋に落ちてしまう。そして、茶子は避妊手術をまだしていなかった。
「今日、茶子を病院に連れて行ったら、先生が『お母さん、これは詳しく調べないとわからないけど、妊娠しちゅうかも知れませんよ』って!あたし、『いや、外には出してないし、外から他の猫が入った形跡もありませんき、間違いじゃないですろうか?』って言うたがよ。そしたら、『うん・・・・、確かにちょっと肥満気味みたいやき、もしかしたら脂肪かも知れませんけどね』って言われたがき!!」と母。
その動物病院は、以前シノブの家で飼っていた猫の去勢手術をしたところであったが、どうやら経営者が変わっているようだった。そして、初めての患者はいきなり手術や入院ではなく、必ず先生が対面してから、後日治療や手術をするというポリシーらしい。
しかし、妊娠と見紛うような体型てことは、太った人に「おめでとうございます」って言った後に、妊娠でもなんでも無く単なる肥満で、気まずい思いをしてしまうアレと同じじゃないですか!!(いや、実際シノブは言ったことがあるんですよね。アレはキマズイ…!!)
「そんで、19日に入院ながやけど、妊娠かどうかはその時にはわかると。10日間入院するき、家は平和やわ~」とまたまた母。
「え???10日???あたし、神戸のお医者さん、翌日退院って言いよったで!」とシノブ。
「そんなん知るかね。こっちは10日て言われたもん。しかも、ほんまは、発情期の時は、あんまり手術とかせん方がいいがやって。出血量が多くて、万が一ってことがあるみたい。」と母。
シノブは心配でならなかった。
茶子が発情して、女の色気をムンムンと出している様を見て、コウヘイ君は一人凹んでいた。
「ちゃこぉ・・・・、お前、なんでそんな女になってしまったん・・・・???」
「オレ、茶子の事、よくわからんなってきた・・・・
まだ子供やん
」
とまるで娘がストリッパーにでもなったようなショックを受けていた。
ともあれ、入院の日はやってきた。父と母が茶子を連れていくことになっていた。
シノブは朝、父ヒロシにメールをした。
「茶子、10日も入院ら可愛そうやき、淋しくないようにいつも使いゆうタオルを病院のゲージの中に入れてやって。ほんで、家族の匂いがあったら安心するき、お父さんの洗ってない靴下かなんかも入れちゃって。」
ヒロシの生靴下なら、きっと匂いも10日くらい持つだろう。10日目には匂いが変化している可能性もあるが、それなら一層茶子も淋しく無いだろうという判断だった。
ほどなくしてヒロシから返信があった。
「判った
」
そして忍は、昼休みに職場近くの神社を巡り、茶子の手術の成功を祈願したのである。
その日の仕事終わり、「ドナドナ」が頭の中に響き、それが茶子に重なった。
ある晴れた昼下がり
病院へ続く道
可愛い茶子ちゃんが
引っ張られていくよ
ドナドナドナドナ~
悲しそうな瞳で見ているよ
ドナドナドナドナ~
そして、妹のアカネに様子を聞いた。
結局母は、茶子を病院に連れて行けず、アカネと父とに押し付け、彼らは彼らで自分以外の人間に押し付けた結果、父とアカネが連れていくことになったらしい。
中でも父は、よほど不安に思ったのか、余計な雑談を始めたり、前もって聞いていた退院の日にちを確認したり、茶子に話しかけたりして中々病院を去ろうとしなかったらしい。茶子は、訳も分からず、固まって声も出さなかったそうだ。
そしてヒロシは、シノブに言われた通り、徐に靴下をその場で脱いで茶子のゲージに入れようとした(らしい)。それには、先生もびっくりし父が事情を説明すると、大笑いしながら
「猫はそんなと特に気にしなくていいです!!10日もすれば僕に一番懐いていますから!!」
お父さん、ごめん!!だって、本に書いちょったがやもん!!猫を残して旅行に行く時とかそうしたら良いって!!
そうして茶子はビビりまくって、声も出せずにゲージに入り、ヒロシの足の臭いの洗礼を受けることは無かった。
しかし、獣医さんからは変な家族と暮らすデブ猫として色眼鏡で見られてしまったに違いない.....。茶子もごめん!!