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映画「ハチミツとクローバー」

2006-08-29 23:17:04 | 映画
2006年7月22日公開
ジャンル:青春
製作年:2006年
製作国:日本
配給:アスミック・エース エンタテインメント
監督:高田雅博
音楽:菅野ようこ
出演:櫻井翔/蒼井優/伊勢谷友介/加瀬亮/関めぐみ
堺雅人/西田尚美


「草原をつくるには
クローバーと蜜蜂がいる
クローバーが一つ 蜜蜂が一匹
そして夢もいる———
もし蜜蜂がいないなら
夢だけでもいい」
           (エミリー・ディキンソン)


登場人物全員が片思いという美大生5人の揺れる青春を描いた羽海野チカの大ヒット原作コミックを映画化。


映画冒頭で引用された上記の詩は、実はタイトルの由来でもなんでもない。
でも、夢とクローバーと蜜蜂でつくられる夢のような草原は、この原作の世界観とも重なって、なんだか儚くて切ない、期限の設けられた青春という時間そのもののよう。
原作よりも、「美大生である彼ら」に重点が置かれていて、狭い世界の話になってしまっているのが惜しいけれど、映画ならではの色彩の美しさ、音楽との調和、躍動感溢れる芸術への衝動、などが生き生きと描かれている。
ただ、映画という枠に入れるためにたくさんの設定を削ぎ落としているにも関わらず、5人それぞれの恋模様を描いて、散漫な印象。でもこれは削れないしなあ・・・。
桜井翔の竹本くんは、原作者がそっくりと評するのが頷けるほど、ピュアで優しいキャラクターになっている。自分探しの旅は随分端折ってあるけれど、中村獅堂とのシーンはとても良い。獅堂演じる修復士は、言葉は多くないけれど修復士としての誇りや修復するものへの愛情を感じる。そこに竹本くんと通じるものがあるんだなーと感じられ、帰途の再会とアルバイトに行く過程が自然に繋がっていた。やっぱりハチクロの主役は竹本くんだなあと映画を見ても実感。
蒼井優のはぐちゃんが愛らしくて、「ありがと」なんてあんな風に言われたら誰でも恋に落ちそう!着ている洋服もどれもこれも可愛いし、なにより絵を描いているはぐちゃんが生き生きしていて、本当にはぐちゃんがそこに居るようだった。(蒼井優ってなんでこんなに可愛いんでしょうね!)
エキセントリックな森田は原作とは違う雰囲気でしたが、東京芸大院卒のこちらも天才肌アーティスト・伊勢谷友介が自然体で演じているし(脚本呼んで「これオレだ」と思ったらしい・・・そう言う意味で近いキャラではあったのだろうか・・・まさに伊勢谷友介な森田でした)、この映画は、キャスティングに関してはこれ以上ないぐらい見事。
関めぐみ演じる山田さんのスタイルの良さにはうっとりしたし、堺雅人の花本先生が出番は少ないのに良い雰囲気で、出来れば田辺誠一演じる故・原田との過去シーンが見たかった!・・・といえば贅沢?
菅野ようこの英語詩の曲が洋楽を思わせて映画の雰囲気と非常に合っていて良かった。彼女の曲の振り幅ってホント広くてすごい。
全体的なまとまりにはやや欠けるものの、美大生たちの青春、は余すところなく見せて貰ったと思います。そして竹本くんとはぐちゃんのラストの告白シーンは、はぐちゃんの笑顔がストップモーションになるところが良い。此処にすべてが集約している感じ。
原作ではそれぞれが社会や将来、自分の過去と向き合ってもっと複雑になるけれど、この映画に関しては、「大人になる寸前の恋心」みたいなところに主眼を置いているのが、初初しくて、逆に「イマドキ中学生でもしないような」「可愛らしい恋」の映画に仕上がっていて、良い大人でも恥ずかしながら青春スーツを着て海に向かって叫びたくなりました。
原作では一枚の写真にも残らなかった彼らの友情と愛情と甘酸っぱい時代が、映画の端々で山田さんのカメラに収められていくのが嬉しいような気分になりました。
そして最後にはぐちゃんが描いた海(たぶん!?)の絵。あれがこの作品の中の大切な時間をすべて閉じこめたかのような素晴らしい絵でした。
夏に見て良かった青春映画。


上記の詩の原詩↓

"To make a prairie it takes a clover and one bee"

To make a prairie it takes a clover and one bee,
One clover, and a bee,
And revery.
The revery alone will do,
If bees are few.

            by Emily Dickinson




※そしてこんなとこに書くのもなんですが、アニメ「ハチミツとクローバーⅡ」の竹本くん役・神谷浩史さんが事故で入院中とのこと、最終回は代役になってしまうそうですが、早い回復をお祈りしています・・・。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TBありがとうございました (ミチ)
2006-08-31 12:59:28
こんにちは♪

シリアスとギャグの入り混じった、あの独特の雰囲気が漂う原作を、良くここまで近づけて映画にしましたよね。

特にはぐみという人物は原作ではちっちゃいし、独特だしどーするんだろうと心配していたら、蒼井優ちゃんがとっても雰囲気をつかんで演じてくれたと感心しました。

私もハチクロワールドに触れる時は青春スーツ装着しますですよ(笑)
返信する
>ミチ さま (管理人)
2006-09-03 12:35:02
コメントありがとうございます☆

蒼井優ちゃんのはぐって身長が160cmある、なーんてことがまったく気にならないくらい「はぐちゃん」でしたよね(^-^)

青春スーツ、甘酸っぱくて恥ずかしいんですが、装着してしまいますよね(笑)
返信する
こんにちは♪ (miyukichi)
2007-01-28 16:19:47
 ご訪問&TBどうもありがとうございました。
 よろしくお願いします◎

 青春そのものって感じの、まぶしい映画でしたね。

 はぐちゃんはとにかく、かわいすぎ!(笑)
 
 最後の告白シーン、私も大好きでした。
 あの“間”、絶妙でしたよね。


 音楽の使い方もすごくよかったです。
返信する
>miyukichi さま (管理人)
2007-01-29 17:59:23
コメントありがとうございます☆
あの”はぐちゃん”に一目惚れしない人がいるだろうか、というくらいカワイかったですね(^0^)
告白シーン、今でもすぐに思い起こせるくらい印象的でした☆
またブログに遊びに来て下さいね~☆
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