しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

TIME/タイム

2012年02月19日 17時47分17秒 | 作品名(た行)
第257回「新たなアイデアで描く時は、説明を丁寧に」

SF映画好きな私としては、新たなアイデアで挑戦的に描かれた映画は大歓迎である。最近ではネタ切れな感じは拭い去れないが、それでも「インセプション」や「ミッション:8ミニッツ」など斬新なアイデアで観客を楽しませようという映画は多い。そんな新たな挑戦にとって1番重要なのは、「観客を置き去りにしない」事である。どんなに斬新なアイデアであったとしても、観客に伝わりづらく理解に苦しむ内容だとしたら、それは失敗と言わざるを得ないだろう。今回の作品「TIME/タイム」は果たして?

時は近未来。人類は爆発的な人口の増加を抑制する目的であるシステムを導入した。それは遺伝子操作により人類の成長は25歳で停止し、それ以降は体に埋め込まれた「ボディ・クロック」により時間が余命となる。通貨は姿を消し、人々は労働の対価として時間を得る。自らの命=時間を使い生活をしなければならない。ところがごく一部の人間が暮らす「富裕ゾーン」では数百年の寿命を持った人々が優雅に暮らし、貧しい人々が暮らす「スラムゾーン」では1日にも満たない時間で暮らすという理不尽な世界だった。スラムゾーンで暮らすウィル・サラスはある日、いつものバーで百年以上の時間を持つ男と出会う。ハミルトンと名乗った男はウィルに、残りの寿命を全て与え、自らは死を選ぶ。多くの時間を手に入れたウィルは、いくつもの検問を越えて富裕ゾーンへと足を運ぶ。そこで目にした驚くべき秘密とは?

といつもよりかなり長いあらすじを書きましたが、それは何より「寿命=時間」というシステムを説明する必要があったからに他なりません。そしてそれは映画の中でも同じく、この奇抜で斬新なアイデアをなぜ人間が受け入れて、普通に生活するようになったのかをある程度の説得力を持って観客に伝える必要がありました。ところがシステムについて語られたのは映画の冒頭だけで、あとはなんとなくこんな感じなのかな?と想像できるシーンはあっても、説明的なことはすっかり省かれてしまいました。その為、時間切れで命が失われるドキドキ感や、時間=通貨というシステムがもたらす弊害などをうまく観客に伝えられずに映画は終わってしまいます。

まずはシステムそのものについて。時間のやり取りを簡単にする為にお互いの手首を掴み、その向きで時間のやり取りをするようになっていますが、劇中でも悪党に襲われて簡単に時間を奪われてしまうように、あんな簡単に他人の時間を貰えてしまっては恐ろしくて外が歩けません。せめて人間同士のやり取りには何か条件(器具)などが必要だという設定にしても良かったのでは?と思います。

もう1つは劇中に登場するバトルについて、カジノでチップの代わりに時間を賭けるところまでは何となく納得できましたが、あのバトルについてはイマイチ理解に苦しみます。ルールもゲーム性もふんわりした感じで、あんなゲームで命を落とすのはバカバカしいし、見ている人間が盛り上がるのかも疑問です。

そう考えると時間切れ=死というシステムそのものに無理があることがわかります。そんな危険なシステムを簡単に全人類が選ぶはずは無いし、うっかり残り時間が無くなってしまっても大丈夫なように・・・などもっとキチンとしたシステムを構築することでしょう。そんな矛盾点が劇中で何度も見え隠れしてしまって、緊迫感や緊張感といったものがとても薄っぺらく感じてしまって、盛り上がりに欠けました。

点数は★★☆☆☆です。主人公のキャラクターもブレ気味なのも気になった点です。全世界を巻き込んで、このシステムを破壊しようとする主人公なのだから、もっと気迫というか鬼気迫る強い意志のようなものがあってもいいのかな?と思いました。あれではただ時間を盗む小悪党止まりです。その小悪党1人を排除できない「時間監視局」なんて必要ないでしょ。

未熟なシステムの中では、俳優がどれだけいい演技をしたところで観客を納得させることはできないでしょう。冒頭の30分ほどの時間を割いてでも、この「時間=命=通貨」というシステムをもっと具体的に観客に伝える必要があったのではないでしょうか。

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