しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

レヴェナント:蘇えりし者

2016年05月29日 23時36分05秒 | 作品名(ら行)
第401回「なぜ今更この作品を鑑賞したのだろうか?」
すっかり前回の「シビル・ウォー」から間が空いてしまいましたが、その理由はとても単純で劇場まで足を運ぶほど魅力的な作品が無いということでしょうか。それでもあまりにも空いてしまうのも・・・と考えて、何とか上映終了直前の「レヴェナント:蘇りし者」を観に行きました。幾多のノミネートの末にやっと主演男優賞受賞へと辿り着いたレオナルド・ディカプリオの作品だけに公開前は絶対に観ようと思っていた作品だったのですが、一度意欲が失われてしまうと「またでいいかな?」という思いが心の中に巣食い、劇場への足が遠のいていました。さらに私の足を遠ざけたのはその上映時間の長さでした。とある男の復讐劇に2時間37分は長過ぎやしないかと思っていました。ではその思いは鑑賞後にはどうなったのか?

舞台は西部開拓時代のアメリカ。狩猟で動物の毛皮を獲ることを生業にしているジョン・グラスは息子のホークと共に狩猟隊を案内し森の奥へと入っていた。毛皮を集め、後は舟に積み込むだけとなった時、原住民のインディアンに襲われてしまう。40人以上いたハンター達は10人ほどとなっていた。舟を捨てて山へ入ることを提案したグラスだったが、森の中でグリズリーに襲われ、瀕死の重傷を負ってしまう。隊長であるヘンリーは地理にも詳しく、これまで貢献してくれたグラスと見捨てることは出来ないと主張するが、追手はすぐ近くまで迫っていた。そこで歩ける者だけで砦を目指し、数人とグラスを残し、必ず戻ってくると約束し、先へと進み出した。残されたのはグラスと息子のホーク、まだハンターとして経験の浅く若手のブリジャー、反抗的で金に汚いフィッツジェラルドの4人。ところがグラスに敵意を持っていたフィッツジェラルドは足手まといのグラスを殺して、先に進もうと動くことすら出来ないグラスの口を塞ぐのだった。そこへ息子のホークが戻り激しく詰め寄る。騒がれ殺害の発覚を恐れたフィッツジェラルドはホームを殺してしまう。激しく怒りに震えるグラスだが声を上げる事すら出来なかった。ホークの遺体を隠したフィッツジェラルドはブリジャーに追手が来たと嘘を付き、グラスを見捨て砦を目指した。極寒の森へ置き去りにされれば死ぬのは時間の問題だと思っていた。しかし、グラスは生きていた。全身にキズを負いボロボロの彼は最愛の息子を殺された怒りと復讐を胸に広大な地を進み出すのだった。

あらすじを書くつもりが映画の冒頭30分くらいを書いてしまいましたが、お話はとても単純なプロットで出来ています。「最愛の息子を殺された男が、復讐を胸に絶望的な状態から立ち上がり、前に進み出す。」ただそれだけのお話である。ただそれだけなのに私は2時間37分間、スクリーンから目を離すことが出来ませんでした。それくらい映画にのめり込んでしまいました。

では何がそんなに凄かったのか?いくつかあるのですが、まずはカメラワーク。戦闘シーンや物語が進むシーンは常にカメラは人物に最も近い場所、それこそ演じている俳優の息がカメラを曇らせるほど近くで撮り続けます。逆にカメラを引いて景色が映し出されると静寂の中でとてつもなく美しい風景が広がっているのです。人物が物語を展開する場面は「動」、景色が映し出される場面は「静」とでも言わんばかりのカメラワークでした。

そして何より凄かったのは主演男優賞を獲得したレオナルド・ディカプリオの姿です。ケガで喉を切られたこともあり、まともに喋れない設定でもあるのですが、それでもセリフは最小限にされ、彼の姿だけで物語は進んでいきます。伸びた髪と髭、ボロボロの服、さらに毛皮を被ってしまうと、観ているこちらはスクリーンに映し出されているのがレオナルド・ディカプリオだということを忘れてしまうくらいでした。今までどんなにノミネートされてもアカデミー賞を獲ることが出来なかった彼がやっと獲ることが出来たということが納得できる作品でした。

点数としては★★★★☆です。長尺の作品で単純なプロットにも関わらず、これだけ観客を物語に引き込むのは流石だと思います。ただエンターテイメント作品と呼べるかと言えば、答えは「NO」です。時に意味不明なシーンや、抽象的なシーンを多用するのはアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督らしい演出ですが、万人向けではありません。ただ一度劇場で観る価値のある作品だと思います。

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レオナルド・ディカプリオ,トム・ハーディ,ドーナル・グリーソン,ウィル・ポールター
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