しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

リアル・スティール

2011年12月11日 20時10分26秒 | 作品名(ら行)
第250回「二兎追うものは一兎も得ず」

今回の作品「リアル・スティール」の予告編を観た時に「あれ?これってプラレス三四郎じゃん?」って思った貴方は筆者と同じアラフォー世代じゃないでしょうか?ロボットがリングで戦うなんていう設定だけでワクワクしてしまいます。そんな設定にさらに親子の絆の話を絡めようだなんて、無理があるんじゃないのかな?と思っていました。映画を観る前までは・・・

時は2020年、人がリングの上で殴り合っていたのは既に過去の事。今は人に変わりロボットがリングに上がり戦う「ロボットボクシング」が人々を熱狂させていた。かつて将来を嘱望されたボクサーだったチャーリー・ケントンも芽の出ないボクサーを引退し、今ではロボットをトレーラーに積み込んで各地を転戦する毎日だった。しかし、資金力に乏しい彼は全盛期の過ぎた型落ちのロボットで細々と暮らしていた。ある日、裁判所からの召喚命令で赴くと、かつての恋人が死んだ事を告げられる。そしてチャーリーと彼女の間に生まれた11歳になった男の子マックスの親権を巡る審理の場だった。マックスの親権を求める叔母のデボラ夫婦が金持ちであることがわかるとチャーリーはあっさりとマックスの親権を放棄し、その見返りに金を要求した。生まれた事は知っていたが育児を放棄した彼にマックスを育てる気など全く無かったのだ。そして叔母夫婦が海外旅行に出かける間の数ヶ月だけ面倒を見る事にした。親子とはいえ会ったことすらない父と子のいびつな生活が始まった。ある日、ロボットの部品を探す為に忍び込んだスクラップ工場で2人はスパーリング用の旧式ロボ「アトム」を見つける。この出会いが彼らの人生に転機をもたらすことになるとは2人はまだ気づいていなかった。

正直、この映画をスピルバーグが製作総指揮を務めていようとも、それほど期待していた訳ではありませんでした。ロボットが戦うという設定と父と息子の絆という2つのプロットを同時に観客に見せようとすれば、必ずどちらかが疎かになり、薄っぺらいドラマを観客に対して見せることになる。

例えば、ブルース・ウィリス主演で公開された「サロゲート」。この作品は人々がサロゲート・システムを使い外に出なくなった近未来の世界観と子供を失った夫婦の心の傷が癒されるまでの2つの重要なプロットを織り込んで作られたのですが、アクション色が強かった為に夫婦の絆を描いたプロットが弱く、残念ながら名作とはなりませんでした。同様の心配を私はしていました。作品を観る前までは。

では、作品を観終わった今はどうかというと。その心配は杞憂なものだったと思っています。それくらいロボットボクシングも見応え十分だったし、父と息子の絆もとても見事に描かれていました。評価するのは何もかもがうまくいくハッピーエンドにするのではなく、万事うまくいかないながらも、それなりの希望を持たせる終わらせ方にしたところです。主人公自らが「なにもかもうまくいくと思ったのか?」と劇中で語らせるところがニヤリとしてしまいました。

この作品のように、人間関係を描く場合、そこに描かれた人物の心の変化が重要になればなるほど、その変化のスピードが大切になってきます。早すぎれば簡単な心境の変化に興醒めしてしまうし、遅すぎればそれだけ脚本に無理が出る。この「リアル・スティール」という作品はその辺りが絶妙でした。少しずつだけど確実に親子の絆を深めていく様子に思わず涙してしまいそうでした。

もちろんロボットが活躍するプロットも見事に描いてくれます。観た事もない「ロボットボクシング」の世界観を決して安直でなく、音声認識機能、シャドー機能、操作方法など現実味のある技術で未知の世界観を描いてくれました。

点数は久しぶりの★★★★★です。鑑賞前に描いていたイメージを上回る見事な出来でした。多少残念だったのは、悪役が不在だったこと。ライバルであるチャンピオン「ゼウス」側にいいキャラクターがいたのに中途半端だったこと。裏でもっと汚い手段で勝とうとしても良かったのでは?あとは「アトム」が実は・・・みたいに含み(秘密)を持たせたキャラクターだったほうがもっと盛り上がったと思います。

それでもこの冬に是非ともオススメしたい1本であることに間違いはありません。

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