しなこじダイアリー

日常生活のあれこれ

特別展 「法然と親鸞 ゆかりの名宝」

2011-11-09 08:16:58 | 美術館 博物館

                  

                  

                   今年は法然上人の800回、親鸞聖人の750回遠忌

 

           

                     上野の森で

 

 

 

                

                       師弟800年ぶりの再会

 

                

                        師は法然上人

 

 

                

                       弟子は親鸞聖人

 

                  末法の世に天災や戦乱が重なった時代ーすべての人々を救いたいと願った
          師と弟子がいた。
          「念仏を唱えれば救われる」と説いた浄土宗の宗祖・法然(1133~1212)と
          その教えを受け、浄土真宗の宗祖となった親鸞(1173~1262)です。

          今年は法然没後800回忌、親鸞没後750回忌にあたります。

 

               

                      阿弥陀如来および両脇侍坐像 (重文)
            
                      総高4メートル近く、迫力の三尊像

 

           法然は美作(岡山県)の豪族の家に生まれ、幼くして父を失い、比叡山に
           入山した。  「知恵第一の法然房」と称えられるほどの逸材だった。

           しかし法然自身はそれでは満足できなかった、どうすればすべての人が
           救われるのかわからなかったからだ。
          
           早々に出世コースから外れ、聖たちが集まる場所で、黙々と勉学に
           打ち込み、43才になった法然は、唐の善導という僧の著作から、
           念仏によってすべての人が救われる道を見出し、山を下りて庵を結び、
           その教えを説き始める。  このとき親鸞は3才だった。

 

                           

                            阿弥陀如来立像 (重文)

                        法然の一周忌に造立、像内に結縁した
                        数万人の名簿が収められている。

 

              親鸞は9才で出家、比叡山に上ったが「自分のような煩悩が多い人間が
              本当に救われるのか」という苦悩から逃れられずにいた。

              29才になって親鸞はついに山を下り、法然と出会う。
              法然は悩める親鸞に「念仏すれば誰でも救われる」といった。
              親鸞の視界が晴れた瞬間である。   以来親鸞は生涯かけて法然を
              信じぬく「たとえ法然にだまされて念仏をし、地獄に堕ちたとしても後悔
              しない」と決意する。

              法然の元にいたのは流罪になるまでの6年間。  以後二人の再会は
              かなわなかったが、親鸞は教えを受け継ぎ、思索を深めた。
                (親鸞聖人については、4月と9月の「親鸞めぐり旅」で紹介)

 

     

           国宝  阿弥陀二十五菩薩来迎図 (早来迎)

       法然と親鸞が信仰の対象とした阿弥陀如来にまつわる作品のひとつ。

       阿弥陀如来と25人の諸菩薩が麓の庵で息を引き取ろうとしている人のもとへ
       急峻な山肌を一気に下る、そのスピード感から「早来迎」とも呼ばれる。

       阿弥陀如来と諸菩薩はみな金色、 先導の観音菩薩が往生する人に蓮台を
       差し出す傍らで、勢至菩薩が合掌する。
       九つのランクがあるとされる来迎の最上位「上品上生」の場面です。

 

                  

                        国宝 山越阿弥陀図

                     阿弥陀如来の左右に勢至菩薩と観音菩薩が、
                     下方には四天王と童子が描かれる。
                     数ある山越阿弥陀図の中でも最古と見られる。
                       (鎌倉時代)

                 こうした法然と親鸞の生涯をまとめた絵巻きや絵伝も多く
                 出品されている。
              
                国宝「法然上人行状絵図」は阿弥陀が如来になるとき立てた
                48の誓願にちなんで48巻にも上る。
                法然と弟子たちの集大成とされ、現存する日本絵巻史上最大規模
                約240段にも及ぶ場面が色鮮やかに描き出される。

 

 

                       

                          重要文化財 選択本願念仏集        

                 二人の思想の神髄を、端的に知ることができるのが書です。
                 選択本願念仏集は法然の教義書で浄土宗の根本聖典、
                 巻頭の21文字が法然自筆とされる。

                法然はこの書で専修念仏の教えを著し、修行や仏像の造立などで
                往生できるとした従来の仏教を根本から揺るがした。
                法然は非難を予想し、この書を公にせず、弟子の中でも教えを
                深く理解するわずか6人しか書写を許さなかったとされる。
                その一人が親鸞だった。

 

                     

                         国宝  教行信証

               「教行信証」は、親鸞が仏典などの論訳を引用して自身の教えを
               解説したもの。
               親鸞の自筆で浄土真宗の根本聖典。 個性的な筆致で、朱筆や
               書き直し、張り紙をするなど、晩年まで改訂し続けており、庶民と
               同じように、肉食や妻帯を実践した親鸞の思索が読み取れる。

 

 

                          

                    「善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」

 

           

                   重文 歎異抄 蓮如筆   悪人正機説が書かれた段

           「歎異抄」親鸞の死後、異なる教義を説くものが出たことを嘆き弟子の唯円が
           まとめたとされる書物。 蓮如による現存最古の写本。(部分)

           自分の力で迷いから離脱できる手段を持っている善人が往生できるので
           あれば、手段を持っていないために「悪人」でしかありえない人でも、
           阿弥陀仏による救いを信じることで往生できる。

 

 

          1192年      鎌倉幕府成立

                    法然      親鸞

          1198年    66才 「選択本願念仏集」を著す

          1201年    69才     29才  法然に親鸞が出会い門弟となる

          1205年    73才     33才  法然が「選択本願念仏集」の書写を
                                   親鸞に許す。

          1207年    75才     35才  専修念仏が禁止される
                  四国に流される    越後に流される

          1211年    79才     39才  流罪を許される

                  帰京を許される  関東各地で布教する

          1212年    80才死去

          1221年       承久の乱

          1224年             52才  娘の覚信尼が誕生

          1262年             90才  死去 (新暦換算では1263年)

 

          4月に親鸞誕生の京都をめぐり、比叡山も訪れ、9月に新潟県直江津の
          親鸞流刑地、居多ヶ浜からゆかりの寺社をめぐる旅をしました。
          今回この師弟800年ぶりの再会を見て、法然ゆかりの地も訪れてみたいと
          思っています。

 

 

 


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (雲母舟)
2011-11-13 07:39:57
800年ぶりの再会、これは行かない手はないですね。
裏の特別公開の庭園の紅葉見頃に合わせて
行ってみたくなりました。
しなこじさんは歴史にお詳しいから、
鑑賞の楽しさもひときわだったのではないですか。
Unknown (しなこじ)
2011-11-13 20:31:23
雲母舟さん
”800年ぶりの再会”これを読んだときなんだか胸が熱くなる思いがしました。
今年は中、高校時代に縁のある学校で学んだ親鸞聖人のことを、
何となく身近に感じて、親鸞めぐり旅を始めました。
知らないことばかりでしたが、法然上人との師弟関係など、
いろいろ知ることができて、感動が多かったです。
庭園の紅葉はもう少し先のようでした。

コメントを投稿