翼に賭ける命
1957年/アメリカ
さすが!メロドラマの巨匠D・サーク
shinakamさん
男性
総合 85点
ストーリー 85点
キャスト 85点
演出 85点
ビジュアル 85点
音楽 80点
ノーベル賞作家ウィリアム・フォークナー「パイロン(飛行標識灯)」をダグラス・サークが監督。ジョージ・ザッカーマンの脚色、主演ロック・ハドソンは「風と共に散る」と同じトリオ。メロドラマの巨匠という名称はD・サークが最も嫌っていたらしいが、この作品は本人も念願の映画化で文句はないだろう。
あえてモノクロで撮ったのは大恐慌時代という暗い時代の雰囲気を出すためらしいが、CGのない時代に迫力ある曲芸飛行を映像化したことも影響があったのでは?撮影のマーヴィング・グラスバーグの手腕によるところ大である。
第一次大戦の英雄ロジャー(ロバート・スタック)は曲芸飛行士として身を立てるしかなく妻で曲芸ジャンパーのラヴァーン(ドロシー・マローン)、整備士ジッグス(ジャック・カーン)で旅廻りをする間柄。息子のジャックは父親がどっちだと揶揄される始末で、偶然記者のバーク(R・ハドソン)に助けてもらう。
記者の目を通して映った曲芸飛行家の暮らしは命懸けで人間愛とプライドに満ちていた。バークはラヴァーンへの想いもあり、スポンサーを取持ったり編集長とケンカしてクビになったり粉骨砕身するが...。
D・マローンは絶世の美女ではないが妖艶で、先ずパラシュートで降りてくるシーンの美脚で目を奪う。さらに自暴自棄になりながら一途な愛を生きるヒロインを好演している。R・ハドソンも甘いマスクと堂々とした体躯がジャーナリスト魂と上手くマッチしてなかなか良かった。
イチバン気の毒だったのは片想いの整備士ジッグスで、過酷な運命に苛まれることに。自分がジッグスだったら立ち直れないと思わずにいられない。二枚目俳優トロイ・ドナヒューが若手飛行士役で出ているのもファンには見逃せない。
ギリシャ神話のような個人では避けよううもない宿命的なテーマだが、爽やかなラスト・シーンも好感が持てる。こんなメロドラマなら、男たちが観ても充分楽しめそう。
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