シマロン(1960)
1960年/アメリカ
壮大な西部開拓史劇のリメイク
shinakamさん
男性
総合
80点
ストーリー
80点
キャスト
80点
演出
80点
ビジュアル
85点
音楽
75点
エドナ・ファーバーの原作で31年・第4回アカデミー最優秀作品賞・脚本賞受賞作品のリメイク。アーノルド・シェルマン脚本、アンソニー・マン監督はオクラホマの壮大な西部開拓史を前半は夫ヤンシー、後半を妻セイブラ中心に描き、一見<一粒で2度美味しいドラマ>を完成させた。
正義の男シマロンと呼ばれたヤンシーが奮闘する前半は西部劇そのもの、とくに序盤の土地獲得レース「グレート・ラン」の再現は圧巻でA・マンの本領発揮ぶりが伺える。
ところが途中から放浪癖のあるヤンシーが新しい土地を求め街を出ると、夫の留守の間オクラホマ・ウィグワム新聞社を守りながら街の発展に寄与するセイブラの女性のドラマへ方向転換、観客を戸惑わせてしまう。どうやらA・マンが途中降板した影響が出てしまったようだ。シマロンは知事の推薦を受けるほどの街の英雄で銅像も立っているが、フロンティア終了の地には居場所がなかった。自由と平等を実践した男の物語から夫婦の物語として描かれ、主役はだんだんオーセージという街の物語へ代っていった。このあたりは原作に近くリメイク版の中途半端さは否めない。
ヤンシーを演じたグレン・フォードは終盤見せ場もなく時代遅れの男となってしまった。妻セイブラのマリア・シェルは50年代欧州文芸作品での作品が多く、なかでも「居酒屋」でのアル中になった薄幸のヒロインが印象に残る。今回女の半生を演じたが晩年の老け役に無理があり少し荷が重かったか?
脇役ではヤンシーを慕うバンプ役デクシー・リーのアン・バクスター、グレート・ランに参加して得た荒地から石油を掘り当て街の名士へのし上がったトム・ワイヤット役のアーサー・オコンネルが適役。ウェストサイド・ストーリーでお馴染みのラス・タンブリンのアップが見られるのもファンには楽しみのひとつ。
原作を大胆にアレンジしようと大作に挑んだ本作は及第点はつけられてもグレート・ランの印象が強烈で尻つぼみになってしまった。
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