晴れ、ときどき映画三昧

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「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(97・米)80点

2015-05-18 16:04:38 | (米国) 1980~99 
 ・ 悩める若者たちへのメッセージを描いた良作。

                

 当時最も旬な俳優だったマット・デイモンとベン・アフレック。2つ違いで幼馴染の2人が共同執筆して、オスカー最優秀脚本賞を獲得した作品として有名。

 深い心の傷から非行に走るウィル・ハンティング。マサチューセッツ工科大学の清掃員として働いているとき、ランボー教授が出した学生たちが誰も答えられない問題を解いて、その天才ぶりが見出される。

 傷害事件を起こし刑務所入りしたウィルに、教授は週2回研究室での勉強と週1回のセラピーを受ける条件で、身元引受人となった。

 その間チャッキーらの悪友たちや、ハーバード大学生のスカイラーというガールフレンドとの交流がありながらも、教授はもとよりセラピストたちへの誹謗は続いていて手に負えないありさま。

 困り果てた教授が最後の手立てで思いついたのは、疎遠になっていた元学友でライバル関係にあったコミュニティカレッジの講師ショーン・マグワイアだった。

 孤児で虐待を受けた経験から心を閉ざし続けているウィルと、妻を亡くし失意の底から立ち直れないショーン。ぶつかり合いながらウィルは真の愛情・友情が育まれ、ショーンはウィルのセラピーを機に新たな人生へ踏み出す勇気を持つことに。

 M・デイモンがハーバード大在学中に授業で書いた40ページの戯曲をもとに、親友B・アフレックとともに映画シナリオ化してプロデューサーの目に留まり完成するまで5年の歳月を要している。

 監督は長廻しのカメラで若者の心理描写を惹き出すのが巧みなガス・ヴァンサント。奇を衒わずにじっくりと心の変化を映し出して行く姿勢は、真にオーソドックで少し照れくさい気も・・・。

 それを中和してくれたのは、ショーン役のロビン・ウィリアムス。ワールドシリーズの切符を反故にしてまで一目ぼれしたという愛妻家ぶりは、少し現実離れしているが彼が演じると不自然さを感じさせない。「いまを生きる」(90)で定評があった<若者への善き理解者の役柄はぴったり>で、オスカー最優秀助演男優賞受賞も納得。

 B・アフレックが悪友チャッキー役でM・デイモン扮するウィルに「20年経ってお前がここに住んでいたら俺はお前をぶっ殺してやる。お前は宝くじの当たり券を持っていてそれを現金化する勇気がない。それを無駄にするなんて許せない。」というセリフが実生活を想像させて興味深い。

 本作で別れ別れとなった2人は、まもなく俳優生活でも離れ離れで活動。紆余曲折はあったが、今は和解して交流があるという。2人の競演も見てみたい。
 
 肩書きで人を観たり、書物や情報だけで物事を決めつけることへの批判を込めた本作。以て他山の石としたい。
 
 


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