パリの恋人(1957)
1957年/アメリカ
元祖ファニー・フェイスの魅力がいっぱい
shinakamさん
男性
総合
70点
ストーリー
60点
キャスト
80点
演出
65点
ビジュアル
85点
音楽
80点
「雨に唄えば」(52)のフレッド・アステア、「シャレード」(63)のオードリー・ヘップバーンが競演したミュージカル。3作ともスタンリー・ドーネン監督が手掛けている。
小さな本屋で働くジョー(A・ヘップバーン)がふとしたことでファッション・モデルにスカウトされ、マギー編集長(ケイ・トムスン)ディック・カメラマン(F・アステア)とともにパリへ向かう。ジョーの目的は心酔している<共感主義>を説くフロストル教授(ミシェル・オクレール)に会えることだった。
20世紀最高のミュージカルスター、F・アステアは御年57歳、晩年を迎えながらも洗練されたステップは健在。対するオードリーは主演4作目の27歳でミュージカル初出演。2人のミュージカルはオードリーがどうしても見劣りするだろうと思わせたが、思いのほか元バレリーナのオードリーの頑張りが目立った。
彼女のためにレオナルド・ガーシュが曲をつくり、原題の「ファニー・フェイス」は個性的でチャーミングな女性賛美の言葉として当時の流行語になったほど(日本では団令子が有名)。
ガーシュインの「ス・ワンダフル」も流れ往年のミュージカル・ファンも喜ばせるし、もうひとり、踊りの名手K・トムスンとアステアのこれぞミュージカルという唄と踊りは流石で全盛期を偲ばせる。オードリーの唄は決して上手くはないが、これも彼女の分身でファンには堪らない魅力のひとつ。
なによりパリの名所をバックに、様々な衣装で撮影されたモンタージュ技法による静止画像は秀逸。これはアステア扮するディックの実在モデルであるリチャード・アヴェドンによるもの。現在でもファッション誌には欠かせないアイテムとなっている。
ミュージカルが苦手な筆者にも楽しめる作品に仕上がっているので、食わず嫌いなヒトにも試しにご鑑賞あれ。