晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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『西部開拓史』 80点

2012-04-11 10:12:57 | 外国映画 1960~79

西部開拓史

1962年/アメリカ

アメリカ近代史のエピソード満載

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

多数の歴史書をもとに、4代にわたる一家の開拓史をジェームズ・R・ウェッブが書きあげた脚本を、ヘンリー・ハサウェイ、ジョン・フォード、ジョージ・マーシャルの3人が監督を分担したシネラマ大作。
50年間の一家の変遷を2時間40分にまとめているので5つのエピソードを名優スペンサー・トレイシーのナレーションと主題歌<グリーン・スリーブス>でつないでいる。
最初から最後まで出演したのはブレスコット一家の次女リリス(デビー・レノルズ)。1話はニューイングランドの農民一家がオハイオ川を筏で下り新しい土地を目指す。長女イーブ(キャロル・ベイカー)と毛皮を売りのライナス(ジェームズ・スチュアート)の恋物語がメイン。C・ベイカーがとても美しいが、イキナリのラブ・ロマンスは唐突な感じ。2話はセントルイス。キャバレーの踊り子になったリリス(リリー)と賭博師ベイレン(グレゴリー・ペック)との金鉱を巡っての出逢いと再会の物語。5話の中で一番ハナシが面白く、幌馬車隊や先住民が絡みゴールドラッシュに踊らされ、西へ開拓してゆく躍動感が溢れていた。
3話が南北戦争、4話が横断鉄道と続き5話でアリゾナで終結するが、ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ、リチャード・ウィドマークなど大物俳優が脇を固めているのにストーリーは平板な感じ。物語の中心になるイーブの長男セブ(ジョージ・ペパード)が、大物俳優たちに喰われ存在感が薄く見えた。むしろ野牛の暴走、機関車の疾走・転覆など大画面を意識したダイナミックな景観を堪能できるほうに眼を奪われる。撮影も4人で分担していて35ミリフィルムを3本使った大画面が効果的。
オスカー脚本・編集・音響の3賞を受賞していて、アメリカ近代史の足跡を残す意義ある作品だが、良くも悪くも、<大河ドラマ風>だ。