さらば友よ
1968年/フランス
スタイリッシュな男の友情を描いた犯罪劇
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 80点
ビジュアル 80点
音楽 80点
アラン・ドロンと共演したチャールス・ブロンソンをスターダムに押し上げたキッカケとなった作品として記憶に残っている。ジャン・エルマン監督と原作のセバスチャン・ジャブリゾの共同脚本による犯罪サスペンスだが、何から何までスタイリッシュ。
プロローグは、アルジェリア戦線から兵士達が寄港したマルセイユ。軍医のバラン(A・ドロン)とアメリカ兵プロップ(C・ブロンソン)が銃の受け渡しをする。バランが間違って軍医仲間であるモーツアルトを誤射した銃を始末するためであった。そのモーツアルトの替わりに金庫破りをするハメになったバランと金になりそうなことを嗅ぎつけたプロップが加わる。
頼まれて債権を戻すためのバランと大金を盗もうとするプロップ。金庫の暗証番号を探るという共同の目的で、密室での諍いは不思議な友情へと移ってゆく。閉じ込められた2人が、上半身裸の肉体美を競うサービス・カットも見どころのひとつ。
もうひとり2人を追う刑事(ベルナール・フレッソン)とプロップとの男同士の約束が花を添える。紙コップのコーヒーにコインを5枚入れてこぼれなかったら自白を強要しないというもの。このシーンでC・ブロンソンはスターの仲間入りしたといっても過言ではない。そして伝説的なラスト・シーンまで男と男の友情物語が続く。タバコを小道具にした名画は多いがこれほど見事なエンディングは滅多にお目に掛かれない。サスペンスとしては荒っぽいところが多く必ずしも良い出来とは言えないが、男のロマンに酔いしれるにはもってこい。
女優では「禁じられた遊び」のミッシェルで涙を誘ったブリジッド・フォッセーがすっかり大人になって16年振りに銀幕に帰ってきた。名子役必ずしも名女優にあらずだが、青春時代何度も観た名子役の復帰はそれだけで満足。