後輩の餞別の話

後輩からボールペンをもらった。
餞別として。


それと、僕が散歩が好きだから
「東京さんぽ地図」という本を。



本当に嬉しかった。
少し、泣きそうになった。


せっかく文章を書く仕事に就くのだから、
ずっと使えるような
良いボールペンが欲しいと思っていた。

「さんぽ地図」についても
僕の好みをきちんと考えてくれたんだと思う。

考えてくれて、買いに行ってくれた
ということが本当に嬉しかった。


その後輩には
あまり好かれてないと思っていた。

時々、冗談は言うけれど
ご飯に誘わなかったり、
仕事以外のコミュニケーションをとろうとしてこなかった。


次の仕事についても
あまり話していなかった。


興味のない人に
自分のことや自分の好きなことを話すのは
僕はあまり好きではない。


聞いてこなければ興味がないのだろうと思って
僕は話していなかった。



待っていたかもしれない。

もっと早く話せばよかったと思った。


率直に言ってしまえば、
僕は後輩のことをいいヤツだと
思っていなかった。



自分が恥ずかしくなって、
嬉しさもあって、
僕は泣きそうになった。





自分のあまり好きじゃないところを
水で洗い流せたらいいのだけど、
それができないから、人は学ぶしかない。


明日の座右の銘は
「三顧之礼」