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日々一歩ずつ前に進むために書き綴ろう…。自分の中のちょっとした変化を大切に…。

『大日本人』

2007-06-11 00:27:42 | 時事





昨日、松本人志第1回監督作品『大日本人』を観てきましたが、彼独特の笑いの創
造性を感じる作品だったと思います。

これまでのヒーローものに関しては、常にヒーロー像や戦闘シーンの格好良さな
ど、陽のあたる部分にスポットライトが当てられていました。最近では、そこに
人間くささ、苦悩などの要素も作品に加わってきましたが、それも主人公の格好
良さを引き立たせるものだと思います。

ところが彼自身はそれを完全にぶち壊す…つまり、ヒーローの通念となっている
ものを完全に破壊し、ブサイクさをとことん追求するところに、彼のオリジナリ
ティーが作られているような気がしました。


また、作品全体の作りがインタビュー形式で展開されているのですが、それも時
系列にストーリーを進行させる要素を持ちつつも、主人公の人間像を浮き彫りに
する、松本独特の手法であるようにも感じられました。


全体的に、個性が強い、灰汁の強いキャラクターが次から次へと出てくるのです
が、それをコミカルな演出で見事に調理している感じがします。これも普段の彼
の笑いに対するスタンスと同様、キャラクターに対する気遣いが滲み出ていると
ころなのでしょう。


その点については、『BRUTUS(2007/6/15)「絶叫する脳」全発言の記録』からよく
分かります。


(以下、松本人志を“松本”、茂木健一郎を“茂木”と表記)
 茂木:芸人が松本さんと絡んでると、完全に飲まれているもんね。
 松本:飲む気はないんですけどね。気遣いますね、確かに。対等にやろうと
    しても、「あ、ゴメン、壊しちゃったね」みたいなことはありますね。
(中略)
 松本:出る杭は打つってこの世界よく言いますが、僕はそれまったくないで
    すから。


結局のところ、独特の松本ワールドが展開されるこの映画は賛否両論分かれると
ころだと思いますが、これまでにないエンターテイメントに仕上がっているのは
まぎれもない事実です。是非お試しあれ…。