日本海新聞3月18日
自ら命を絶った人や遺族の思いを伝えるパネル展が安来市安来町の安来中央交流センターで開かれている。亡くなった人の写真や日記とともに、遺族が抱える苦悩やメッセージを記したパネル約120点が並び、訪れた人に自死の現状を伝えている。3月21日まで。
島根県内の自死遺族の自助グループ「しまね分かち合いの会・虹」(桑原正好代表)が、当事者になって初めて分かる自死の現状を知ってもらおうと企画。NPO法人「働く者のメンタルヘルス相談室」(大阪市)が作成したパネルを活用して2年前から県内を巡回している。
今回は「私の中で今、生きているあなた」をテーマに、鳥取、島根両県の5人を含む30人分の写真や日記、亡くなる前に記されたメモなどを展示。遺族や友人のメッセージも並び、「ごめんね、助けてあげられなくて」「ぽっかり空いた穴は埋めることはできない」など、身近な人の死に直面した悲痛な心情を伝えている。
来場した同市内の元教師の男性(77)は「子どもや保護者の思いが重みを持って伝わってくる」と話していた。
自身も息子を亡くした桑原代表は「自死はみんなが人ごとと考えるが、いつ自分に降りかかるか分からない。『くさいものにふた』ではなく、みんなで向き合うことができる問題にしてほしい」と呼び掛けている