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「岩下お堂」の思い出

2024-07-17 04:50:25 | Weblog
富士山登山への警鐘のニュースを読んでいた
ゲート閉鎖時間の午後4時に駆け込み登山をする方々に
低体温症になる危険を知らせる県のスタッフと
どうしても登りたい登山者の攻防

「山を軽んじたらいけない」

私は生まれ育った山で一度遭難しかけた事がある。

三峰山
私が生まれ育ち、山菜採りや釣りなどで
何度も頂上まで登った慣れ親しんだ山

私たちは小学6年生
仲間と一緒に山に登り、その帰りに
「岩下お堂」と呼ばれる場所へ下る道を
面白半分に降りていった

岩の下にお堂があるらしいので
それを見に行ったのだと思う。
だがそれは下山する道では無く
あくまでもお堂への道
私たちはお堂がどこに有るかも解らず
いつしか道は無くなりゴツゴツした大きな岩ばかりの場所に居た

三峰山を下から見上げると広く岩肌が見える
私たちはきっとその一部にいたのだろう

山の中腹なので標高はおよそ500メートルくらい
面白半分に岩を乗り越えながら麓を目指していた

遠くに畑や民家が見えるのであまり危険には考えていなかった。
やがて岩を越えるのに疲れ、一休みして見上げれば切り立った岩壁。
戻るのは絶望的な荘厳さだった

私たちは体力の続く限り岩を越えようと必死になっていたが
やがてもう越えられない人が出てきて
もっと楽な降り方を見つけなければ
ほんの3~4百メートルの場所で身動きできなくなってしまう。

辺りは暗くなりかけ泣き出す奴も出てきたので
一人一人違う方向へルートを探しに行ってみた。
幸い私が探したルートは、隣の丘に登って少し降りたところに
山林があった。そこは岩場ほど進むのが困難では無く
茂みと言ってももう麓近くまで来ているし
山林なら当然管理する人も踏み入れる場所なので
引き返し、こっちの方が良さそうだと伝えて
みんなで丘を登ることにした

そして思った通り、山林の下には山道が続いており
その下にはもう畑があった。
地元なので、そこまで降りられれば後は簡単
私たちは誰一人怪我をすることも無く家に帰った。

もう暗かったのでそれぞれの家庭で
親たちに何か言われた人も居たろうが
山で迷ったとはとても言えなかった

家から数百メートルの場所だったに違いないが
私たちが迷ったのは小学生だったからでは無い
今でも、もっと若いときでも
あのシチュエーションでは困難したに違いない。
岩から落ちたら怪我もするだろう
そうしたらおそらくもう降りては来られない

富士登山であっても
誰も居ない時間で何か起きたら
誰も助けてくれない恐れがある

山を軽んじてはいけない
「岩下お堂」の思い出は
常に私に語りかけてくれる