しまなみニュース順風

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枯れ始めた冬のヒマワリ

2007-02-27 23:54:06 | ハートステーションなないろ日誌
 静穏に見える景色の中に、不条理は隠されている。
 ハートステーションなないろに通い始めて、2年以上が過ぎようとしている。その間、いろいろなことに驚いてきた。
 障害者に等級があって、1級認定を受ける条件とは、ほぼ寝たきり状態となっていることなどに限られること。精神病院には、監獄の独房のような保護室という場所があること。触法精神障害者の場合、医療費が警察から支払われること。
 取って置きの驚きは、作業所の時給が10円だったという現実。
 ときどき訪れるオレンジ作業所の風景は、コンクリートマットなどの作業がないときなど、当事者が椅子に座ってくつろいでいる静穏な空間でしかない。その空間の静謐さは、乾き始めた血のような皮膜を持っている。
「私の夢は、父の死んだ後、家を相続することです」
 この言葉は、当事者のひとりが書いた文集の一節だ。
 血の皮膜の下には、あふれ出そうとして隙を窺っている新たな血が満ちている。社会は、一切の瑕瑾を排除しようとするが、それは、皮膜の下の新たな血の存在を知っているからに違いない。
 毎日、薬を飲む、という現実も、およそ浮世離れしている。9種類、10種類の薬があり、一日に何10錠と飲む当事者もいる。
「薬を飲んだだけで、お腹がいっぱいになったような気がする」
 足元しか見えない出口のない通路を、歩いたことがあるだろうか。もし、通路から逸脱してしまったら、たちまち独房のような保護室へ連れて行かれる。
 静謐さのなかに隠されている狂気は、この冬、ひまわりの花を咲かせた。すでに花芽はなく、もうすぐ枯れてしまうに違いない。枯れたひまわりの花には、不条理の種が隠されているような気がする。

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