しまなみニュース順風

因島のミニコミ「しまなみNews 順風」は、しまなみ海道沿いの生活情報をリリースし、地域コミュニティー構築を目指します。

あんた達は、恥ずかしくないのか。自分の生き様に誇りを持てるのか。

2005-06-09 04:15:03 | 合併問題
 本のタイトルは、「奇跡を起こした村のはなし」。ノンフィクション作家の吉岡忍さんの著書で、新潟県黒川村について書き下ろした作品だ(筑摩書房 定価760円+税)。そのカバーには、
「豪雪、大水害、過疎という苦境を乗り越え、
 農業と観光が一体化した元気な姿に生まれ変わった黒川村。
 小さな町や村が生き残るための知恵を
 教えてくれる一冊」と書かれている。
 この本を読むと、市町村の長の一念がいかに大事なものかがよく分かる。3時間しか睡眠時間を取らなかったと言われる黒川村の故伊藤孝二郎村長の生き様が、まさに地方自治を生き延びる術を象徴し、理想的な公務員の姿を浮かび上がらせてくる。
 人は、楽に生きたいと望む生き物だ。
 著書の中で吉岡さんは、伊藤村長の座右の銘を「先憂後楽」と紹介している。
 苛酷な自然環境の中で暮らす地域の人々の暮らしをいかに護っていくか、その憂いを払うためにボロボロになるまで身体を痛めつけて奔走した伊藤村長の「後楽」とは何を意味するのか。
 著書の最後に、伊藤村長の跡を継いだ布川村長の言葉が載せられている。

「いま中央から聞こえてくるのは、『小さな村なんか、つぶしてしまえ』という声ばかりですよ。われわれの悪戦苦闘は何だったんですか?」
 2005年夏、黒川村は地図上から消える。となりの中条町と合併し、『胎内市』が生まれることが決まっている。

 この著書を通覧した人は、この現実にいわれのない不条理を実感するだろう。また、その実感と共に、身の回りの地方公務員のていたらくを嘆くに違いない。
 あんた達は、恥ずかしくないのか。自分の生き様に誇りを持てるのか。
 この著書は、そう語りかけているような気がする。

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