しまなみニュース順風

因島のミニコミ「しまなみNews 順風」は、しまなみ海道沿いの生活情報をリリースし、地域コミュニティー構築を目指します。

ハートステーションなないろ日誌 「触れあいの本質」

2005-10-27 16:28:25 | ハートステーションなないろ日誌
 人と人との結びつきを深めるためには、触れあいが欠かせない。人はお互いに触れあってこそ理解を深め、良き人間関係を築いていけるからだ。
 なないろという場所は、そのためにある。
 Kくんは、そんななないろに来るようになって、最近、卓球に嵌っている。木曜なないろのスタッフ、由美子女史を相手に卓球をしているKくんは、いつもは寡黙で他のなないろ利用者と会話をすることもなかったのだが、卓球を通してお互いの理解を深める段階に入れたのではないかと感じる。
 今日のなないろで印象的だったのは、午前中、卓球を終えてメインルームに戻ったとき、シゲルくんがKくんに話しかけていたことだった。
「みんなお互いさまなんだから、言いたいことがあったら言った方がいいよ。そしたら、楽になれるから」
 シゲルくんの話しかけに、Kくんは頷いていた。
 触れあいには、きっかけが必要だと思う。そのきっかけは、タイミング、お互いの状態、その場の雰囲気で、さまざまに変化しながら生み出されてくる。Kくんの場合は、シゲルくんの見せた思いやりの心によって、そこに触れあいが生まれたに違いない。その触れあいが良き人間関係を築いていくまでには、もう少し時間が必要かもしれないが、この経験を通して、少なくともKくんの心はその扉を徐々に開きつつあるのではないかと思えたのだ。
 統合失調症、引きこもりなど、心に傷を負った人たちは、触れあうためのきっかけを求めている。しかし、現実には、社会的な認識不足による不合理な状況に囲まれ、当事者同士のつながりしか見えてこないように感じられる。その原因を作り出しているのは、不幸なことに、歴史的な常識判断が未だに残されているところにある。これは、宿命とも呼べるものに違いない。
 人は、楽しく、安全に、豊かで美しく暮らしたいという欲求をもっている。もし、その一つでも欠けていたとしたら、人は不幸を感じるに違いない。
 しかし、それは全てではないような気がする。
 その理由は、なないろでボランティアをするようになって感じるようになったことにある。それは、たとえ歴史的な常識判断が未だに残されているという不幸を抱えていたとしても、なないろを利用する人たちがおしなべてその不幸を意識していないと感じられるからに他ならない。
 シゲルくんがKくんに話しかけた、というエピソードは、世間一般からすれば些細なことだろう。しかし、そこには、良き人間関係を築いて、自らの宿命と向き合おうとする姿勢がある。その勇気は、今後、お互いの境遇を越えて、支え合って生きる人間本来の生き方へと導いてくれる可能性を垣間見させてくれるに違いない。

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2 コメント

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思いやりの心 (reirei)
2005-10-30 02:49:14
本当にやさしいシゲルくん。KKくんもきっと何かが少しずつ変わっていくきっかけにきっとなったと思います。心と心がふれあえば…なんて何かの歌の一説にあったような…

今日、ドキッとした場に遭遇しました。仕事でアメニティ公園に行っていたら、傘を片手の制服姿の男子高校生がふらふらと砂浜を歩いていて、海を眺めていたかと思うと傘でなにやら砂浜に描いている様子…もしかしてと思い彼が帰った後何気なく覘いて見ると♡マークのアイアイ傘が~もちろん彼と彼女の名前も描いてあったよ!恋をしているんだなあと三十数年前を思い出し、私の胸もドキッでした。でも彼の様子を見てると片思いなのかもね
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ドキッにもいろんな形態が (順風)
2005-10-30 13:28:05
 シゲルくんとKくんの話から、砂に書いた相合い傘の話にまで発展するとは思いませんでしたね。胸のときめきでドキッとするのはいいけど、Fくんみたいにしょっちゅう黒マントを見てドキッとしてるのは心臓に悪いでしょうね。ちなみに、木曜日は、黒マントが2回もなないろに現れました。

 特に1回目なんか、明確にギャグでしたね。

 入口の椅子にイケジマさん、シゲルくんと僕が座っていて、まるで白昼夢のように自転車から降りてきた黒マントがなないろのメインルームへ走り去っていくんです。

 三人は目配せして、沈黙を通しました。

 ちょうどその頃、フジカワくんは、いつものように焼きそばを頬張っている最中で、

「ブホッ……ウッ」という、うめき声とも悲鳴ともつかない叫び声にならない叫び声をあげてました。

 黒マントが帰った後、フジカワくんは、冷や汗を流しながらコメントした。

「ボクを殺そうとしてるでしょう。うどんだったら喉をつめんかったでしょうが、焼きそばですよ。一瞬、ハスの花が見えてきましたよ」

 入口でたむろしていた僕たちが爆笑したのは言うまでもありません。
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