▲法龍寺(幸雲山道観院)
法龍寺は浄土宗のお寺さんで、慶長年間(1596~1615)の開山とのこと。徳川家康の江戸入府の頃になりますから、今風にいえば大規模都市開発を背景に造られたものなのでしょうね。
さて。先に述べた「ちょっと珍しい動物の供養塔」とは、これ。
▲食用蛙供養塔
食用蛙供養塔。ウシガエルのために建てられたという極めて珍しいものです。(ウシガエルのみを対象とする慰霊碑はおそらく世界中を探しても他に無いのでは?)
▲塔にはウシガエルの図が
江戸川区教育委員会による解説板が立ってましたので、供養塔の部分のみ以下に転載してみます。
「食用蛙供養塔」
山門前にあります。食用蛙は昭和の始め頃から江戸川区内に生息し、
蓮田や水田が多かったので、自然繁殖を続け、輸出するほどになりま
した。当時は、捕獲は都の条例で許可制でした。終戦後は蛙を捕え、
加工業者に渡し、生計を保つものも現れました。供養塔は東京都食用
蛙組合によって、昭和二十七年に建てられた大変珍しいものです。
(平成十五年年三月 江戸川区教育委員会)
『外来種ハンドブック』(日本生態学会:2002)によれば、ウシガエルの導入が始まったのは大正7年(1918年)。「安価なタンパク源の確保や産業振興の切り札として期待」されたそうですが、結局は蛙食がメジャーになることはありませんでした。
残ったそれらは放逐され、やがて日本各地に拡散。ついに平成18年(2006年)には『外来生物法』の特定外来生物に指定されてしまいます。また、世界レベルで観てもIUCNの侵略的外来種ワースト100に数えられるという、いわばコマッタちゃん的生物の代表格になっているのは、多くの方がご存知のとおり―
そうそう。さらに興味深かったものがひとつ。
▲寺内にはカエルグッズも
お寺にはカエルグッズが集まってくるようで、それらがロッカー展示してありました。(売り物ではなく、「供養してくれ」ということらしい)ウシガエルへの慰霊行為といい、寄せられたグッズといい、この国の住人が向ける他の生き物へのまなざしの温かさには、改めて驚かされました。(これもある種の動物愛護の念といっていいのでしょうね)
折しも秋の彼岸を迎え、敷地のあちこちに曼珠沙華。
▲ヒガンバナ(曼珠沙華)
供養塔に手を合わせていたら一句浮かんできましたので、蛇足ながら最後に。
蛙供養 浄土は何処や 曼珠沙華 (祀亀洞)
お粗末。m(_ _)m
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