祀龜洞雑録 blog

百・歩・蛇・行(3)

 
 ▲高山族の女性(国立台湾博物館)

 魏志倭人伝では男子がみな齧ハ文身していたことが伝えられていて、一千七~八百年くらい前にはわが国でもふつうに紋身(文身)の習俗があったことが想像できる。通過儀礼という面もあろうが、やはりそれの最大の目的は魔除けなのだろう。

 国立台湾博物館では台湾の原住民たちの紋身に関する展示を見た。するとやはりというか、排湾族のそれにははっきりとヘビそのもの、あるいは菱形紋や三角紋が数多くあった。

 
 ▲排湾族の文身紋様(同上)

 これら菱形紋と三角紋については、吉野裕子先生は『蛇~日本の蛇信仰~』の中で、(排湾族のヒャッャ_信仰の紹介とともに)こう推察しておられる。

  百歩蛇を頭上に頂く男女祖先神の等身大の木彫板、
 あるいは百歩蛇の蛇体の上に祖先の人面が刻まれて
 いる木彫板は、いずれも頭目の標識としてその屋敷
 の全面に立てられたものである。
  その際、その蛇体には必ず菱形紋あるいは連続
 三角紋が刻まれ、それら菱形や三角形は神聖な蛇の
 シンボルであったことを示している。
      (吉野裕子『蛇~日本の蛇信仰~』より)


 つまり「菱形紋や三角紋は蛇の図象なのだ」と。(これは吉野民俗学の要であり、ヘビが日本の文化にどれだけ影響を与えたかを、先生は独自の視点から提唱なさった)

 もういちどヒャッャ_の画像を見ると、

 
 ▲ヒャッャ_(台北市動物園)

確かに体表の三角紋が際立っていることが見てとれる。単純明快にそんな理由から、ヒャッャ_は数いるヘビの中でも特にシンボリックな存在とされたのだろう…

 が、それにしても。

 はてさて、この「▲▲▲」、どこぞで見たような?―
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