視人庵BLOG

古希(70歳)を迎えました。"星望雨読"を目指しています。
TwitterID @seibou_udoku

東京海洋大学公開講座

2008-07-13 07:06:06 | 星望★雨読
7月7日(月)から6日間行われた東京海洋大学公開講座「海と地球温暖化」は土曜日の練習船汐路丸の体験乗船で終了した。

講座内容
1)地球温暖化の概要
2)海が二酸化炭素を吸収する
3)Argo観測網による海洋変動監視
4)人工衛星による海洋変動監視
5)海運と地球環境問題
6)練習船汐路丸体験乗船

どの講義も大変充実した内容だったが、特に二日目、海洋環境学科神田先生の「海が二酸化炭素を吸収する」は眼から鱗が落ちる思いだった。("最近眼から鱗が落ちる思い"が多いが,これも"老眼"の為せる技か?)

地球表面の71%の面積を占める海洋の大きさをA4用紙に例えると海の平均深度4000mは0.5ミリ位ということで、厚さ0.5ミリのA4用紙を受講生にくばっての、その0.5ミリの間にある海洋の深層循環システムの話は大変興味ぶかかった。
海洋は大気中のCO2の30%を吸収しており、表層にいる多様な生物による「生物ポンプ」が炭素を深海に急激に落として、大気中のCO2の吸収を促進しているのが海洋の深層循環システム。
深層循環の入り口はグリーンランド沖と南極ウエデル海の2箇所しか現在確認されてなく、この海域の温暖化が深層循環を鈍化させることで、温暖化が急激に加速する可能性があるとのこと。(長期的には?)
だが海洋の深層循環のシステムの詳細な実態は、この広大な海洋では定期運用航路等の限られた継続観測でしか把握できなかったが、2000年から始まった全世界の海に3000台の測定器を配置するアルゴ計画で少しずつ解明されているようだ。

※※
地球温暖化問題、1960年代まではミランコビッチ・サイクル仮説の影響からか、地球は寒冷化に向うと考えれられていた。それが1980年以降、陸上での平均気温上昇が確認され、78年以降ハワイ島で継続測定された大気中のCO2増加との関連が考えられ、そのCO2増加の主たる要因が産業革命以降の化石化燃料の消費増大が疑われるようになったとのこと。
最近のICPPの年次報告でCO2元凶説は決定的になったようだが、海洋学者の間では、結構慎重な意見も多いようだ。
それは大気中のCO2を30%を吸収する海洋のデータがあまりにも少ないことからくるとのこと。莫大な費用をかける「アルゴ計画」の成果が5年後には出るようなので、その結果に期待したい。(望)


昨日の練習船汐路丸体験乗船は東京湾の赤潮を観察するというのがテーマだった。
配布資料にも書かれているが"赤潮(植物プランクトン)"は大気中のCO2を吸収する。植物プランクトンの増大は大気中のCO2の増大であり、植物プランクトンの増大は大気中のCO2を炭素に変換して海底深くに運んでくれる植物ポンプの増大を意味している。
日差しは強かったけど、風が気持ちよかった。
乗船者はみな4時間ほどの東京湾クルーズを楽しんだ。


羽田空港がいかに混雑しているかが判る状況。次から次に低空で着陸してくる。



日本丸。
日本が世界に誇る練習帆船で海の仕事を目指す学生にとっては憧れの船のようだが、就職先の船会社では"外国人船員を指揮出来る高度な語学力"と"ITエキスパート"が最優先されているとか。教育現場と業界とのズレも結構あるようだ。
この公開講座を受講して、日本の海運業界についてマッタク知らないことに気づいた。航空業界の情報とは雲泥の差である。テレビドラマがないせいか?もう赤木圭一郎の世界じゃないし!?(笑)

霧笛が俺を呼んでいる

日活

このアイテムの詳細を見る
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする