戦う代表取締役

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精霊流し

2005年05月21日 | ニュース
昨年8月9日午前4時51分、父、入江千昭は64歳の若さでこの世を旅立ちました。死因は肺がん(小細胞肺がん)による多臓器不全で最後は大変きつく辛い最期だった。この病気の90%以上はタバコが原因だとドクターから言われた。喫煙については改めて私の所感をいつか述べます。

さて、最近私の知り合いから「親父さんの精霊流し、すっとやろ?」って聞かれた。私は「父の遺言で精霊流しは絶対するな!と言われてるのでしません」と答える。

知り合い曰く「なぜ?」

と言うことで今日は父が長崎商工会議所議員時代に長崎商工会議所の新聞に投稿した記事を紹介します。以下は父の文章です。


 長崎市民となって去る六月で満十五年が過ぎた、高校時代の三年間を加えると人生の中で一番長く居住した所は長崎が十八年で最長となる。それだけに長崎に対する愛着心は深まって来た。高校時代は只がむしゃらに学生時代を送ることが精いっぱいで長崎の行事など特に関心はなかったが、最近では色々と関心を示すようになってきた。長崎の行事といえばどうしても理解できないものが一つある。それは精霊流しの行事だ。私の故郷にはこの風習はないが隣町の精霊流しは、ワラで小船を作りおそなえ物をのせてしめやかに夕暮れの浜辺へ流し死者の霊をとむらうと聞きます。

 本来長崎の場合も隣町と同じく素朴だったものと思うのだが何故今日のような「喧騒ガクガクおまつり騒ぎ」の精霊流しになったのか、諸氏諸兄のお叱りを覚悟の上で私の思いをのべさせていただく事にする。

 本来厳粛しめやかに行われるべき宗教的行事が様々な経緯を経て現在のようになったのであろうが、耳をつんざく爆竹をところ容赦なく鳴らし、この光景を見物に来た人は仕方ないとしても全く関係ない市民や通行人にとっては大変めいわくな行事だと思う。

 その上酒に酔った船頭達はおくんちの出し物と錯覚してか、精霊船を廻したりして見物人を引っかけて大けがをさせたり最悪の場合は死者まで出す始末で、このような事が文化都市長崎の公道で堂々とまかり通る事が不思議でならない。

 又事後の清掃や処理にかかる費用が二千万円前後もついやすと聞くに及んでは只唖然とするばかりだ。恐らく公費からの出費だと思うがこのような事を是正しようと言う市民の声も政治家の声も全く聞かれないのはどうしてなのか。

 先年知人の父君が亡くなられ精霊船を出すので船頭に参加するよう依頼を受けたが本来の宗教的姿を逸脱したものへの参加はできないとの当方の信念でお断りをした。又親類の叔父が亡くなった年にはこの件で叔母から相談を受けたが説得し叔母も気持ち良く理解してくれたので精霊船は止めた。その変わりと言ってはおこがましいが、お盆の三日間は皆で叔父の墓前に参り灯ろうを夜おそく迄つけてありし日の叔父の想いにふけり夜を明かした事がある。

 近所が出すから世間体が悪いとか面目が立たぬとかの理由に依るものが多いようだが一般市民には大変なめいわくをかけ、事後処理は公費でと言うのはどうも納得しかねるのだがいかがなものか。いやこれは長崎観光や他方面に大いに役立っている!と言う御人もいるだろう、確かにそのような見方もあるかも知れない、ならば一つ良い提案がある。

 精霊流し実行委員会なる統括団体を有志で作り市営松山競技場あたりを貸し切って精霊船大会をそれこそ盛大に実施したらどうだろう。勿論要する費用はすべて参加者負担とし公費は一切使わない、一石二鳥の良い提案だと思うのだが・・・・・。