黄色い絨毯を敷いたように咲き誇るダンポポ。
春の到来を祝うかのように牧草地一面を彩る黄色の花々の、
なんと饒舌なことでしょう。
スイスの国花はエーデルワイスですが、
私は実際の開花を数度しか見たことがありません。
「高貴な白」を意味するドイツ語を名に持つ国の花も美しいのですが、
毎年この時期に村のあちこちで見かけるタンポポに、
私は得も言われぬ愛着を覚えます。
長く厳しい風雪の季節に耐え、
春の到来と共に一斉に花弁を開かせる彼らの健気な姿。
人間の世話にならずとも、
アスファルトの脇のわずかな隙間にも顔を出す彼らのたくましさを見るにつけ、
スイスの人々の質実剛健な国民性を象徴するのは、
たんぽぽだと、そう思うのです。
18年の在住を経ての実感です。
たんぽぽの 咲くは別れの 近き時 愛し子らの夢 綿毛に載せて