渋いっ!僕らのTokyo Jazz Cruising♪~今夜も出航!~

Live cafe & bar 池袋Apple Jump(アップルジャンプ)店主の日誌

遠藤 雅美、オール'55を唄う! ~謎のシンガーアゲイン~

2008年08月26日 | ジャズ・ボーカル・ライブ
停泊地)立川Jesse James(08.8/13)
メインアーティスト)遠藤 雅美(vo)、井上 ゆかり(p)、平岡 雄一郎(g)

少し前のライブですが、どうしても紹介しておきたかったので、遅ればせながら報告します。

このブログは、日記というより、ライブ報告という形で様々なミュージシャンを紹介するというスタイルを取っています。
なので、一度紹介した方は、特別なトピックスでもない限りは再び登場することはありません。
謎のシンガー遠藤 雅美さんに関しては、
以前「バーボン・バックをもう一杯!~謎のシンガー遠藤雅美を追って~」で紹介済みです。
しかし、このブログがきっかけで、新たな展開があった為、今回再登場となった訳です。

ハコもメンバーも前回と全く一緒です。
ビールを飲んだ後、マスターに、“バーボン・バックを一杯!”とオーダーしたところも同じです。
前のブログでこのシチュエーションを記述したことを思い出して、思わずニヤニヤ笑ってしまいました。

さて、ライブの方は、井上さんと平岡さんによるDUOで、ラース・ヤンソン/Lars Janssonの「MORE HUMAN」でスタート。ヤンソンさんは、スウェーデン生まれのベテランピアニスト。井上さんお気に入りのこの曲について、私は今日始めて知りました。いかにも北欧系といった、美しくも、もの哀しい旋律の曲で、いっぺんに気に入りました。
この曲は、リーダーアルバムの『Window Towards Being』の一曲目に収録されてます。ヨーロッパ系の透明感のあるジャズに興味のある方には、お勧めです。私も完全にはまってしまいました。
今回のようなセッション系のバンドで、歌伴の前振りの色合いが強いインストの場合は、普通は、ポピュラーなスタンダードナンバーが演奏されることが多いんだけど、こういった斬新な編成は、想定外の驚きがあって嬉しいですね。

そろそろ本題に入ります。
前回のブログで、

>今度は「オール'55」を唄ってくれないかな。

と書きました。
まさか、ジャズクラブで激渋アメリカン・ロックのトム・ウェイツのオリジナル・ナンバー「Downtown Train」が聞けるとは思いませんでした。
それを受けてのつぶやきです。
この曲は、トム・ウェイツのデビュー作『クロージング・タイム』の巻頭を飾る名曲です。実は、故松田優作も好んで聞いていたということで、2年前に発売された松田優作の企画盤『YUSAKU MUSIC NOTE - 松田優作が愛した音楽』のラストを飾っています。

ブログをアップして数日後に、遠藤さんから連絡が入りました。
“TOM WAITS のオール'55、次回やりますよ”という内容でした。

ブログを通じてリクエストをし、ミュージシャンがそれに応える。数年前では考えられなかった最先端の手法だな! 嬉しいです。でも申し訳ないという感じも少し有ります。スタンダードナンバーであれば、プロのジャズシンガーならいくらでもレパートリーが有ります。譜面も簡単に手に入りますし、、、でもアーティストのオリジナルとなるとそうはいきません。
後で聞いたところ、CDから、耳コピで譜面におこしたそうです。すいません!ちょっとした軽口がこんなことになってしまって、、、
でも、遠藤さんも面白がってる様子だったので、まあ、楽しませてもらいます!という事になりました。

そして、ついに二部のラス前に紹介されました。
“バーボンバックを片手に、そちらのカウンターに座ってらっしゃる伝説のブロガー、ゴードン船長によって、この曲のライブが実現しました!”と言ってたような、言ってなかったような、、、

「オール'55」。最高です。初演だったため、ちょっと緊張してた感じもありましたが、このアメリカン・ロードムービーのような、男気たっぷりのハードボイルドな曲が、遠藤さんによって、またちょっと違ったテイストに生まれ変わりました。
遠藤さんによると、男性の曲を唄うのは、歌詞も面白く、新鮮で刺激があって楽しいということでした。

そういえば、徳永英明さんが女唱を歌って大ヒットしたように、入れ替わることによって、同姓がカバーすることとは違った、何か不思議な化学反応が起きるのでしょうね。
面白いもので、だみ声の男性シンガーがトム・ウェイツを唱っても、どうしてもオリジナルのイメージと重なってしまい、楽しめません。ロックのコピーバンド系ライブハウスとかに行けば、いろいろ聞くことが出来るのでしょうが、それはあくまでもナツメロの世界ですね。ナツメロには全く興味がありません。

さあ、トム・ウェイツを堪能した後、スタンダードの「SPEAK LOW」で締めくくり。
そしてアンコールはスティービー・ワンダーの「OVERJOYED」でお開きと。

今夜は、とってもスペシャルなライブとなりました。

こんなことが可能なら、ダメついでに、今回はでっかく、つぶやいちゃおかな。
“キース・ジャレットさん、次回のコンサートで、「崖の上のポニョ」を弾いて貰えませんか?”

んー、いくらなんでも、これは、有り得ないな、、、

そうだ!パリにいる、リチャード・クレイダーマンさんなら直ぐに応えてくれるぞ。
なにしろ、「だんご三兄弟」まで録音してくれましたからね!
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うららさんへの夏休み拡大版コメント~渋いゴードンの事など

2008年08月18日 | その他
(洋上停泊)

うららさんへ

毎回楽しく東京ライブ三昧を読ませていただいています。
うららさんのような、新しいジャズファンが熱心にライブハウスへ通い、たくさんのレポートを書かれていることに対して、
オールドファンとしては、大変頼もしく感じており、又いっぱい刺激を受けております。

さて、うららさんの最新のブログで、今回、我アイドル、デクスター・ゴードンについて触れられ、何かコメントをということでした。ゴードンについては、いつか機会があったら、こちらで紹介したいな、と思っていたところなので、当ブログにてコメントの代わりに少し書いてみたいと思います。

そもそも私がブログやmixiで使っているハンドルネームの“shibui gordon”とは、お察しの通り大好きなデクスター・ゴードンをさしています。
「渋いジャズ・サックス奏者デクスター・ゴードンは、最高だぜ!」の短縮形ですね。若い女の子にとって“かわいい/Kawaii”という形容詞が最大の賛辞のように、オヤジにとってのそれは“渋い!”ということになります。あ、もちろん人それぞれですよ。私の友人でも何かというと“かわいい”を連発するオヤジがいます!

今回うららさんが、ゴードンを聞くきっかけとなったアルバム『Daddy Plays the Horn』、わたしも大好きです。このジャケット“超かわいい”ですね!
特に、表題曲のまったりしたブルースに、学生の頃はまりまくりました。
それからパーカーの「Confirmation」。これと、ピアノのバド・パウエル等と録音した「Scrapple from the Apple」
(『Our Man in Paris』に収録)は、テナーサックス奏者によるビバップの代表的な演奏です。
そしてゴードンといえば、なんと言ってもバラードですね。「Darn That Dream」と「Autumn in New York」。どっちか選べ、といわれても、すいません、と謝って両方選びます!

それから、代表作の『GO!』。こちらは、演奏もさることながら、ジャケットがまた美しい! デザイナー、リード・マイルスの手がけた数々の定評あるBlue Noteレーベルの作品の中でも、トップクラスですね。レタリングと色使い、全体のレイアウトなど惚れ惚れします。
巻頭を飾る「Cheese Cake」。このちょっと物悲しくも豪快なオリジナル・ナンバーは、ゴードンワールドの頂点といえるかもしてません。
ちなみに、ゴードンは、他に「Fried Banana」とか「Apple Jump」といった果物やお菓子を題材としたタイトルがいくつか有ります。巨漢に似合わず、意外とお茶目だったのかも知れませんね。

そしてなんと言っても珠玉のバラード「I Guess I'll Hang My Tears Out to Dry 」ですね。ゴードンの定評あるバラード演奏の中でも決定番的名演です。
激務を終え、今日も一日、家族が無事過ごせたことを感謝し、暖炉のまえでブランデーをゆっくり揺らしながら、針を落とします。(又はボタンを押します。)
どうか真似をしてみてください。沁みます。あ、もちろん25歳以下はダメですよ。
効果がありません。ここは、大人の世界です。
この曲、フランク・シナトラとかも取り上げた名曲なのに、意外と演奏されることが少ないですね。きっとこの受験英語みたいなタイトルのせいです。
ここまで書いておいて、私自身、いつまでたってもタイトルを覚えられません。
「アイゲス何とか」という例のバラード、という感じです。
きっと「Misty」とか「Body & Soul」とかのシンプルなものだともっと普及したんじゃないかな。

それから、取って置きの隠れ名盤を紹介します。
デンマークのSteepleChaseというレーベルに録音された『The Apartment』というアルバムです。この表題曲やホレスシルバーの「Strollin'」は絶品ですよ。
“ウチのダディは、普段は穏やかなんだけど、本気になったらこんなに熱いんです!”といった感じでしょうか。ゴードン50代の円熟期の名演ですね。
それから、デンマークの至宝、ベースのニールス・ペデルセンとのからみが、また絶妙なんです。サックスとベース好きには大推薦盤です!

そしてゴードンが出演した、映画『Round Midnight』。
ひとつ印象的なシーンがあります。ゴードンがリハーサル中に演奏を止めてしまいます。そのときの理由が、“歌詞を忘れてしまった”という事です。カッコイイですね。歌手じゃありませんよ!
器楽奏者も歌詞の意味をよく理解したうえで演奏しなさい、とはよく言われることです。私もよく演奏が止まってしまいます。もちろん、メロディーを忘れてしまって、、、

ずいぶんと長くなってしまったコメントですが、こんな感じでしょうか。
しかし、本格的に聞くようになってから僅か半年で、こんな激渋なゴードンの世界に足を踏み入れるなんてさすがですね。
でも、この河を渡ってしまった以上は、もう戻れませんよ!
それからここまで来た以上は、勝手ながら特命情報部員にさせて頂きます。

今度情報部員同士の情報交換会でもやりましょうか?
いつどこでといった情報は、近々、カセットに録音してお送りします。

あ、もちろん聴き終わったらすぐに消去してくださいね。
当局から狙われてしまいますから!

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ジャケ買いって、これのことかよ! うん、これでいいのだ!!

2008年08月10日 | その他
洋上停泊)

今週は夏休みということもあって、ライブ報告はお休みです。
例によって、いくつかのトピックスを紹介します。
(かなりくだらないので、飛ばしてください。特に女性の方は、、、)

ジャズの世界には、「ジャケ買い」という言葉があります。
中身の演奏のことはよく判らないんだけど、美しく、クールでスタイリッシュなジャケット・デザインに魅せられて、ついつい衝動買いしてしまうことですね。
典型的なのは、やっぱり「BLUE NOTE」レーベルの一連の作品かな。
それから以前「ロバート・ラカトッシュ」さんの時に紹介した澤野商会の作品のジャケット・デザインも凄く美しいですね。ちょっと独特のテイストのレーベルカラーがあって、気がつくとどんどん増えていってしまってます。
でもまあ、これを言っても仕方ないんだけど、やっぱりこの「ジャケ買い」という楽しみは、あの30センチ四方のアナログ盤時代のものですね。
今でも気が向くと、ディスク・ユニオンの御茶ノ水店のジャズフロアーに行ってアナログ盤を「ジャケ買い」してしまいます。アナログ・プレーヤーで聞くことはほとんどないんですけどね!

さて、これから話がどんどん落ちていきます。
先週レコード棚を整理しているときに、懐かしいアルバムを発見しました。
今回画像にアップしているものです。
これは「雨/ミスターギター」というタイトルの映画音楽とかの作品で、実は、紛れもなく、マイ・ファースト「ジャケ買い」アルバムなんです。
どうですか?この美しくもスタイリッシュなレディのジャケット。今だともうちょっと細身のモデルを使うのでしょうが、当時としては、これでいいんです。
これ、当時行きつけの赤羽のレコード店で見つけたときは、完全に目が釘付けになってしまいましたね。
でも、レジに向かうとき、ドキドキでした。何しろ中学一年生ですからね。
“坊や、こういうのは、まだちょっと早いよ!”なんて怒られそうで、、、
それから、しばらくは毎日毎日、このアルバムを聞いてましたね。
(というか、見てました!なんか巧みに葉っぱが配置されてるんですよね。)
で、久しぶりに針を落としてみました。・・・わー、薄っぺらというか、チープというか・・・。
これぞ、究極のジャケ買いなのだ!


さて、先週の話題といったら、なんと言っても漫画家の赤塚不二夫さんが亡くなった事ですね。
ちょっと調べたら、自分が9歳の時に『おそ松くん』のTV放映がスタートし、14歳の時に、『天才バカボン』が同じくスタートしてます。夢中になってたのは、人格形成の一番大事な小・中学生の頃ですよ。本来は、二宮金次郎やジョン万次郎物語に感銘しました!といきたい所が、意味もなく、毎日毎日みんなで“シェー”ですから。

赤塚さんの事に関して、ほとんど知られていないエピソードがあります。
(ネットで検索しても、ほとんど出てきませんでした。)
これを、ここまで読んでいただいた方に特別、披露させていただきます。

新宿厚生年金会館より少し四谷寄りに、ジャズ・クラブ「J」という店があります。今年開業30周年ということですから、都内では有数の老舗ですね。
大学のジャズ研のOB仲間20人が、少しずつお金を出し合って出来た店です。
ここには、宣伝部長としてタモリさんも参加しています。
ということもあって、タモリさんの朋友というか世話役の赤塚さんも、よく遊びに来たそうです。
ところが、オープン2年目の1980年に、不審火によって全焼してしまいました。
代表として、店を任されていた支配人のKさんは、大変なショックを受けました。みんなの夢を潰してしまい、死んでしまいたいという所まで追い込まれたということです。
そこで手を差し伸べてくれたのが赤塚さんでした。
“せっかくみんなで夢を実現したのに、潰しちゃまずいじゃない。”ということで、再建委員長を引き受け、ご自分でも多額の資金援助をされたということです。(数百万円というレベルではありませんよ!)
支配人のKさんは、赤塚さんのことを“店の命の恩人”と表現されてました。
それから今日までの間に、大勢のシンガーや演奏者がこの店に出演し、巣立っていきました。そう言う意味では、いちジャズファンとしも敬意を表したいと思います。

もっとも、生涯ギャグを愛した赤塚さんからは、敬意なんで糞くらえだ!なんか面白いこと書け、って言われそうですね。

よーし、天国にいる赤塚さんに告ぐ、
「いつまでたっても、くだらないことを考えてるような変な大人になってしまったのは、きっと赤塚さんのせいだ!ニャロメ!」
・・・
あれ!小さな声が返ってきたぞ!
・・・

・・・

・・・
「これで、いいのだ!!」

終わりだよ~ん。





<付記>
「J」と赤塚さんのエピソードに関しては、支配人Kさんの許可を得て披露させて頂きました。










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